風立ちぬ(97点)

◆風立ちぬ
★★★★★★★★★☆(97点)
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懸命に生きるということ

純朴で、真っ直ぐで、力強い。芯が通った美しい映画である。
自分自身で想像し、姿勢をただして作品に向き合うことができるのならば、これ以上なく輝いて見える映画になるだろう。


幼い頃から飛行機の設計者になることを夢見ていた二郎。
やがて大学の工学部に進学し、三菱重工に英才として鳴り物入り入社。
5年後には艦上戦闘機の設計主任を任され、その後には零式艦上戦闘機を作り上げる人物である。

二郎は大学時代、関東大震災の現場で菜穂子という少女に出会う。菜穂子の付添人を介護し、菜穂子を家まで送り届けた二郎は、名前を言うこともなくその場を去ってしまう。

その10年後、新型戦闘機の試験飛行に失敗した二郎は休暇のために軽井沢に避暑に訪れる。そこで菜穂子と再会し、彼女が結核であることを受け入れた上で婚約する。
しかし菜穂子の病状は一向に回復に向かわず、やがて二郎と菜穂子は、二人の生き方についてある決意を固める…。


宮崎駿の「雑想ノート」という本がある。
一般には「飛行艇時代(紅の豚原作)」が掲載されていることで有名だが、そのほとんどは駿監督の趣味である軍事兵器のイラストにうんちくをこれでもかと書き施した代物で、まさに「雑想ノート」と呼ぶに相応しい、男の子による男の子のための本である。
「愚かだとわかりつつも、狂気の情熱みたいなものがどこかで好き。」
子供のための映画の作り手であるということと、それと同時に殺戮を行う兵器のマニアであるということの矛盾について、駿監督はこの本の中でも弁解している。

ただ、このことが矛盾だなんて小生はこれっぽっちも思ったことがない。
ジブリ映画の大きな魅力の1つは、何かに一所懸命に打ち込む主人公の姿である。
未来を担う技術に従事するという夢が、現実には軍事という国家規模の計画の上で成立したという話であり、その事は主人公に複雑な影を落とすかもしれないが、その情熱を否定するものでは全くないからだ。

「自分の夢に忠実にまっすぐ進んだ人物を描きたいのである」という、
この映画に向けた駿監督の言葉そのままである。

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※雑草ノートからはこのオンボロ空母が出てきましたね…

アニメーション表現で息を飲んだのは関東大震災の表現だ。
唸りを挙げて波打つ大地に、飲み込まれるように建物が沈んでいく。
轟く地響きの生物めいた恐ろしさ。心を侵食する恐ろしさだ。
(ユンカースG38が二郎の夢の中で墜落するシーン、及び零戦試作機の始動音にも、呻き声のような効果音が使われていた。)
また、影絵を思わせるドイツの一幕も遊びが感じられて楽しかった。


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短い人生でも、それを幸せと感じる心の自由

第二次大戦前夜、日本の航空工学が飛躍する瞬間に立ち会い、その夢に全身全霊を持って従事した二郎。そしてまた、皮肉にもその瞬間だけに残された命をまっとうした菜穂子。
決して時間に恵まれた夫婦ではないが、その時を大切な人と生きたいように生きる姿に感動する。少しでも長く生きる、それよりもっと大切なことがある。

それは、「懸命に生きる」ということではないだろうか。


アニメであり、映画であることの習熟。
「風立ちぬ」はジブリ映画の中でも秀でて作家性が高い映画である。
ラピュタやナウシカようなエンターテイメントは楽しいが、この映画はそれ以上に「作り手が今の時代に伝えたいこと」に重きを置いた映画である。
ましてや、テレビの延長を見たい人に媚びるような映画では、全くない。

自分自身で想像して、考えてほしい映画だ。

最後に"予備知識が全くない"という人にお勧めするのは、本作の主題歌である荒井由実の「ひこうき雲」を聴き、その歌詞に目を通し、その意味を考えてみること。
きっと、「風立ちぬ」を感じる助けになると思う。
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◆モンスターズ・ユニバーシティ(80点)

◆モンスターズ・ユニバーシティ
★★★★★★★★☆☆(80点)
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希望が見えてきた

あの「モンスターズインク」が11年の時を経て復活。しかも続編ではなくて彼らの大学時代を舞台にする~という、ちょっとダサくて不安な設定…。
ピクサーは「カーズ2」でNOVAウサギ級の失墜を味わった後、「メリダとおそろしの森」がまさかのアカデミー長編映画を受賞して復活をアピールした。しかしメリダ自体は実際そこまで良く出来た映画とは言えず、往年のファンを含めていまだ懐疑的な目でピクサーを見ているというのが実情だろう。
しかも安直なシリーズもの。その点で厳しい評価が海外で注がれているのは仕方がないかもしれない。

とはいえ、それでも平均点以上は(カーズシリーズを除けば)固いピクサーであるし、音楽はランディーニューマンだ。劇場で観ない手はない。

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モンスターズ・インク社に工場見学に行った幼少期のマイクは、モンスターズ・ユニバーシティ卒の怖がらせヒーローを見て感動。将来は怖がらせ屋になることを決意する。(この時貰ったMUの帽子を、マイクはその後もずっと大切に使用している。)

憧れのモンスターズ・ユニバーシティに入学したマイク。
しかしちょっとしたヘマをやって”怖がらせ学部”を追い出されてしまう。なんとか復学を認めてもらうべく、同じく”怖がらせ学部”を追い出されてしまったサリーと、ダメダメクラブ”OK”の一同と協力して”怖がらせ大会”に出場することにする。

リーダー気質だが本人が怖くないマイク。
怖がらせ名家の出身で我が強いサリー。
どう考えても取り柄が見えないOKクラブの冴えない学生達。

理想的なチームとは言い難いが、マイクの高い意識で刺激されたメンバーの怖がらせ能力は日々向上。ついには名クラブRORとの決勝戦まで進むが…

幼少時代からの夢をかなえるべく、誰よりも努力し、どんな苦難にもめげなかったマイクが直面する、どうにもならない現実。
親友マイクの窮地にサリーが打てる手はあるのか……。
続きは劇場で。

この映画におけるマイクとサリーは、"学園のヒーロー"と"身内にしか尊敬されない努力家"という組み合わせで、寄宿舎モノの児童書とかによくある王道コンビ。
二人の新しい立ち位置は、キャラクター設定の奥深くを見るような楽しさがある。
また、前作を連想させるシーンやキャラクター、小物も出し方もいやらしさがなく、ファンとして気持ちよく見ることが出来た。
前半から中盤にかけて、平凡なお決まりシーンが忙しく消費される部分がやや魅力に欠けて残念ではあるが、終盤の展開は独創的で楽しかった。シリーズものの弱点をよくわかっている脚本だ。

久々にピクサーマジックの片りんを垣間見れたというべきだろうか。
どんな苦境でも腐らずに進もうとするマイクのキャラクター像に、モンスターズインク世界の説得力を見た気がする。

どんなに頑張っても上手くいかないことはある。費やしただけの努力が帰ってこないことなんて山ほどある。人生を費やしてきた夢だって、いつかは諦めなければならないかもしれない。
それでも、あなたが前を向いている以上、あなたの前にはあなたの道が切り開かれるのだ。
モンスターズ・ユニバーシティは、往年のピクサーを想わせるポリシーを持った映画だった。
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アルマ、15歳の恋愛妄想(62点)、I'M FLASH(30点)

◆アルマ、15歳の恋愛妄想
★★★★★★☆☆☆☆(62点)
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"ちんこで突いた問題"の真相

ノルウェーに住む15歳の女の子アルマは思春期ぶっちぎりのドエロ妄想ジャンカー。
一応好きな男の子がいて、これが毛が生える前のジョセフ・ゴードン・レヴィットみたいな奴だ。
アルマは日常的にテレフォンセックスを楽しんでるくらいの第一線オナニストなのだが、前述の毛無レヴィットとセックスする妄想でも、日々オナニーに励んでいる。見習いたいモチベーションだ。

さて、ある日アルマが参加したパーティーには毛無レヴィットも参加していて、ちょいちょい目が合ったので、一人外に出てみたりする。すると毛無レヴィットも外に出てくる。そして問題の事件が起きる。

毛無レヴィットがちんこでアルマを突いたのだ。
※そのままの意味で、セックスしたという意味ではありません。

その事をみんなに話すアルマだったが、誰も信じてくれない。ついに毛無レヴィット本人までもが否定し始め、見ている方もあれは妄想だったのかと混乱してくる。
良くないことに毛無レヴィットが好きな女の子がいて、アルマのいじめを始める。
アルマ大ピンチで、実際窮地。

毛無レヴィットちんこ事件は本当に起こっていたことなのか、はたまたその真相とは!?

冒頭からオナニーしまくるアルマに最初は気持ちがおいつかなくなるが、徐々に妄想率が減って普通の青春ドラマに落ち着いてくる一作。しまいにはラブコメばりにハピフルな結末が待ち構えており、気持ちよく振り回されている感覚が悪くない。

◆アイム・フラッシュ
★★★☆☆☆☆☆☆☆(30点)
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確かに輝いている

たっちゃんと、目が死んだ例の俳優の弟による、なんだかふんわりした沖縄ノワール。たっちゃん以外の3人は殺し屋という設定なのだが、どんなに目を凝らして見ても殺し屋には到底見えないため、必要以上に緊張感の無さが際立っている珍作だ。(これがジョニー・トー映画だとサイモン・ヤムあたりで締めるのだが…)
もちろんその辺はある程度監督の意図であろう。目が死んだ例の俳優の弟が吐き出す気怠い雰囲気はそのまま映画の空気になっており、シニカルティックな作品であることをこれでもかと主張している。

たっちゃんは某宗教の若き教祖という設定で、この映画では殺し屋の標的となっている。しかし彼自身が生きることに無頓着になっている生粋の寝言野郎であるため、教祖と殺し屋の間に明確な対立象が生まれず、ぼんやりのんびりと話は進む。~~~からの、銃撃戦。
まさかタランティーノやりたかったわけじゃあるまいな…。

しかし、こんだけ寝言とマイペースが激しいと輝いて見えるのは事実だ。
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短い記憶(88点)

ネタ、バレルヨ。
ミルヒト、ゼタイ、ヨンダラダメネ。

◆短い記憶
★★★★★★★★☆☆(88点)
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奔走する母性、盲目の父性

ドキュメント畑のヨングン監督と、この作品で高い評価を得たユ・ダイン。それに建築学概論でも好演したユ・ヨンソクによる、しっとりと重いヒューマンドラマ。

18歳で恋仲だったヘファ(ユ・ダイン)とハンス(ヨンソク)。
奔放なヘファと心優しいハンス。
やがてヘファが妊娠すると、彼女は進学をあきらめネイルアートの勉強を始める。
ヘファの両親はこの結婚に同意したが、息子の将来を期待していたハンスの家族はこの結婚を許さなかった。
ハンスは姿を消し、孤独に耐えて出産したヘファ。
その裏で交わされた養子縁組の証書。
ヘファは産まれた子が、その日限りの命で死んでしまったと聞かされる。

5年後、再開するヘファとハンス。
ヘファは新しい人生を歩むため動物病院で働いていたが、二人の子が養子先で生きていることをハンスに告げられると、消失していた母性がよみがえり、わが子への衝動を次第に抑えられなくなっていく。
過去に目を向けず、必死に前を向いてきたヘファに再び襲い来る無念と後悔。
幼稚園のトイレでその女の子と鉢合わせると、衝動的に誘拐を行ってしまう…。

しかし誘拐は未遂に終わり、結局女の子を置いて立ち去るヘファ。
それを見ていたハンスが結局女の子を誘拐。ヘファの家へ連れて行き、最初で最後の家族の一緒の食事を取る。
犯罪であるとわかりながらも過ぎていく、幸せな時間が胸に痛い。

あくる日、警察がヘファの家に来ることがわかると、彼女はハンスを追い出し、誘拐犯として逮捕される。
しかし彼女はそこで、二人の本当の過去と、ハンスの苦悩の日々を知ることになる…。


現在と5年前を往復することで、複雑な事情と繊細な感情が次第に浮き彫りになるという構成の映画であり、その細密な削り出し過程がこの上ない演出効果として成功している。
中盤までに感じる主人公たちへの思いは、真相が明らかになった後に大きく変わるだろう。

話の結論から言えば、二人の子供は出産時に亡くなっている。
それをヘファは聞かされているが、ハンスもそれを知ったうえで養子生存説を放り込んだのである。
過去に対するヘファとハンスのスタンスには相違がある。これは本作における肝となっているが、"全てを分かっていたはずのハンス"という存在が明るみになったとき、話はよりプライベートで、切実なものになるのである。

複雑に揺れ動く感情を、ユ・ダインのクローズアップと細密な演出で綴る、地味なヒューマンドラマ。しかしユ・ダインの素晴らしさだけで語るにはもったいない傑作だ。
辛い現実を飲み込み、車のギアをバックに入れ、再生に向かうヘファのラストシーンが本当に素晴らしい。
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アフターアース(27点)

◆アフターアース
★★☆☆☆☆☆☆☆☆(27点)
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シャマ神様×スミス親子のコラボ飯

しっかりした話を作るのが大の苦手で、真面目にやってるのに大長編は蜂の巣のように穴だらけになってしまう、聖シャマラン大学初代学長にしてナイトクロニクルズの偉大なる創始者、M・ナイト・クソ・シャマラン大先生の最新作が登場だ。
今回も中二の四コマばりに浅はかだから、みんな絶対見てくれよな!
でも絶対見てくれないからネタバレ全開で行くぜ。

さっそくその素晴らしい御業をなぞっていこう。
シャマ歴20XX年、人類は地球を破壊しすぎて住めなくなってしまったので、外宇宙に向けて大移動を開始。「お!ここはナイスな惑星ぞ!」というところを見つけたものの、先住生物がいて戦争になる。この戦争はその後1000年も続いており、父スミスは軍の英雄、子スミスはその息子という配役である。
で、父スミスがなんで英雄かというと、先住生物が放ってきた生物兵器「アーサー(人類の天敵をこんな普通の人の名前で読んでいいんですか…)」は人間の恐怖を触角として動くため、恐怖を感じない父スミスは無敵、という寸法である。
(設定ダサ!)
ところで例の先住生物は予算の関係からかスクリーンに姿を見せることが無く、妙な緊張感のなさが生まれているが、シャマ神様はそんなこと当然お気づきの上でこうなっているに違いないのである。

子スミスはそんな父に良いところを見せようと訓練を頑張ってるっぽいが、残念ながらまだ未熟でレンジャー試験に落ちてしまう。
そんな子スミスを連れ、父スミスは訓練のための遠征に出かける。宇宙船には訓練用のアーサーを乗せており、現地でこの生物を使った演習を行う予定の様だ。
しかし宇宙船はなんか微妙な重力派とやらを受けて航空機事故的な演出と共に墜落。

堕ちた星はなんと「地球」!
しかし地球である意味は(これ以降の展開を考慮しても)まったく無いので、シャマ神様のちょっとした冗談であろう。

宇宙船は真っ二つに分かれて100KM離れた場所に落ち、救難ビーコンは親子がいない方の破片に置かれている。父スミスは両足骨折で動けないので、子スミスが一人で長旅をすることになる。
父スミスによると「地球」は"人類に敵対するように成長した大自然"になっているとのことだが、実際にはこれと言って敵対するような事象は発生せず、これもシャマ神様のちょっとした冗談であったことは明白である。

そんなわけで大自然を闊歩するだけなら安全なのだが、酸素が薄くなった地球(という、大密林なのに無茶苦茶な設定)と逃げ出したアーサーという問題が残っている。
酸素が薄い件については「さんそきゅーにゅーほじょざい」ってものがあるのでこれで解決。(いやほんと、普通にサルとか生活してますけどもね。)
環境的には夕方になると何十度も気温が下がって凍てつくという問題があるが、これもなぁなぁに進行するので大した問題にはならず。
それより俺は子スミスが飯を食わず何日も行動できることの方に驚いたのだが…。

続いて肝心のアーサー戦である。
人類が使用している武器は何故か飛び道具ではなく、20種類以上に形状を変化させることができる近接武器。ナイフみたいなやつ。
たぶんスターシップトルーパーズみたいにしたかったんだろう。
ここまで来たら言うまでもないことだが、この武器の形状は最終的に2種類くらいしか登場せず、20種類云々というのはシャマ神様のちょっとした冗談である。

で、最終的に子スミスは恐怖に打ち勝ってアーサーを倒す。
恐怖に打ち勝って…。
だから序盤にやたらと「白鯨」を押しまくってたのね。(なんてダサい映画づくり!)

もう、本当に子供みたいな映画の作り方で、設定は四方八方思いつき。そこにリアリティや説得力を築こうなんて全く考えてないから、見てる方は「ああ、馬鹿なんだなぁ。」と思うしかない。やるなら「エアベンダー」くらい崩壊して欲しいものだ。

今、映画界で最も信用のない神。M・ナイト・シャマ神。
原作と主演をやったスミス親子の正気も疑わざるをえない。
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スプリングブレイカーズ(53点)

スプリングブレイカーズ
★★★★★☆☆☆☆☆(53点)
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嫌いじゃないぜ。嫌いじゃないけど…。

一斉を風靡したティーンアイドルと演技派イケメン俳優がビッチ&チンピラになって大はしゃぎ。内容はアシッドメロウで怠惰な寝言に過ぎないが、「世界を挑発する無敵のガールズムービー」なんてド派手に広告も売って(当然配給の金目当てなキャッチなんで的は得ていない。)、劇場は半分以上が若い女の子で占められていた。
案の定、冒頭からおっぱいでまくり~疑似小便シャワーなどなど、ただ単に下品なだけのノリノリ映像が展開するのだが、この時点で女子数名グループが席を後にしていた。

さて、あってないような物語の筋は以下のようなものである。
金が無い女子大生4人が春休みにバカンスに行けないのが我慢できず、とうとう銀行強盗までやって現金をゲット。その金で絵にかいたような間抜けな春休みを満喫するものの、ドラッグをイタシてるところに警察介入でタイーホ。楽しい春休みもこれまでかと思った所にチンピラフランコが登場して保釈金をポロリ。女子大生はまんまとフランコフレンズに仲間入りするんだけど、チンピラフランコは割に憎まれてるギャングでお隣のブラックメンズと一触即発。そんならやったるわとアジトに乗り込むんだけど実際屁垂れのフランコは開幕死を飾って後は女の子のキャッキャウフフでジエンド。
なんじゃこりゃ。

要するに長々うわごとを聞かされた上でのお姉チャンバラ。
嫌いじゃない。嫌いじゃないぜ…。でもな…
若造が変なドリームに突っ走って爆死する寝言みたいな話としては「ベルフラワー」に遠く及ばない凡作だよ。
何が足りないってね、夢が足りないのさ。
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ウーマン・イン・ブラック(51点)、鍵泥棒のメソッド(80点)

◆ウーマン・イン・ブラック
★★★★★☆☆☆☆☆(51点)
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MIBのパロディじゃなかった

マグル世界でダニエルと言ったらクレイグだが、魔法界ではラドクリフ一択である。どんなに青髭が濃くなろうとも童話世界の主演をやり通した彼はあっちの世界では相当に愛されている。
そんなダニエル坊がメシア役からの脱却をもくろんで主演したのが本作「ウーマン・イン・ブラック」である。MIBのパロディではないので純粋にミステリーホラーファンにのみ推薦しておく。

出産で嫁を亡くし、男手ひとつで息子を育てているハリーは、法律家としての仕事もうまくいっておらず、雇用主から最後のチャンスとして未解決の難事件を任される。
仕事としては亡くなった女性の遺産・書類を整理するというだけの事なのだが、現地の協力が得られないことから、話は進まずにいたのだ。

何故現地の協力が得られないのか。それは亡くなった女性の呪いで子供達が次々に死んでいくという怪事件のせいであった。
女性の霊を誰かが目撃すると、必ず誰かの子供が死ぬというのである。

困り果てたハリーはとりあえず女性の邸宅を物色していくが、その間も子供が次々と死んでいく…。
やばい。これはまず呪いを解かなければいけない…。
ということで、後はリングと同じです。

もともとハリーポッターの後半は暗い話ばかりなので、この映画のダニエル坊もハリーとあまり変わらない…。けど、決して悪くないです。ハーマイオニーよりは生き残れる可能性を感じましたです。ハイ。

◆鍵泥棒のメソッド
★★★★★★★★☆☆(80点)
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予告はさむいけど

ちゃめっけたっぷりのおさむい予告のせいでまったく観に行く気が起きなかった喜劇映画。演劇指向でしっかり筋が通っており、大変面白いです。
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ドリームハウス(40点)

すんません。時間なくてショボイの一本。

◆ドリームハウス
★★★★☆☆☆☆☆☆(40点)
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それでもスーツは高級品

高いスーツ着る役しかできなくなってしまったダニエルクレイグ主演のおセンチホラー。実際に観ようという人は少なそうなのでネタばらします。

編集長を引退して田舎暮らしをすることにしたダニエル。しばらくすれば「ドリームハウス」という(ダニエル著のスゲーつまらなそうな)本も出版される予定で、まさに幸せそのものの家族生活が始まる予定だった。
しかし住み始めた家がかつて”母子殺害事件”の現場であることがわかってからというもの、身の回りでおかしなことが起こり始める。

ほぼ無職のダニエルは過去の事件と精神病院に入れられている半容疑者の夫に関係があると考え、調査を始める。しかし中々この夫が捕まらない。
いくつか手がかりをたどっていくと、どうやら隣人が事の真相を知っていそうだということがわかるのだが………、

まぁ、自分がその夫で家族は幽霊でした。的な。

この種明かしがなんと1時間のところでされてしまう。おいおい後1時間どうするんだよって話なんだが、さすがに1時間あると真犯人を見つけて殺すくらいの時間はある。よって実際そういうことになる。
で、なんか色々変なんだよね。真犯人がわざわざお家にやってきてくれたり、精神病患者のダニエルが編集長だったり、「ドリームハウス」というクソつまらなそうな本がエピローグで実際に出版されていたり。
ダニエルは作品選ばねぇなぁ。
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高地戦(83点)

◆高地戦
★★★★★★★★☆☆(83点)
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38度線、朝鮮民族の戦い

1950年に始まり、53年に終結する朝鮮戦争を舞台にした戦争ドラマ。
開戦直後に北朝鮮の捕虜になったシン・ハギュンとコ・ス。コ・スはその後行方不明となるが、運よくシン・ハギュンは解放され、軍の防諜隊に所属して順調に出世していた。

ある日シン・ハギュンは、停戦時の境界線を巡って熾烈な戦いが続いている38度線にある高地に派遣されることになる。任務はワニ中隊に潜む内通者の調査だ。

取っては取られ、取っては取られ、延々と戦いが続く高地前線にやってきたシン・ハギュンが見たものは、日常的な死。人が変わったようなコ・スとの再会。それに、殺し合うもの同士が歪に共有する同情と連帯感であった。
この場所で任務を遂行することが事実上困難であることを察し始めたとき、ワニ中隊は中共軍の猛攻撃で全滅の危機にさらされる。
なんとか逃げ延びたものの、コ・スはアカ軍狙撃手によって命を奪われてしまう。

翌日、12時間後に停戦協定が結ばれることが決まると、両軍は最後の戦いに向けて準備を始める。深い霧の朝、アカ軍から故郷を想う合唱が聞こえてくる。これ以上同族が殺し合う必要がどこにあるのか。大量の命と引き換えに、38度線は始まった時とほぼ同じ形で停戦を迎える。


朝鮮が大国に押し付けられた38度線という理解しがたい概念。
この映画は、南北に分けられた朝鮮民族がその理不尽な概念と戦い、苦悶し、何も消化することのできないまま絶命していく話である。
悪名高い朝鮮戦争の悪名高い所以がわかりやすく提示されている映画だ。

いたって真面目。にも拘わらず、ところどころ良質なエンタメが展開されているところはさすが韓国映画である。
韓国の1個小隊を全滅に追いやるほどのアカ軍スナイパー、通称”2秒”(700mの距離から命中させることから、そう呼ばれる)が、普通に可愛い童顔の女の子…とか。
闇夜にゾンビのように現れる中国共産党軍とか。(←出来栄えが良すぎて笑った)
勧善懲悪でいうところの悪サイド全開なアメリカ軍とか。

役者陣ではコ・スはイケメンすぎてどうにもならないけど、やっぱりシン・ハギュンがいい。
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ジャッジ・ドレッド(80点)

◆ジャッジ・ドレッド
★★★★★★★★☆☆(80点)
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思春期の欲望を弁当にしてお届け

スタローン版とは直接関係のないリブート。
ポストアポカリ世界におけるパンクな人間社会に君臨する、法の番人にして処刑人。”ジャッジ”たちの活躍を描いた筋肉モリモリ映画。

ベテランジャッジのドレッドは新人の金髪ガールをお供にしてピーチツリー(デカいビル)の殺人事件現場に向かう。
ちなみに新人の金髪ガール”ジャッジ・アンダーソン”はテレパス能力の持ち主で、相手の考えを覗くことができるので大変優秀である。

さっそく調査を始める二人。
スローモと呼ばれる麻薬とピーチツリーを支配する”ママ”が今回の問題だ。ということで、とりあえずママをとっちめないといけない。ママは上層階にいるのだが、ビル全体が二人の敵となって立ちはだかる。
果たしてジャッジ・ドレッドと新人アンダーソンはママをとっちめることが出来るだろうか。


というわけで、極めて単純な脳筋バイオレンス。
ドカドカ壊し、バシバシ殺す。血液に抵抗がなければ最高に気持ち良いエンターテイメント映画に仕上がっている。
バイオレンスだけがファンポイントではない。アンダーソン役の金髪ガールがかなり可愛い。眉毛は黒で残しているのがポイントだ。
しかもテレパス持ちという設定を最大限に活かしている。

ちんぴら「あんたテレパスなんだろ?」

アンダーソン「えぇ。」

ちんぴら「俺が何考えてるかわかるか?」

ちんぴらの脳を覗くアンダーソン。
激しく犯される自分自身の姿。


アンダーソン「ふん。私を暴力的に犯してるんでしょ。そんなもの慣れっこだわ。」

ちんぴら「へっ。それならもっとすごいこと考えてやるぜ…」

アンダーソン「…ひぃぃ!!」

中二か!!
チャールズエグゼビアからは想像できなかったが、テレパスは大変エロい能力だ。
(一部の愛好家はチャールズで想像していたかもしれない)
テレパスでカワイこちゃんの金髪ジャッジが厳つい男に囲まれるたびにハードに犯される妄想を覗く。この設定だけでスーパーヒロインの誕生だ。

スプリング・ブレイカーズに次ぐ2013年の欲望大作だ!
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