BG紹介:ドーン・オブ・ザ・ダイス

『このルールで合ってますか?』

台湾のボードゲームメーカーは見た目のディレクションがしっかりしていることが多い。
かつて僕が楽しみにしていた台湾のゲームシリーズに「ゾンビータウン」という小箱ゲームがある。このゲームはその後、拡張を2つ出して終わってしまった。
しかし、同じイラストレーターは今も別ブランドで活躍している。今回紹介するのは「ゾンビータウン」のイラストレーター(Big-D)がかかわる、またもやゾンビゲーム。「ドーン・オブ・ザ・ダイス」だ。

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あまり見たことがないレトルトパックみたいな袋に梱包されている。
アートデザインはさすがBig-D。表紙だけしかないとはいえ良いクオリティしている。
さて、このゲームの最大にして最大、最大の問題は、付属している日本語ルールの日本語がイミフだと言うことだ。用語の間違えとか言い回しの不器用さなら問題ないのだが、翻訳品質としては所謂クリティカルというやつで、意味が通らなくなってしまっている。
たとえば、このゲームではゾンビ目のダイスを他プレイヤーに分配するケースがあるのだが、これについての説明が「乱数でサバイバーたちに配る」では困ってしまう。
残念ながら英語がないため、繁体字で確認してみると“任意順序~”と書いてあるので、アホっぽくそのままの意味で捉えて、プレイヤーが1個ずつ好きな順番で他プレイヤーに配るということにした。アイコンなどが共通している「ゾンビータウン」では時計回りにゾンビ配置するので、ひょっとしたらそっちが合っているのかもしれない。

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中身は特殊ダイスが12個。それのみ。
ダイスのアイコンはゾンビータウンとくりそつだ。
ゲーム自体はこのダイスだけで十分成り立っているのが良いところ。なのだが、プレイは4人以上をお勧めしておく。3人でやるならヴァリアントを考えた方がよいかもしれない。詳しくは後述する。

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手番になったらダイスを振る。全部。
そして以下の出目の順番で処理をするのだ。
・パンチ⇒自分の前のゾンビを移動させる
・ナイフ⇒自分の前のゾンビを殺す
・ガン⇒他プレイヤーの前のゾンビを殺す
・爆発⇒全プレイヤーの前のゾンビを1体ずつ殺す⇒このダイスは消滅する
・ゾンビ⇒他プレイヤーに乱数で配る

ゲームの終了条件はゾンビ以外のダイスがなくなることなので、“爆発”が収束エンジンということである。

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これを繰り返していくと、ゾンビが誰かのところに溜まったり溜まらなかったり。次第に全体のダイス量が減っていき、終了条件に近づいてくる。
さて、終了条件はゾンビ以外のダイスがなくなったときと説明したが、胆はその先の処理である。
その時点でもっとも自分の前にゾンビダイスが多いプレイヤーがヘルプミープレイヤーとなり、両隣のどちらかのプレイヤーを巻き込んでサドンデスが行われるのだ。サドンデス処理はほぼ五分条件のダイスフリフリゲームとなっており、巻き込まれた方はいい迷惑である。
つまりだ。ゾンビダイスの最多所持者にならないようにするだけでなく、隣にもならないようにゲーム中は努力する必要があったのだ。そのためのガンであり、ゾンビの移動なのである。
すなわち…3人プレイじゃいかんのだと思うのよ。ってわけで4人以上でやるよろし。

【評価】
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【所感まとめ】
そもそも、このルール解釈で合ってるんですかね。


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BG紹介:デザインタウン・再利用&プロモカード

先日基本編を紹介した「デザインタウン」の拡張を紹介したい。
その名も「デザインタウン・再利用」。リサイクルをテーマにした追加カードだ。
また、プロモカードもこのタイミングでないと出す時がなさそうなので一緒に紹介したい。

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非常に小さな壁掛け型の箱に収められている。
というのも、カードはたった2種類なのでそりゃ小さいわけである。
2種類と言ってもカードの表裏があって、建物的には4種類。基本編が10種類の建物だったことを考えればそんなものかなと言ったところである。
プロモカードはデザインタウン日本語版の初版の時にも貰えたのだが、当時は英語表記だった。今回のゲームマーケットで貰えたのはしっかり日本語化されていた。

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拡張だけあって、建物効果は癖が強くできている。
「フリーマーケット」は初期状態がアップグレード仕様で、ダウングレードすることでお金にすることができる。また、ラウンドで使用するお金が余った際にその残り金を利用してダウングレード前の状態にできるため、金回りを無駄なくすることができる。
「工具店」は他プレイヤーの山札を削る効果がある。削った結果その相手を害するか利するかは場合による。効果の読みにくい建物だ。むしろそれをアップグレードしてできる「都市開発機構」はアップグレード専用の資金源として威力を発揮してくれる。
「オフィス」は金回りをコントロールできる建物だ。しかしやはりアップグレード先の「貿易センター」が狙い。「貿易センター」は捨て札のカードを1枚山札に戻すことができる。これを利用して、一気にクリティカルな局面に持っていくことができる。

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これらの拡張は基本編にあった一人用ルールの際にどのように適用したらよいか記載されていないため、基本的には多人数でのみ投入できるということだろう。
拡張というだけあって使い方が難しいため、「デザインタウン」に見られたカジュアルプレイヤーへのアプローチからは少し外れているかもしれない。デザインタウンが気に入っているのであれば無問題だが。

【評価】
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【所感まとめ】
難しめなカードの追加になるので、このゲームが好きで、慣れてきたのであれば導入しても良いのではと思います。
また、「デザインタウン」は「FlipTown(おめくりタウン)」としてTMGからリリースされるようです。さらなる簡単拡張を期待したいです。
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BG紹介:デザインタウン

ゲームマーケット風物詩のひとつに、スワンパナシアなどから拡大していった台湾のゲームメーカーの出展がある。彼らの特徴はアートワークの点で極めてすぐれているということだ。システム的には荒削りというか、未完成なんじゃないかと思うものもチラホラあるが、見た目という点では国内メーカーよりも洗練されている印象が強い。
今回紹介する「デザインタウン」はモアイデアゲームデザインがリリースしたもので、デッキ構築系×バーストゲームという新しい切り口でシステム的にも見るところのあるアイテムである。
同メーカーは今年「鋼鉄と火薬」もリリースし、国内での知名度も上がってきたことだろう。

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個人的に台湾は大好きだが、その理由の一つには、彼らの親日なところにもある。
どれだけ日本に市場があるのかはわからないが、自ら日本語版をリリースしているのだからすごい。
上の2つのボックスはデザインタウン日本語版の初版(右)と二版(左)。なぜか大きくなった。カードがきっちり収まっていたのに、大きくなってしまったせいで余分な隙間ができ、ガタガタと箱の中で動くようになってしまったのはとても残念だ。

イラストの良さは台湾ならではだが、街づくり×ポップの組み合わせは初版よりも前に出ている「街コロ」の影響があったのではと推測する。どちらもテイストは似ているが、スマホゲーム的な街コロよりも、アメトゥーン的なデザインタウンの方が個人的には好みである。カードがつながって街になるところも良い。

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中身。カードのみで、エンボスはかかっていないが、厚みもありチープな印象は受けない。
初版ではカード効果のみが日本語で建物名は英語だったが、二版からは全て日本語化されている。
カードの種類は非常に少なく、全5種類である。少なくてびっくりすることだろう。しかしカードは両面使用になっており、表(カード下部が白)の建物をバージョンアップして裏(カードの下部が黒)の建物にすることができるようになっている。
つまり、建物は全部で10種類あるわけだ。

プレイヤーは我が街の市長となり、これらのカードをうまく運用することで一定の名声点を目指すのである。
具体的には、デッキを街に見立てたデッキ構築ゲームをするのだ。

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プレイヤーの初期の街(つまり初期デッキ)は写真のとおり。※アパートが抜けてました。
もっともしょぼい建物である「住宅街」が4枚。「アパート」が1枚。それ以外の建物を表向きで1枚ずつ。これらを表裏が変わらないようにシャッフルし、ゲーム開始である。
あ、そうそう。カードは両面使用なので、シャッフルの仕上げはテーブルの下などで自分にも見えないようにしよう。

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手番が来たら、デッキの上から1枚ずつカードをプレイしていく。
カードにはお金アイコンや勝利点アイコンが記載されており、好きな枚数だけ自由にカードをプレイしていくことができる。プレイするのをやめた段階で、プレイされているカードのお金を使って建物の購入やアップグレードをすることができる。

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ただし、NGアイコンが3つプレイされたら、その手番は購入もアップグレードもできずに即座に終わってしまう。つまり、バーストゲームだ。カードの赤いダメそうな顔アイコンがNGアイコンである。
でも、自分でプレイを止められるんだから、3つ溜まることはないんじゃないの?って思うだろう。確かにその通りだ。しかし、このゲームには止めたくても止めさせてくれない建物効果がいくつか存在するのだ。その中でも最も頻繁に出てきて厄介なのが、「住宅街」である。「住宅街」にはNGアイコンがついているのだが、カード効果として、「住宅街」が山札の一番上にある場合はストップできず、絶対にプレイしなくてはならないのだ。
この「住宅街」をそうそうに「アパート」にアップグレードするのがプレイのコツだろう。

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ゲームの目的は、誰よりも早く勝利点アイコンを8つ同じ手番でプレイすることである。ランドマークな建物についているこのアイコンを集めていくことが中盤以降の主な活動になっていく。例外として、18枚カードをプレイすることで即勝利できる「コンビニエンスストア」があるが、条件が厳しいのであまり現実的ではないだろう。

このゲーム、自分は結構お気に入りなのだが、その理由は
買うことと、蛇口を捻ることしかできない
という、プレイヤーの舵取りポイントを大胆に絞ったシステムだ。
考えることはできる。舵も取れる。しかし実際の運用がうまくいくかは運の要素も大きく、このゲームをとてもカジュアルなものにしている。

【評価】
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【所感まとめ】
カードの表と裏を上手に使ったゲームです。カジュアルで、見た目も良く、ライトな感覚で楽しめるでしょう。
若干カードの効果にややこしいものがあるため、「街コロ」ほど初心者に対するプレイアビリティの高さがあるわけではありません。ただ、目指しているところは「街コロ」とも共通するところがあると思われ、1つのアプローチとして興味深いと思いました。

◆街コロ
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