紹介:ボーナパルト

ボーナンザシリーズも拡張が多いシリーズだが、それらは基本的に全てカードゲームである。
1点の例外として「ボーンハンザ」があるものの、小箱カードという形態を続けてくれているのは嬉しいことだ。
今回紹介する「ボーナパルト」はナポレオンの侵略劇をテーマにしたボーナンザであり、基本的なゲーム進行に変更は無いものの、陣取り系の戦略ゲームである。
通常ならばボードゲームになりそうなテーマだが、無理やりカードマップに落とし込んだおかげで人数変化にも対応できるナイス仕様となっている。

ちなみに、かつて「チンギス・ボーン」の名でリリースされていたものの続編的包括版であり、個人的にはチンギスの見た目の方が好み。欲しいのだけど中々出回らない。

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Amigo小箱カードゲーム。ナポレオン豆。
どうせなら豆カードのの中にナポレオンを入れてくれれば良かったのに。
ご覧のとおり赤いマークが付いている拡張ゲームで、遊ぶには別途ボーナンザが必要。

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中身。
あくまで通常のボーナンザルールに陣取り戦略ゲームを乗っけるための“拡張”であるため、豆カードは1枚も入っていない。オリジナル追加豆もなし。

入っているのはマップとなる地形カードと、特殊能力が付加される騎兵カード&弾薬庫カード。それに自陣を表すためのプレイヤーチップ。このボナパルトが描かれた正方形のチップがダサくて、できればチンギスボーンの円形騎兵チップがほしいと思ってしまうのだ。

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基本的なルールはボーナンザそのままなので、いつも通り過去記事を参照してほしい。ただし、写真をご覧いただけるとわかる通り、テーブル中央に戦場となるマップを作らなければならないので、広めの場所が必要である。

「ボーナパルト」ではターラーをたくさん集めるのが目的ではなく、このマップ上の要所をより多く占拠し、最も高い勝利点を確保することが目的である。

ではいつマップを侵略するのかということだが、これは手番中に追加されたフェイズ“攻撃”のタイミングで行われる。

“攻撃”とは、自分の占拠している陣地に隣接しているカードに侵略を試みることである。

攻撃を行うには1ターラーを支払う必要があるため、開始早々はできない。その代わりターラーさえあれば一手番中に何回攻撃しても構わない。

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“攻撃”が行われたら、攻撃を行ったプレイヤーと侵略されたプレイヤーが手札から伏せてカードをプレイし、一斉に公開。(中立の場合はNPCが山札から出す)
攻撃を行ったプレイヤーの数字の方が大きければ侵略成功である。自分のチップをそのカードの上に置くことが出来る。防御側プレイヤーの数字以下ならばノーコンテストだ。

地形によってはこの数字に+αをするものもあるので、強い数字が無いと侵略は中々難しい。20の豆の地位がこのゲームではまったく異なるのである。
カードを戦闘用に保存して置くことができる“武器庫”は、このゲームに置いて最重要アイテム。高く感じるだろうが絶対に購入をお勧めする。

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4回山札が無くなるか、誰かが規定数を超える数の地形を制覇したらゲーム終了。
その時点の勝利点で勝敗を決める。

【所感】★★★★★★☆☆☆☆
普通のボーナンザのルールの上に、陣取りウォーゲームみたいなものがドサリと粗雑に乗っかっているため、プレイ感は非常に散漫としています。どっちかにした方がいいんじゃないかと思っちゃうのですが、なんというか、ラーメンと寿司の両方を食べたいっていう、でも実際に一緒に食べてみるとアレっていう、あんな感じに似ています。それでもボーナンザファンなら愛せる一作でしょう。
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紹介:わが街シカゴ

いま、2人用の対戦カードゲームとして俄かに評判なのがこれ。「わが街シカゴ」。
Your Move Games というこれまでに購入したことがないどころか、聞いたこともないメーカーから。
ルールはシンプルだが、コントロールという独特のシステムとカードバリエーションの妙で見事な駆け引きを実現した傑作ゲームだ。

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トランプ1セットサイズの小箱。
柔らかい素材のキャラメル箱みたいなものなので強度は無い。
とは言え、テカテカした素材にはそこそこの高級感が漂い、アドルング箱よりは幾分マシである。

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中身。
カード自体もテカテカした素材で、エンボス加工こそ施されていないが厚みもありそこそこに丈夫な感じがする。
ボックスも含めてだが、このゲームはデザインセンスが良い。テーマがぎゅ~~っと抽象化されたカードゲームには、こういうデザイン力が必要だと思う。

カードには2種類あり、得点となる街カードと、それを取り合うための影響力カードがある。
これらのカードのうち、1回のプレイで使用するのは街カード4枚、影響力カード12枚のみ。余談だが、ゲームにはその3倍の量のカードがあるので、3人対3人の団体戦も可能だ。ひそかに4人以上でも遊べる優秀なやつなのである。

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街カードはこんな感じで対戦する2人の間に置かれる。
この4枚のカードに対して、両サイドに影響力カードを置き、ゲームの終盤でその強さに応じた取り合いが発生する。

ということで、まずはカードのプレイ。
上の写真にある通り、プレイ用の影響力カードは街カードの横に置かれ、今回プレイするカードと次回にプレイするカードまでが見えている形である。

じゃあさっそくカードを置きましょう、と行きたいところだが、ここで「わが街シカゴ」の渋いシステム“コントロール(制御権)”の概念が出てくる。

簡単に説明しよう。まず、手番のプレイヤーは常にこの“コントロール”の権利を持っている。
この権利を持っているプレイヤーは、今回プレイするカードを自分が置くか、相手が置くか、決めることが出来る。

カードは両サイドどこにでも置くことができるものの、基本は自分の方に置いた方が有利なので自分で置きたい。
しかし、自分でカードを置いた瞬間に“コントロール”の権利は相手側に移ってしまう。

つまり、今プレイされようとしているカードを自分がプレイしたいか、プレイした場合、次のカードをどうするかの決定権は相手に移ってしまうがそれでも良いか、そんなことを考えながら“コントロール”し続ける価値をジャッジしていく。

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次に、置かれたカードはどのように影響力を発揮するかについて。
これらが効果を発揮するのは影響力カードを全て置き終わった後だ。

まず、影響力カードの上部には3種類のアイコンがいくつか描かれている。このアイコンは実は街カードの端にもついており、自分側にあるアイコンは自分のものとしてカウントできる。
どの街カードの判定を行うかについては、カードを置くときと同じような手順でどちらかのプレイヤーが指定する。この時、一番上に重ねられたカードに描かれている人物マークの中から1つを選び、宣言する。
人物マークはアイコンと対応しており、宣言されたアイコンの数が多い方がその街カードを獲得する。
これを4枚分繰り返し、すべての街カードが獲得されたらゲームは終了である。

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獲得した街カードと、プレイした影響力カードで自分の一番上に得点になるカードを置いていた場合はそれを足して、合計点を出して相手と競う。シンプルな決着のつけ方だ。

2枚目の影響力カードが公開されるおかげで、“コントロール”を持つプレイヤーはまさにゲームをコントロールできるという、斬新な手番システムが素晴らしい。
影響力カードのアイコンと人物マークの配分バランスも良く考えられていて、うならされる。
街カードの選択に入る時の手番順も考えながら戦略を練るなど、常にこれだという答えがないところが難しく、クセになる。

【所感】★★★★★★★★☆☆
一手番一手番にいろいろな可能性があり、その選択肢の多さと展開の自由度が非常におもしろいゲームです。
ただ、それがそのまま初見プレイヤーや初心者への壁になるかもしれません。ゲーマーであればかなりの確率で楽しめますし、ゲームをしているという満足感が強くえられる秀作ですので、個人的にはマストバイの勢いでお勧めできます。サイズとルール量にギャップがないところも、地味ですが大切ですね。
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紹介:(新)カタン・カードゲーム

交渉ボードゲームの金字塔である「カタン」。狭い業界の中では超が付くほどのロングセラーで、最近も国内メーカーのジーピーから再販されている。(昭和のおもちゃ産業を想わせる内箱デザインに眩暈がした人も少なくなかろう)

有名かつ面白い一作ではあるのだが、ヘクス型の見た目の悪さとメジャーなわりに初心者に進めにくい難易度もあって、個人的にはそこまで好きなタイトルではなかった。しかし、今回紹介する「(新)カタン・カードゲーム」はルールがカードゲーム用にデフォルメされて交渉がなくなり、初心者向けでこそないが綺麗にまとまったナイスゲームだと思う。

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カードゲーム小箱サイズ。
イラストは往年のカタン風。というか最近再販されたカタンのイラストベースだと思う。

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中身。
カードゲーム化されても街や騎士で10点を目指すのは変わらないため、資源カード以外にもカード化された街や騎士、その他特殊カードがある。
資源カードのイラスト等がボード版新カタンのものと同じかとか、その辺はジーピーカタン持ってないのでわかりません。

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前述したとおり基本的な目標は通常のカタンと変わらず、10点以上になるように自分の街を発展させていくというもの。
最初は道カード1枚と村カード1枚、手札3枚から始める。この時点では村による得点1点のみである。

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テーブル中央は公共の資源カード置き場とインフラカード(建物や騎士など)置き場になる。
毎手番、まずは自分の手札と公共の資源カードを交換することができる。
交換する際に重要なのが“自分の所有している道の数”で、これが多いほど交換できる枚数が多くなる。
交換できる先は
1.公開された5枚のカード
2.山札
3.他プレイヤーの手札
のいずれか。
また、道自体を持っていないと交換方法も制限され、山札としか交換できない。

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必要な種類の資源が必要な枚数だけ揃えば、自分の街を発展させることが出来る。
道を増やしたり、村を街にしたり、特殊な建物を建てたり、騎士を雇用したり。
いずれも得点に繋がるか、ゲーム展開を有利に運べるような効果がある。

道や騎士は置き場にストックが無くなったらルール上で指定されたプレイヤーから奪う形になる。2人プレイ時の取り合いが熱い。
その他強めの効果がある特殊建物の建築は早い者勝ちで、狙っているものがあるなら早めに確保したい。

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ちなみに道と騎士はA,B,A,Bと面を交互にしながら発展させなければならず、得点になるのは1枚おきだ。
でかい建物を建て始めたら一気に勝負がつきやすいが、もし邪魔をするならば相手の道や騎士を削る方法もあるだろう。2人プレイと3人プレイでの経験則になるが、この2つは終盤になると売り切れやすいようで、取り合いになる。

【所感】★★★★★★★★☆☆
ドイツ語の言語依存があるのがたまに傷ですが、カタンのルールがとても綺麗にカードゲーム化されています。相場など気にすることなく資源集めができるので、初見でも遊びやすいでしょう。若干ソロプレイ感が気になる人もいるかもしれません。
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紹介:アル・カボーネ

ウヴェ・ローゼンベルグの交渉ゲーム「ボーナンザ」は、年1本ペースで拡張やシリーズものがリリースされ続ける超ロングセラーの人気ゲームである。かくいうオビ湾もこのゲームの大ファンであり、常に遊びたいゲームの上位だ。
今回紹介する「アル・カボーネ」は、その名の通りマフィアをテーマにしたボーナンザであり、かつ1人~2人で遊べるように特別チューニングされた少人数用ボーナンザである。
ボーナンザの基本ルールについてはこちらでご確認ください。
ちなみに1人でもできるボーナンザと言えば「ボーンレーシェン」もある。

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Amigo小箱サイズ。
ボーナンザシリーズはルックアウト名義のゲームも多い。
ボーナンザの“拡張ゲーム”には赤い丸印で単独で遊べないよーってマークがついているのだが、「アル・カボーネ」はこれだけで遊べるように豆カード一式が入っているので、そのマークはない。

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中身。
まず目を引くのがマフィアのボスカード。
いずれもアルカポネ、コルレオーネなど元ネタがあるキャラクターで、少人数用のこのゲームにおいてプレイヤーのライバルとなる存在だ。
豆カードは基本セットから14、16、18、20の豆がエントリー。
さらにオリジナルの豆カードが13、16、19というステータスでエントリー。
詳しい豆の紹介は後にするが、基本セットをご存じなら13が最少というところに驚かれるだろう。(カードに書かれたこの数字は、そのカードの合計枚数。多いほど集まりやすく、その分たくさん集めないと得点にならない。)
小さな数字の豆カードが無いのは、このゲーム特有のマフィアルールと調整を取ったためだ。詳しくは後述。

さて、以前2人でこのゲームをプレイしたときの印象としては、交渉がなくなっていることもあってか「1人で遊んでも変わらなそうだな」と思った。そこで今回は写真撮影も兼ねてソリティアで遊んでみた。1人で遊ぶ場合、マフィアを3人とも使うので写真映えもするのだ。

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こんな感じ(奥の方)でマフィアはそれぞれに異なる豆を集めている。
左から順に、3金分、2金分、1金分の枚数が溜まると豆を売却するように性格づけされている。

彼らが集めている豆と同じ豆を自分の畑に植えていると、手番の初めに1枚没収されてしまう。みかじめ料だろうか。
それが済んだら手札から豆を1枚か2枚植える。

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続いて通常のボーナンザ同様、山札からカードがオープンされる。枚数は3枚。
この時、マフィアが集めている豆が出たら当然マフィアが回収する。彼らが持っていない豆が3枚揃うまで繰り返す。さらに…
この3枚と同じカードが捨て札の一番上にある場合は、その捨て札が回収されてオープンされたカードに加えられる。捨て札と一致しなくなるまでこれを行うので、大量の枚数の豆が売られた後にうまく連鎖すればフィーバーする。

こうしてカードが揃ったら、後は手番のプレイヤーが自由に植えることができる。(マフィアの畑が空いていればそこに植えても可。)
この時手札にある豆をマフィアに寄贈することもできる。これがかなり重要で、あえてマフィアの収集物を完成させて畑を空にして、いらない豆を押し込んだり、自分の集めたい豆を集めさせないように調整したりするのが勝利するための必須スキルである。

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こうしてゲームを続けていき、3回目の山札がなくなったらゲーム終了。
マフィア3人が集めたターラー(金)と、各プレイヤーが集めたターラーを比較して、最も多かったプレイヤーが勝利する。

自分に有利になるようにマフィアの畑を調整したいが、調整するということは大概彼らの収集物を完成させることに繋がる。マフィアがそれまでに何ターラーくらい稼いでいるかをカウントしながら、ほどほどに調整するのが良いだろう。
共存しながらより上を目指すというのがテーマと合っていて面白い。

プレイ感はまさにソリティアという印象で、ボーナンザ大好きな人がニヤつきながら遊ぶには良いかもしれない。2人用として遊ぶなら他に山ほど面白いのがあるので、ボーンシリーズに目がないマット・デイモンファン以外にはお勧めしない。

あと、「アル・カボーネ」オリジナルの豆カードはこの3種。
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いずれの豆もノワール仕様でかっこいい。
3枚とも1ターラーを得るまでの条件が厳しく、いったん1ターラー分まで集めたら後は1枚ごとに1ターラー上がるようになっている。初回ターラーまでの条件が厳しいのはアルカボーネのルールゆえだが、5枚で1ターラーの19豆はかなり集めにくい。

【所感】★★★★★★☆☆☆☆
2人用としての評価は正直いまいちなのですが、ソリティア用として見れば中々おもしろいように思います。ただし、交渉がなくなっているのでボーナンザシリーズが好きな人でもコレに楽しみを感じられない人もいると思います。豆を地道に集めて売却する行為そのものに魅力を感じるのであれば、楽しめると思います。
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今週のドゥームナイト~ポストジョブズの急先鋒現る?の段

今回はサーカワカミもトウフナイトOECもお休みということでクリーチャータメラとアレコレする雑談会となった。
当初トウフナイトはこれるかもしれないという話だったので、暇つぶしにR&Rの備品をいじくっていたら同人ゲームらしい某ゾンビゲームAを発見。イラストに異常に気合が入っていたことから、ドゥーム検閲局が中身を検査したところ、有名映画俳優そっくりイラストがぞくぞくと登場した。
副審は肖像権アウトと判定したが、主審は映画俳優がゾンビゲームAの著作を侵害していると判定し、セーフ。迷宮入りとなった。

結局、トウフナイトの参戦は難しそうだったので今日のメインへ移行。

◆パズルストライク Today's DOOM!!
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今話題の格闘アナログゲーム「YOMI」の作者によるデッキ構築型ゲーム。1年以上前からあったので「YOMI」より前の作品なのだが、この2つのゲームはキャラクターが共通している。「YOMI」のキャラクターが8頭身で、「パズルストライク」のキャラクターが3頭身。
勘の良いゲーマーならここで気付いていただけるだろう。「パズルストライク」は、あの●プ●ンの「パズル●ァイター」をイメージした作品なのだ。

システムは基本的にドミニオンで、見た目上の大きな違いはカードが丸いチップになったというところである。かなりしっかりした厚手のチップなので、持った時の安心感というか、満足感は◎。
選んだキャラクターによって最初に持っている特殊チップの能力が違う。

そして大きな違いになるのが勝利条件。
繰り返すが、このゲームは「パズル●ァイター」(つまり、落ちモノパズル)をテーマにしたゲームなのである。
ドミニオンのようにアクションやコンボを作ることで、相手にジェムを送る。溜まったジェムが10を超えて手番を終えたら負け抜けになってしまう。

この敗退条件が絶妙で、しっかりジェムを消す方法を考えておかないとタイミングがちょっと悪いだけでドボンになってしまう。他のデッキ構築ゲームにはない“手札を次の手札に残す”という効果が割とたくさんのチップについているのは、そのあたりのリスク管理をさせるためだろう。

ドラゴン師匠を使用するクリーチャータメラに、すっかり毎キャラになったセツキで挑むオビ湾。
セツキは「YOMI」ではコンボキャラだったが、「パズルストライク」でもアクション数を増やすコンボ推奨キャラに仕上がっていた。

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結果、ジェムが溜まっては反撃し、溜まっては反撃しというのを何度も繰り返す接戦となり、最後にタイミングをとらえたオビ湾セツキが勝利した。
ジェムが溜まるほど手札が増えるという爽快かつ元ネタ準拠なシステムが素晴らしい。

「YOMI」以前にもここまで再現性の高いゲームを作っているとは……ジョブズの後継者と言われるだけのことはある。
「YOMI」と違い、基本はドミニオンシステムに乗っかってしまってはいるものの、勝敗の独自性とテーマ再現度は素晴らしい。

多人数だと常に左隣への攻撃になり、競技性としては少々ぼんやりしそうだがら、2人で遊んだのは正解だったかもしれない。
アクションチップがテキストのみなので国内展開は厳しいアイテムだが、ジェムが主人公というテーマに共感できるのであれば、デッキ構築系の中でも特にお勧めできるゲームである。

でかしたぞクリーチャータメラ。
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【特集】HABAのゲームができるまで

黄色い箱に赤いロゴと言えば、ご存知ドイツの玩具メーカー「HABA(ハバ)」。
良質木材を使った子供向け玩具は数あれど、HABAのように中身のあるゲームを作れるメーカーは世界にも多くありません。
精力的なHABAは、積み木の可愛い「ワニに乗る?」や日本の皇室でも遊ばれた「スティッキー」のような有名タイトルに頼ることなく、年間に相当数のゲームをリリースしています。

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これら多くのゲームは高円寺にあるすごろくやさんを中心に取り扱われており、黄色い箱がずらりと並ぶ様子は圧巻の一言です。
果たして、これらの良質なゲームはどのように作られているのでしょうか。
ゲームのアイデアはどこから?何人くらいで作ってる?

その秘密が、新しくなったHABAのホームページで紹介されています。
製作工程が気になる親御さんも、将来ゲームデザイナーになりたいちびっ子も、ぜひ一度覗いてみてはいかがでしょうか。

◆HABAマガジン「ゲームってどんな風に生み出されるのかな?」へ
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いかがでしたでしょうか。
ゲームの素案って意外にも子供から持ち込まれてたりするんですね。
僕は、思ったより少ない人数で作ってるんだなって思いました。

HABAマガジンでは、他にも“ゲームの安全性”や“発達学を取り入れたゲーム”など、気になる記事を多数掲載しています。
本サイトでも随時紹介していきますので、今後ともご注目ください。


※本記事に使用されている画像・リンクは公式な使用許諾を得ています。
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紹介:サンタティメア

東西南北をスートに見立てたナイスアイデアなトリックテイク「サンタティメア」。
プレイヤーは自分の船の艦長となって、迫りくる嵐から船と積荷を守らなければならない。我こそは海の男であると主張するならば、「サンタティメア」はインポケットがマストである。

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小箱カードゲーム。Amigoに比べると少々大きく、HABAのカードゲーム小箱に似たサイズだ。
メーカーはアルゲントゥム出版と聞きなれない名だが、公式ページを見ると見慣れたゲームがちらほら。イラストはいぶし銀な感じが利いてて雰囲気がある。悪くない。

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中身はエンボス加工の施されていないカードのみで、嵐カードと船員カードの2種類。嵐カード、船員カードともに4スートで、東・西・南・北を表している。

艦長達の主な目的は、自分の船をできるだけ嵐にさらさず、被害値(マイナス点)を最小限にとどめること。
このゲームで言う被害値とは、嵐カードを受け取ってしまうことにより加算される。毎ラウンド提示される嵐カードに対して、各自が船員カードを使ったトリックテイクを行い、その結果に応じて嵐カードを押し付けあうという具合である。

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配られた手札はこんな感じ。
最初は比較的自由に舵取りができるだろう。
一番手前にあるのは“海賊カード”で、トリックテイクの時、隣の艦長と同じ数字を出したことになるという変わり種ジョーカーである。
同じ数字になる意味は後述。

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トリックを始める前に、まず嵐カードが1枚公開される。
これに対して、スタートプレイヤーから1枚ずつ船員カードをプレイしていく。
カードには4つの方角(スート)あることは前述した通りだが、リードされたカードと同じ方角を出す必要はない。つまり、メイフォロータイプ。(わからない方はすみません。「トリックテイク」でググってください。)

で、誰が嵐カードを受け取る(マイナス点を受け取る)かというと、嵐カードの方角(スート)に対して最も数字が低かった艦長である。
つまり、どの方角の船員カードを出しても良いが、できるだけ嵐カードと同じ方角を出さないと負けるぞ。というわけ。

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カードの強さ判定で面白いのが東西南北の概念。
嵐カードで指定された方角に対して……
同じ方角であればカードに書かれた数字通り。
真反対の方角であればカードに書かれた数字に係らずゼロ扱いになる。
方角が90度違う場合は、カードに書かれた数字が半分になる。

嵐カードに対応する方角のカードがなくとも、なんとかなる場合もあるのだ。

また、先ほど少し話に出た“複数の艦長が同じ数字を出した場合”についてだが、この場合、全ての対象となる艦長はトリックから離脱することができる。いかに数字が小さくとも、方角が合っていなくとも、バッティングしていれば負けない。というわけ。
テーマ的裏付けはないものの、このバッティングルールが強めのアクセントとしてハプニングを呼び、ゲームを面白くしている。


まぁこんな感じでゲームを進めて、手札が無くなった時に受け取ったマイナス点が最も小さい艦長の勝ち。
嵐カードには1点、2点、3点と種類があり、同じ方角で3種類集めるとそのマイナスが消滅するというこれまたテーマ放棄なルールがあるが、3点は各方角1枚ずつしかなく、すべての嵐カードを使用するわけではないので、狙うにはリスクが伴うようになっている。

【所感】★★★★★★★☆☆☆
カードの強さ判定が少々煩雑ですが、しっかり個性付けがされたトリックテイクという印象です。方角が90度違っても戦えるところは面白いですね。テーマ再現度は少々微妙で、嵐カードは何の方角なのか、船員カードの方角はセイルの向きなのか、考えれば考えるほど理解しがたいですが、やりたいことは伝わってきます。
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紹介:クォーリアーズ

2010年最大の話題作(?)にして、衝撃のゆるゲー「サンダーストーン」のマイク・エリオットが新たなデッキ構築型ゲームをリリース。しかも専用サイコロが130個も入ってるっちゅうんだから話題にならぬ筈がない。
日本語版リリースの情報も早々に発表され、国内でも受け入れ体制十分。台風による入荷遅延に歯ぎしりするファンも多かったようだ。
発売後約1か月の今ではイトーヨーカドーにも並ぶ人気ぶりである。嘘。

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サイコロを模した金属製のボックスで、日本語パッケージは周りの帯だけ。
このパッケージ帯を取ると、ゲームに使われるサイコロと同じような模様になっている。いかにもアメゲーファンタジーな色合いで見るに痛い感じである。

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中身。というか、セットアップ後の様子。
コンポーネントの売りは先述したとおり130個の特殊サイコロである。
いろんな色のサイコロがわんさか入っているというだけで胸躍るというわけだ。
そのほか、サイコロが象徴しているモンスターや魔法のカードが50枚ほど。プレイシートは付いていないがアークライトのサイトからダウンロード可能だ。(少々大きくて使い辛いが)

ドミニオン系ゲームと同じように、そのゲームで使うカードを選抜し、対応するサイコロをカードの近くに置く。
各自、ドミニオンで言うお金に当たる魔力サイコロと、雑魚キャラサイコロを受け取って自分の袋に入れておく。
これでスタンバイ完了。

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ゲームの流れはドミニオンに似ている。
まず、自分の袋の中から6個のサイコロを取り出して振る。
こうして出た6つの出目がこの手番の“手札”である。
この出目から、新しいサイコロを買うための魔力を支払ったりするわけだ。

しかしその前に、このゲームのメインであるモンスター召喚を行う。
出目としてモンスターアイコンが出ているサイコロのみが召喚可能だ。

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ででん、と。
モンスターを召喚するには必要なだけの魔力の支払いが必要。
こうして召喚しない限り、モンスターは出目に出ても何の効果もない。
モンスターの召喚期間は次の手番の最初までで、それまで生きながらえたモンスターは勝利点を生み出してくれる。
この勝利点を規定値まで集めたらゲームに勝利できる。

モンスターは召喚された後、他プレイヤーのモンスターめがけて攻撃を行う。
他プレイヤーは攻撃側の攻撃力に堪えられないモンスターを引き上げなくてはならない。
モンスターにはそれぞれ特別なスキルが備わっているので、それを活かせるようなデッキ構築をしよう。
また、モンスター以外にも魔法サイコロ等があり、こちらはモンスターに合わせて有効そうなものを選びたい。(一部、モンスターに関係なく勝利点につながるものもあり。)

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プレイシートを使うとこんな感じ。
左が使用済みのサイコロ、右上が召喚中のサイコロ、右下が準備中サイコロ(手札)だ。

せっかく高いサイコロを買っても、ほしい出目がでなければしょうがないというのがダイスゲームらしいところ。
ただ、モンスターが生きながらえると“いらないサイコロを1個捨てる”ことができるので、強力なサイコロを持ったプレイヤーが、そのままデッキを圧縮して勝利へ独走しやすい大味な調整がされている。
圧縮できるかもしれないからダメ元でじゃんじゃん召喚しろ!って意図があるのかもしれない。

というわけでサイコロ化したモンスターが可愛い、わりに大味なゲームだった「クォーリアーズ」。ダイスゲームが好きなのと同時に、アメゲーっぽいノリが好きな人にお勧めという感じだろう。

また、同じ絵柄のカードが3枚ずつあるんだけど、これの違いが“テキストを読まないと区別できない”というのが個人的に致命的×だと思った。ざっと場を眺めただけでは全体像が把握できず、わざわざカードテキストを読んで「今回はこれか」と確認しなければならない。
きっとこのくらいの不便さはテキスト大好きアメゲー界では普通なんだろう。
実際、アメゲーマーの友人に大うけだった。

【所感】★★★★★★☆☆☆☆
苦労して買ったモンスターたちが、じゃらじゃらと袋にたまっていく過程が楽しいサイコロゲームです。色とりどりのサイコロを転がす快感は独特ですね。
個人的には、バリエーションが少なくてもサイコロ1種にカード1枚が良かったなぁと思います。
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Do,or do not. There is no try.

「指輪物語LCG」や「おい!それはおれの魚だぜ!日本語版」など、いまもって精力衰えないFantasy Flight Gamesが、2012年からスターウォーズのLCGシリーズを展開する。
⇒公式ページ
swlcg.jpg
ジャケットは写真満載だけど、カードはイラスト描き下ろしになるらしい。
問題は、このゲームがLCGであるということ。
FFGの主力システムであるこのLCG。名称はリビング・カード・ゲームの略であり、つまるところ長期的かつ短定期性で拡張パックがリリースされていくというサービスである。

これは英語圏に住むユーザーにとってはワクワクものだが、リリースのたびに和訳シールを作成する英語圏外の我々にとっては生き地獄のシステムである。
僕はすでに「七王国の玉座LCG」に足を突っ込んでしまっているのだが、このシリーズもすでに50以上の拡張パックが発売されており、しかもかなりマイナーなキャラクターまで登場する円熟期に入っている。自力で和訳シールを作るには原作をペラペラめくりながら対象用語を見つけなければならず、想像を絶する苦行となっている。

つまり、このスターウォーズLCGもいずれは円熟期に入る。そうなると、星の数ほどもあるスターウォーズのスピンオフ(小説、ダークホースアメコミ、ゲーム、アニメ、TOY限定キャラ)から覚えのないキャラクターが飛び出してくることも想像に難くない。
よって、見なかったことにしたいと思う。(アークライトさん日本語版お願いします)

そもそもLCGを本当の意味で楽しむには、誰か一人が持ってればいいというものではなく、皆が基本セットと必要に応じた拡張を持っていて、それぞれデッキを考えて持ち込む必要がある。たぶん(少なくとも七王国はそう)。
そうなるとなんかもう僕らのやるボードゲームじゃないんだろうなとか。
そんなことを考えながら昔のスピンオフを取り出して読み始めているギークでした。
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紹介:ビュッフェのたたかい

重量級ボードゲームの重鎮、マーティン・ワレス大統領がひそかに育んだ軽量級ゲーム「ビュッフェのたたかい」。Uli Steinというドイツでは有名な作家さんのイラストとコラボレーションしたシリーズで、これ以外に「フォレショレ」ともう1つダイスゲームみたいなやつがある。

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「ウントチュース」というカードゲームをリメイクしたゲームで、今回はボードや得点タイルなどが加わったために大幅サイズアップ。正方形大箱とまではいかないが、その一回り小さいくらいの大きさである。
味わいのあるイラストは人によっては古臭いと思いそうだが、見慣れれば可愛く見えると思う。ドイツのサザエさんという感じだろうか。

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中身。
ウントチュースに比べると盛りだくさんの内容。
ボードのみならず、丸い食べ物チップや塗装されたネズミコマがついている。
コマは木製でもよかったけど、イラストの再現度が高くて◎。

このゲームは前述のとおり「ウントチュース」のリメイクである。
「ウントチュース」とd出されている得点カードを全員で取り合うゲームで、一斉にプレイしたカードの強さに応じた得点をとれるが、2番目に強いカードだと何ももらえないというハプニング感たっぷりでヘンテコルールが楽しい一作。

ボードゲーム版でも同じように、まずは得点タイルが公開される。

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ビュッフェ料理を取り合うという設定のため、こんな感じの小皿が得点タイル。
タイルにはちぃ~~っさく得点が書かれている。

これに対して各自がカードを1枚プレイする。

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プレイしたカードと同じ数字だけ、自分のネズミコマを進める。
ここで一番小さい数字だったプレイヤーが脱落し、その時点でもっとも小さい特典の小皿をゲットして自分の前に置く。そして残ったプレイヤーがまたカードをプレイする。そして1人脱落……を繰り返していく。
カードの数字は累積していくので、序盤から飛ばしていくのもアリだ。

こうして続けていくと、最後の1枚を取り合うのは2人になる。
つまり、この最後の勝負については脱落者に用意される小皿がないのだ。2位になるくらいなら3位以下の方がマシというわけだ。だいたいの場合、というのも…

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ゲットしたビュッフェ小皿は種類ごとに自分の前に並び、同じ種類のものを取ったら点数が上書きになる。
高い点の上に低い点が乗ったら損してしまうので、そのへんも考えたうえで順位を操作しなくてはならない。
アミーゴの小箱カードゲーム「ゼロの恐怖」に似た感じだ。

まさにウントチュースの進化版。
3人用に用意されたルールがまた逸品で、これまで3人で出来なかった分を取り戻せる出来。

【所感】★★★★★★★★☆☆
ウントチュース自体がかなり面白いゲームではありますが、進化版の「ビュッフェのたたかい」はその後光に負けない良さがあります。新しい得点タイルの駆け引きが加わっても以前シンプルなままです。ボードのレイアウトをはじめ、アートワークは一見洗練されていないように見えますが、一度ゲームを遊んだあとはかわいらしく見えます。
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シチリアシチリア★★★★★、最後の忠臣蔵★★★★☆、マイティ・ソー★★★☆☆、デューデート★★★☆☆、アジャストメント★★★☆☆、キラーインサイドミー★★★☆☆、ハングオーバーⅡ★★☆☆☆、デビル★★★☆☆、悪魔を見た★★★★☆、モンガに散る★★★★☆、パラノーマルアイランド★★☆☆☆、タウン★★★★☆

まさかの12連撃!というかレビューし忘れ処理

シチリアシチリア★★★★★
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恋しや故郷、愛しや人生

ジュゼッペ・トルナトーレとエンニオ・モリコーネという映画界屈指の組み合わせによる最新作。
牛飼いの家に生まれた主人公と、その貧乏な家族の三世代を愛情たっぷりに眺める170分のヒューマンドラマ。

ジュゼッペらしいノスタルジー表現とファンタジーが心地よい一作。バケツを持って立たされた少年が、足元の覚束ない活動家へと成長し、駆け落ち紛いの結婚を経て立派な家族を作る。若き日の情熱から比較すれば成功とは言い難い人生だし、子供たちにはみじめなところも見せたけれど…。老いた主人公が振り返る生涯の、なんと美しく豊かなことか。

そして岩の魔法を解いた少年は、かつて自分の家であった場所で長女の無くなったイヤリングを見つけるのだ。
テーマのドラマティックなデフォルメに、繰り返されていく人の生を尊く感じる映画である。素晴らしい。

最後の忠臣蔵★★★★☆
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お父さん、おひとついかがですか

なるほどそういう忠臣蔵ですか、と。原作を知らない身として大変新鮮に楽しませてもらった。
開始30分もすれば、気分は最早親代わり。桜庭ななみの半分は大人の愛らしい物言いに、鑑賞者の心の壁は瓦解しているはずである。
というくらい(義理の)親子の愛情にスポットライトが当てられている。

時代劇というと最後に派手な殺陣が用意されるのがテンプレートというか、いわば様式美のようなものだと思うが、この「最後の忠臣蔵」では物語半ばにおいて必要な分だけ些細な殺陣がやりとりされるのみ。

16年にわたる孫左の忠義と可音への気持ちを想えば、嫁入り行列のくだりは、少々演出過剰とはいえ涙無くしては観れない熱いシーンである。

娘を送り出した更年期の男親ならば、これ以上ピンポイントな映画はないだろう。
大した企画モノである。

◆マイティ・ソー★★★☆☆
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がっちりマッチョの金髪男に無敵のハンマーというフェティッシュ

もはや定番シリーズとなったマーブルアベンジャーズシリーズ。
これまでにアイアンマンにロバートダウニーJr.、ハルクにエドワードノートンを使用しているためか、徐々に主演俳優のランクが落ちてきているような気もするが、アベンジャーズを十分にやりくりするには致し方ないだろう。

説明するべきことが意外に多く、かなり駆け足な脚本である。コロリと改心するソーがかわいらしい。アクションはシリーズ水準と言ったところ。
出来は荒いけど楽しい一作。
これでキャプテンアメリカをやればアベンジャーズの下地は完成である。

◆デューデート★★★☆☆
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ザック劇場その2

「ハングオーバー」で大成功を収めたチームのザックコメディ第2作。
今回ザックの餌食になるのは、子供の出産に立ち会うため急いでアメリカ横断をしたいロバートダウニーJr。
コメディのクオリティーはそのままに、凸凹な二人の珍道中を描く。
最後は丁寧にいい話にしつつ、どんでん返しも用意して…と。
う~ん。まぁ予想の範疇で小さく終わっちゃったところはやや残念。

◆アジャストメント★★★☆☆
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エミリーブラント万歳

ポスターだけ見ると「またボーンシリーズですかマット君」と言いたくなるが、一応マット君は肉体的には常人で、アクション映画でもありません。

人には神様が決めた運命があって、その運命から外れそうになると“運命調整局”というおっさん達が地道に調整しにくる。
この運命調整局、ローマ時代以降1900年までにわたって人の運命を調整してきたらしいが、調整を止めた途端に人間が世界大戦やら何やら始めたから、しょうがなく戻ってきたのだという。笑えてしかたがない。

とにもかくにも彼らにとってマットデイモンとエミリーブラントが結婚するのはどうしても都合が悪かったらしく、あれやこれやと邪魔をして引き裂こうとする。
マットはそれに抗ってくっつこうとする。そんな話。

一応テーマらしきものはあるんだけど、運命調整局のトンデモ設定のせいで説得力がなく、結局は「エミリーブラントきれいだね」が感想第一声になってしまうのだ。

◆キラー・インサイド・ミー★★★☆☆
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ジェシカの顔を殴るんじゃねぇ!

ジムトンプソン著「内なる殺人者」という有名小説の映画化らしい。
人当たりも良く、評判も悪くなかった保安官補佐が実は衝動的サイコ野郎だったという話。暴力的には見えない風貌と冷静な話ぶりがなんとも印象的で、映画となっても文学的な魅力を残している。
フルキャスト揃っての派手すぎるラストは賛否両論ありそうだが、劇伴を筆頭にセンスの良さがそこかしこにみられる映画である。

◆ハングオーバーⅡ★★☆☆☆
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もういいかな

場所を変えてもう一回やってるわけなんだが、「デューデート」があったために三回目を観ているような感覚。
この調子だとザックに飽きた瞬間にこのシリーズは終わる。
コメディの品質は低くないので、このシリーズにはまっているのなら間違いなくお勧めできる。
デューデートで飽きが来始めた人にはお勧めしにくい。

◆デビル★★★☆☆
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シャマ師匠には遠く及ばない

シャマ師匠がせこせことノートに書きためてきたアイデアを新鋭監督たちが監督する「恐怖!ザ・ナイト・クロニクルズ」の第一作。
エレベータに閉じ込められた5人が救出されようという中、照明が消えるごとに一人また一人とメンバーが変死していく。今回も見えない敵と格闘するシャマランスリラー。
しかしこれは少々灰汁がなさすぎる。こちとらシャマ神のお弟子さんと聞いて観に来てるんだからもうちょいやんちゃなところを見せてもらいたい。
仮にも第一期シャマ高生たるものがこの程度のはずはなかろう。

◆悪魔を見た★★★★☆
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サイコホラーにアクションヒーローを放り込んだら

チェ・ミンシクがサイコな殺人鬼を演じるサイコホラー。のはずが、遺族の婚約者がイ・ビョンホンだったもんだから運が悪い。GIジョーのアクションヒーローをそのままに復讐の鬼となったイ・ビョンホンは、殺人鬼ミンシクをボコボコにする。
サイコホラーにおいて恐怖の絶対的主であるべき殺人鬼が、ヒーローの乱入によってお株を奪われる姿はなんとも滑稽でおもしろい。
さすが韓流映画は思い切りが良くて楽しい!

◆モンガに散る★★★★☆
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指は5本揃って拳になる

モデル出身の台湾性アイドル俳優イーサン・ルアン。実はテレビドラマ時代の「絶対命中100%」「敗犬女王」の時から個人的にひいきの俳優である。
B級青春映画時代はなかなか日の目が当たらず、その手の女性ファンでなければ来日したところでまったく気づかれないありさまだったが、ここ1年で飛躍した。
なんというか、作品に恵まれたなぁと。これからもこういう熱い映画に出てほしいなぁ。
と、思入れはその辺にして。

この映画はどこか韓流を想わせる青春×極道モノで、イーサン達5人が揃った経緯から、友情ゆえの悲しい別れを迎えるまでの話である。
ぶっ飛び級の爽やか描写などもちらほら出てくるけども、どうか引かずにニンマリして眺めてあげていただきたい。
悲しいけれど気持ちのいい一作となるはず。

◆パラノーマルアイランド★★☆☆☆
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パラノーマルアクティビティ2のレンタルケースに入ってた

悲劇的なことに、パラノーマルアクティビティ2を借りたはずがアイランドが入っていたという。ケースの裏を観てから直接取ったので間違いない。
が、むしろパラノーマルシリーズより楽しく感じられたのだから結果オーライとしよう。
無人島にバカンスに来たカップルだが、自分たち以外の存在がいることにうっすらと気付き始める。2日目、持参したビデオに自分たちの寝ている姿が撮影されていることで事態ははっきりした。なんとか事態を解決しようとする2人だったが……。という話。

2人をビデオに撮影するなどと言った悪戯めいた不気味さと、その正体の深刻さがまったくリンクしないなど、制作側の思いつきな演出がそこかしこに煌めく愉快作である。アホ映画ファンにおすすめ。

◆ザ・タウン★★★★☆
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こんなの俺のベン坊じゃねぇ

銀行強盗が職業になる街。ダウンタウン。
ベン坊とその仲間は少年のころからこの町でつるみ、悪さを働いていた。
ある日の強盗で禁断の人質を連れて出てしまった一行は、翌日から彼女を見張ることにしたのだが…。ベン某がその女性に惚れてしまい…うんぬん。

友情は大切だし、替えも聞かないけれど、それでもこの町から出たいし、出る機会を与えてくれた人と生きていきたい。そんなベン某の切ない葛藤が観られる傑作。
監督業がこなせるのは重々承知のつもりだったが、俳優としてここまでやられるとぐうの音も出ん。
でも僕は、アホ面役のベン坊が好きだ。
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紹介:セレンゲティ

ヘンテコルールの埴輪オークションゲーム「セレンゲティ」。
人気作家ミハエル・シャハト作で、短命なアバクスシュピールの小箱にしては珍しく、いまだに国内流通のあるロングセラーである。

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高級そうな顔面像が印象的だが、販促力のなさそうな箱絵。
アバクスの小箱はかつて横から開けるキャラメル箱だったが、現在は上下箱に分かれる化粧箱式、つまりAmigoと同じ仕様に変更された。
ただし、完全にAmigoのそれと一致するコロレットやその他人気作品と異なり「セレンゲティ」の箱は少し大きめである。また、リオグランデから再販されている「オール・ザ・ウェイ・ホーム」などのアバクス系ゲームもこれと同じく少々大き目。ちなみにカードサイズは同じ。

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中身。
カードにエンボス加工は施されていないが、かわりに大量のコインが入っている。
カードは6スートの各5枚で、数字の構成はそれぞれが異なっている。

ゲームの舞台はティンブクトゥの大市場で、埴輪を模したこのカードを巡ってプレイヤー達がオークションに参加するという設定である。

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毎ラウンド、オークションの対象になるカードが公開される。
これに対してスタートプレイヤーから値を付けていく。
オークションの勝者は対象となったカードを全て手に入れて自分の前に数字が見えるように置いておく。
また、オークションの対象になるカードは1枚、2枚、3枚、1枚、2枚、3枚……という具合に波のように変化していくので、力の入れどころも見極めたい。

そしてもう一つ大事なルール。
自分の前に置いてあるカードに書かれた数字は、オークションの競り値として提示できない。どうやら埴輪の呪いでその数字が言えなくなってしまうようなのだ。
オークション時に強力なライバルがいるときは、そいつの言えない数字を意識して押し上げてやるといい。

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またここで一つ大事なルール。
オークションで競り勝ったプレイヤーの払ったお金は、まずその金額と同じ数字のカードを持っているプレイヤー間で分配される。つまり、競り落としたカードには集金機能がついているのだ。
もしその金額と同じ数字のカードを誰も持っていない場合は、オークションの勝者を除いて全員で分配する。

お金を手に入れる方法は、この集金機能を使うか、オークションの初手番で降りて2金もらうかのいづれかしかない。

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最終的に、自分の前にあるカードが得点。最多残金も少々の得点。
カードは同じ色の枚数が多いほど高得点で、1点、3点、6点、10点、15点という所謂シャハト算式(前の得点+枚数)である。

ちなみに1つのスートの中に同じ数字はないので、同じ色を集めるほどオークションの時に宣言できる数字が少なくなってくる。

同色集め、カードの試算回収、支払った金の行先、相手の言えない数字、自分の言えない数字……
「セレンゲティ」の魅力はこの多様な値付け基準にある。

【所感】★★★★★★★☆☆☆
競り落としたカードが後にお金を読んでくれるだろう期待感と、言えない数字がなんとももどかしいユニークな競りゲームです。
ロングセラーも納得の良作です。
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カジノロワイアルは高度にプログラミングされています

こんにちわ。カジノロワイヤルです。
現在カジノロワイヤルは盆休み中でして、用意済みの記事が超ハイテク時限装置によって順次リリースされるように高度にプログラミングされています。

が、今日は手打ちです。

ちなみに群馬に来ています。
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路上販売って素敵ですね。群馬の野菜はどれもガッチリ体型で、思わず集金箱に100円入れたくなるように高度にプログラミングされています。

明日は温泉街へ行くんですが、今日は親類の家に泊まります。
そういえば温泉のゲームってありませんね。OEC君に作ってもらいましょう。

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姪が「ミイラの宝もの」を喜んでました。そりゃちびっこに喜ばれなかったら終わりなんですが。
初手番からでかいピースをど真ん中に置く感性って大切だなと思いました。

おやすみなさい
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ドゥーム評議会 ティンブクトゥでシャハトが埴輪を集める件について

今週のドゥーム評議会はシアン・ヒロシを迎えての拡大議会。
今話題のクォーリアーズとYOMIをテーマにするつもりだったが、人数が合わぬため持ちよられたゲームを消化するグダグダ会となった。

まずはじめにシアン・ヒロシの物珍しい持ち込みアイテムをチェックする。
その中のなんちゃらマギカという元ネタアニメがあるカードゲームを紹介してもらった。マギカとはマギー司郎のマギーと同じ語源(魔法使い的な)によるものという。
元ネタは大変な人気らしく、魔女っ子アニメらしいのだが、聞くところによるとエグイくらいダークなプロットが仕込んであるようで、いわゆる秋葉原系の大人アニメ層が対象のものらしい。
で、それをかなり詳細に再現したのがそのなんちゃらマギカというカードゲームらしいのだが、もろもろの理由でプレイは割愛。

ということで、何が始まるかと思ったらこれである。

◆武勇伝
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ドゥームナイトご用達ゲーム「武勇伝」。
今回は5人という大人数でのプレイとなったが、ぶっちぎりの英雄譚を語りきったスタッガータメラが優勝。
ジャブと武勇伝をやらせたら右に出るもののない男である。

◆セレンゲティ 【今週のカードゲーム小箱】
Today's DOOM!!
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ひどい写真だな。
オビ湾袋からおもむろに取り出されたシャハトの競りゲーム。
ティンブクトゥで年に一度開かれる大市。そこで怪しげな埴輪が大量に売りに出される。埴輪は波のように緩急をつけて押し寄せ、1個2個3個1個2個3個…という順番で転がってくる。同じ埴輪が多いほど幸せになれるという。埴輪には数字が刻印されている。埴輪は同じ数字のお金を呼び寄せる集金機能搭載。ただし主人は埴輪の呪いでその数字をしゃべれなくなる。
そんな感じに呪われた競りゲームである。

競り落とした埴輪に集金機能が付いているのがミソで、その後の他プレイヤーに与える圧力や収益、自分の競り安さなども考慮した値付けが求められる。適当にやってもゲームはできるが、これを考えると一段と面白くなる。
競り落とした際にそのお金がどこにいくかも値付けの基準になる。この値付け基準の多様性がセレンゲティの核だ。

これも緑一色すべてを競り落としたスタッガータメラが勝利。
ジャブと武勇伝とセレンゲティをやらせたら右に出るもののない男である。

◆HANABI
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花火感ゼロの協力型ドメモ式カードゲーム。
このゲームは2、3の思い切りが必要なタイミングを除けば、空気を読みながらベストを尽くすのみである。
やってる最中は面白い話もできなくなるので、正直やってて楽しくないです。


以上。

途中サー・カワカミがイエローサブマリンで買ってきたというギュンターバースのシュリンク入り「ブラッククロック城」を披露し、おいもビルがため息に包まれたという。
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続・51st STATE!!

完全に私的な好みで本ブログ唯一の★10評価を得ているボードゲーム「51番目の州」。
核戦争後の退廃した世界をテーマにした根暗でファンキーな拡大再生産ゲームで、当時の紹介はこちら

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世界観が独特で、好きな人は好きなアイテムのはずなのだが、ポーランド人のゲーマーには発狂の気があるようで、いまいち整理されてない複雑なルールが難点だった。ということで当然のごとく日本国内で大きく広がることはなく、この手のゲームにつきものの拡張の噂すらなかったのである。

それがここに来て拡張登場!
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「THE NEW ERA」
いいねぇいいねぇ。期待したとおりのタイトルだよ。
今回の箱は弾薬箱のようだ。
中身的にはソロプレイが強化され、プレイ可能人数も増えるとのこと。しかも!スタンドアローンエキスパンションだってんだから想像がつかない。

あ!スタンドアローンってことは、前回足りなかったチップが入ってるんだよね!そうだよね!?
ってことで待ちきれんですよ。

肩身狭き51sterよ!今こそ起ちあがる時だ!
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劇場版アニメ忍たま乱太郎~忍術学園全員出動!の段★★★★☆

この夏、実写版映画も公開されたNHKの人気アニメ「忍たま乱太郎」。1993年の放送開始だから、今年でもう18年目である。
長らく愛されてきたご長寿アニメではあるが、NHKということもあってか劇場版アニメはこれがまだ2本目なのだそうだ。
ファーストシーズンを齧り見た程度の、ノスタルジックな淡い前知識で挑む30歳の夏。

◆劇場版アニメ忍たま乱太郎
~忍術学園全員出動!の段★★★★☆

忍玉
そうさ♪ひゃくパーセント勇気♪

夏休みも明けて早々、忍術学園は大騒ぎ。
なんと事務員の手違いで学校中の宿題がめちゃくちゃに配られていたのだ。
6年生が1年生の宿題をやる分には問題ないが、6年生の宿題を与えられた1年生はたまったものではない。そしてどうやら、1年は組の喜三太がまだ登校していないようだ。
喜三太に与えられた宿題は「オーマガトキ城の城主のふんどしを持ってくる」という、とても難易度の高いものだったようだ。

オーマガトキ城は現在タソガレドキ城と目下戦争中である。
危険な地で行方が分からなくなった喜三太を救うため、忍術学園の精鋭たち(?)は救出部隊として現地に向かうのだった。

現地の情報を集めるうちに、オーマガトキとタソガレドキの戦に不自然さを感じる一行。実はこの戦には知られざる秘密があったのだ。
そんなとき、城主に刃向った村が軍隊に攻撃されることを知った忍術学園一同は、その総力を挙げて村を守ることを決め、籠城戦の準備を始めるのだった。

果たして敵の大軍から村を守りきることができるのだろうか?忍たまファミリーが総結集して送るお祭り騒ぎはまだ始まったばかり!

っというわけで、
素直に言ってすごく楽しい映画だった。

自分は忍たまファンではないが、登場人物が丁寧にキャラ付されてきたことが良くわかる。5分おきに訪れる予定調和のズッコケ芸に、この国民的アニメが大事に積み上げてきたキャラクター愛を感じる。

もともと短時間アニメ枠が長かったこともあってか、掴みの上手さは手慣れたもの。しかもその演出がシレっとさりげないんだから爽やかである。
忍たま達の極度のクローズアップで始まるオープニングも楽しい。登場人物を下から180度立体的に舐めるなんてアングルがNHKにあったのかと驚いた。

そもそもNHKと言えばどんなに些細なことでも集中砲火(の苦情電話)を受けて番組作りを改めなければならない厳しいフィールドである。
そんなキツい枠組みの中で、自由のびのびとキャラが活きてるのにはちょっと感動した。

作り手の気持ちと旨さが伝わってくる映画である。
どうもこの子供向け映画は侮れないぞ、と。脚本も然りだ。

“2つの大きな勢力の戦に巻き込まれ、その陰謀に気づく”という、普通の映画なら脚本の軸となるべき背景設定があるにも関わらず、この映画が提示するメインプロットは「行方不明の友達を救出し、弱い村を一致団結して守る」なのである。

近年、舞台や設定ばかりが大きくなり、中身が地に足着かない頭でっかちな映画が多い中、この「劇場版忍たま乱太郎」が提示するあるべき視点への固執は斬新で気持ちが良い。

乱太郎は僕の記憶にある素直な主人公像から少し変わっていて、ズッコケ機能を搭載したノリのいいメガネっ子腐女子へと姿を変えていたが(実際には男子である)、OL人気も納得の完成された愛されキャラで好感度が高い。新たなファンになってしまいそうだ。

とは言ってもさすがにどんな大人にも進められるものでもなく、「こんなん子供向けのTVアニメじゃんか」と一蹴されることもままあろう。
それでも、かつて忍たま乱太郎を見たことがあり、その心に童心が残っているのであれば、是非とも手に取っていただきたい良作である。
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紹介:陰陽

ライナークニツィア大先生と言えば多作過ぎる故のクローン疑惑である。
しかし、ライナーと言えば中央ライナーや日暮里・舎人ライナーなどに代表される特急列車の愛称であり、あながち大先生が高速でゲームを出し捲くるのも納得できなくもないのである。

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というわけで、今回はグリフォンから出ている「陰陽」。
これは昔「綱渡り」的なタイトルで出ていたものの再販らしく、しかも同タイミングでZochからも「フィフティフィフティ」の名前でリリースされた。

グリフォンでクニツィア先生と言えば「デスペラード」。グリフォンは名作の再販が多く、今回もこの組み合わせというだけで飛びついたというわけだ。

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中身。エンボス加工でチップまで入っているのは良いが、やっぱり缶入りは好かん。へこむし。
そしてタイトルどおりのモノクロで地味なデザインが大変根暗である。しょぼい。
「フィフティフィフティ」はカードのデザインが数字の大きさで違うため、自分の手札がどういう毛色になっているのかわかりやすかったが、「陰陽」ではカードデザインがグレーで統一されており、暗い上にパッと見でわかりにくい。これはちょっとマイナスだ。

と、見た目のマイナス点ばかりあげてしまったが、缶入りと言えば最近「クォリアーズ」の日本語版がリリースされて、そのボックスの売り文句に「コレクター性の高い缶ボックス」的なことが書かれていた。
“缶は紙よりも耐久性が高いから長い目で見てコレクター性が高い”と言っているのだろうか。ほんとにそういう価値基準があるのかどうかは知らないが、いままでマイナス要素でしかなかった缶入り仕様にはそういう理由があったのかもしれないと思ったわけよ。はい。

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さて。このゲームはトリックテイクである。
ただしトリックに使用したカードを取りに行くのではなく、はたまた場に提供された得点カードを取りに行くのでもない。
万物のバランスを司る陰と陽を取りに行くのだ。(謎

毎トリック、場に陰陽カードが提示される。
トリックで最も高い数字を出したプレイヤーが陽の白いタイルを数字分受け取り、最も低い数字を出したプレイヤーが陰の黒いタイルを数字分受け取る。

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ラウンドが終わった時、この陰陽のバランスがプラスマイナス“ゼロ”になることを目指すゲームである。
白のタイルを持っているときに黒のタイルを取れば、幾分か相殺される。

手札によって大きな偏りを避けることができないこともあろうが、肝心なのはそれをいつ逆方向へ引き戻すかの算段である。故に、陰陽カードの内訳と枚数は事前にすべてのプレイヤーが共有しておくべきだろう。本気で勝ちに行くならカウンティングもして然りである。

シンプルで軽いけども、戦略の取りようはある、クニツィア先生らしいカードゲームだ。

【所感】★★★★★☆☆☆☆☆
いわゆるスートがないトリックテイクのため、トリックテイクになれていない人に対する壁が低いのは良いですね。また、勝ったり負けたりの両方が必要なところもはっきりとした敗北感がなくてちょっと遊ぶのには良いと思います。ただしかし、Zochのフィフティフィフティに比べると見た目の根暗さが痛いです。ゲーム性とあっているとも思えず、★マイナス2つです。
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紹介:シュティッヒルン

もうすぐリリースから20年になろうとしているAmigoのロングセラートリックテイク「シュティッヒルン」。
さすがにこれだけご年配になると遊ばれているところを見ることもほぼないが、1993年にはアラカルトゲーム賞を受賞した傑作なのだ。

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チクチクーっと痛そうなボックスイラストは一応このゲームの中身を比喩しているようだ。
ちなみに以前はカード枚数が多かったからか国内流通価格が2000円だったのだが、赤帯の新装版から1500円になって買いやすくなった。

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中身。
もちろんAmigoなのでづるづるのエンボス加工だが、さすがに古さを感じるデザイン…。まあこれも逆に味があるから変えられてないんだろう。
そしてこのカード、1から20までの数字が何スート分も入っている。
そのカード構成のポテンシャルたるや「シュティッヒルン」があれば大抵のトリックテイクができるという都市伝説があるほどだ。

さて、このゲームは前述のとおりトリックテイクタイプのカードゲームである。
人数に応じたカードを抜出し、各プレイヤーに同数配ったらラウンド開始だ。

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まずラウンドの最初に、手札から1枚のカードを選ぶ。
これが、このラウンドで自分自身が背負うマイナス色になる。
このカードをトリックテイクで取ってしまうと、数字分だけマイナス点だ。ちなみにここで出すカードもマイナス点に入るので注意されたし。

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こういう本気な見た目のトリックテイクとなると、そりゃあもちろんマストフォロー(最初に出した人と同じ色を出さなきゃダメ)だと思ってしまうが、シュティッヒルンはわりに気さくな奴でメイフォロー(フォローしたけりゃすりゃーいい)である。

しかもリードしたカード以外が切り札!数字の力が大きいぞ。

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ラウンドが終わったら獲得したカードを整理。
最初に決めたマイナス色のカードは数字分だけマイナス点。それに対してプラス点はその他のカードの枚数。キビシー!!
ということを誰かが100点越えるまでやるか、10ラウンドやるか、まぁ好きに選べばいいじゃないということらしい。このトリックテイクを10ラウンドやるとか、ちょっと今の感覚だとマッドに見えてしまう。

また、この「シュティッヒルン」のカードを使って「トリックテイク」というトリックテイクゲームを遊ぶこともできる。(ルールブックに記載されている。)4人以上専用だが、トリックテイクが好きならやってみてはどうか。僕は機会がなくてやってない。

【所感】★★★★★★☆☆☆☆
長く遊ばれているだけあって、面白みがわかりやすいゲームです。マイナス点になる色はお互いに見えているので、周りに結託されたらひとたまりもありません。うまく立ち回れということのようです。
デザインがシンプルな分、人を選ばないところが地味な良さです。
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紹介:ジャブ~リアルタイム・ボクシング・ゲーム

ただでさえアナログ化が難しいスポーツゲーム。
「ジャブ:リアルタイム・ボクシング」はその名の通りリアルタイムでボクシングを再現したキチガイ作品意欲作である。

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黙して語る背中が眩しいボックスイラスト。
よく見るとDesigned and Illustrated by Gavan Brownと書いてある。
そう。このギャバンなる男は「ジャブ」の革新的なゲームルールのみならず、いかついイラストまで手掛けているのだ。

メーカーはTasty Minstrel Games。あまり聞いたことないメーカーだけど書泉ブックストアに行く人ならたまに見るであろうドラゴンのロゴ。
本格的西部開発ゲーム「HomeSteaders」など、シックなゲームも出している。知名度はないが見た目も良いゲームが多いようだ。

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中身。
箱自体そんなに大きくないんだけど、基本的にカードゲームなので中はこんなもん。タイルをカードにしちゃえば小箱にも入るくらい。
カードにはパンチのイラストやら黒人のイラストやら書いてあるわけだが、これも全部ギャバンによるものらしい。やるじゃないかギャバン。

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こんな感じでセッティングする。
お互いのボクサーが向かい合い、それぞれの手元には左パンチデッキと右パンチデッキを用意する。
ゴングが鳴ったら相手の頭、左ボディ、右ボディに向けて自分のパンチカードを繰り出すのだ。

パンチカードは相手ボクサーだけでなく、自分のボクサーにも出せる。相手から飛んできたパンチと同じ種類か同じ色のパンチを上に重ねることでガードできるのだ。

また、お互いの初期体力は5で、特定のパンチで奪われる。
全ての体力を失い、さらにダメージを受けたらノックアウトだ。

実際のプレイはこんな感じ。


※音声はほとんど隣のRPG戦士たちのもの。慣れてくるとシュッ!シュッ!コンボ!って言えるようになる。
これは初プレイでとりあえずやってみたときのものだけど、これが二戦目以降だとコンボを狙ったりカウンターを見たり、もっと冷静なプレイができるようになる。

そうだそうだコンボその他の説明をしていなかった。

パンチはただ打ち合うだけでなく、状況に応じたプレイをすることでゲームを有利に展開できるようになる。

【スタッガー(強打)】
プレ動作である「ヘイメーカー」を打ち込んだ後、同じ色のパンチを重ねることで相手に痛恨の一撃を与えることができる。2ダメージなり。

【カウンター】
カウンターデッキの一番上のカードと一致する色のパンチカードがお互いのボクサーに存在するとき、カウンターを宣言したプレイヤーが相手に1ダメージを与え、わずかだがポイントも得る。

【コンボ】
コンボデッキの一番上のカードに書かれた組み合わせのパンチを打ち込むことでコンボポイントを得ることができる。ダメージこそ与えないが、このポイントはでかい。

ラウンドが終わってどちらも倒れていなければ、ラウンドの得点計算を行う。
それぞれ自分の3つのパーツ(顔・左・右)に与えられたパンチの山札を一つ隠し、残った2つの山から1つを相手に選ばせる。この山札がこのラウンドの相手の基礎ポイントだ。

ただしそのまま得点になるわけではなく、ガードによって混ぜられた敵のパンチカードの数だけこちらのパンチカードも削られていく。そうこうしていると、基礎点なんて5点行けば良い方くらいの大きさになっている。

それより大きいのはコンボによるポイントだ。1枚が5点とか6点とかある。
必死にパンチを浴びせるだけでは、コンボポイントには遠く及ばないのである。

これらのポイントの合計で勝った方がラウンドを取り、3つ目のラウンドを取ったプレイヤーが勝利する。(KOはもちろんそれ以前に終わる。)

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それ以外にもおもしろ要素あり。
体力ゼロになった時の“クリンチ”タイル。
自分のカードが出きった時にラウンドを終わらせる“ゴング”タイル。
いずれも取った方はポイントにマイナスが付くが、止むを得ず取らなければならない時もあるだろう。


なんとも妙なプレイ感で、ボクシングと言えば確かにボクシングだが、エキサイトせずに冷静にポイントを稼がなければならないところがスポーツボクシングらしくて知的であり、ばからしい。

勝利の分かれ目はガードの使い方になりそうだ。
相手のヘイメーカーを丁寧にガードし、狙われているコンボを崩す。我らがチャンピオン“スタッガータメラ”はこれを綺麗にやってのける。
わかってるんだけどできねーんだコレが!

【所感】★★★★★★★★☆☆
良くできているような、アホゲーのような、なんとも形容しがたいプレイ感と大人気なさを持った独創性の高いゲームです。ノックアウトするには運も味方につけねばならず、丁寧に対応されたら中々目指せるもんじゃありません。こういうやんちゃなゲームは長く愛していきたいですね。
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RRS!第一回ドゥーム総合格闘大会 in おいもスタジアム

今週のドゥームナイトは、2Dゲーマーを震撼させた驚異の再現度を誇るアナログ格ゲー「YOMI」と、パンチアウトファンを失禁させた衝撃のリアルタイム格ゲー「Jab」が相まみえるという大晦日企画である。

格ゲー界のジョン・レノン、ドゥームナイトOEC。
冷静沈着な殺し屋、スタッガータメラ。
パワーで圧してハメ殺す、議長オビ湾。
の精鋭3名にて。

◆ジャブ・リアルタイムボクシング Today's DOOM!!
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ルールも作れて絵も描ける米国の変態ギャバン氏による、その名の通りリアルタイムのボクシングゲーム。
手元に用意した2つのデッキから相手の頭とボディめがけてパンチを繰り出しまくるという超絶レベルのアホゲーだ。
ただ単にパンチを打ち込めばよいわけはなく、コンビネーションでポイントを稼いだり、カウンターで相手の体力を削ったり、強打で倒しに行ったりなど、いわゆるスポーツボクシングらしい戦略が取れる。
最初はバコバコに打ち込んでやれば勝てると思ったが、点数配分が良くできていてそうはいかないゲームだ。

【一戦目】:スタッガータメラ VS 議長オビ湾
とにかくわからんので殴りまくるオビ湾。
スタッガータメラは一気に体力を削られ、あと一歩でダウンのところまで。
しかし1ラウンド目で決着がつくことはなく、ポイントを数えてみればタメラの圧勝。タメラはコンビネーションを地味に決めて判定に有利になるよう立ち回っていた。
ラウンドは3回とったら勝ちなので、それまでにタメラをノックアウトせねば!

2ラウンド目はオビ湾もやや慎重になりながら、タメラの体力を削る。
タメラは変わらずコンビネーションで攻めてくる。
この回も決着つかず、またしても判定で有利に立ったタメラにラウンドを取られる。

3ラウンド目、もう後がないオビ湾は強打とカウンターで畳み掛ける……が、手数が足らない!冷静にタメラにコンビネーションを打ち込まれ、完敗。
スタッガータメラが冷静なポイント稼ぎで勝利した。

【二戦目】:ドゥームナイトOEC VS 議長オビ湾
実際に一戦終えてなんとなくコツがわかったオビ湾。慎重にパンチを浴びせつつもチャンスがあれば強打、機会があればコンビネーションと、初回プレイに浮足立つOECを押しまくる。
結果的には体力的にも追い詰めた形で1ラウンドをオビ湾が取る。

2ラウンド目、体力を回復される前に一気に勝負をつけに行くオビ湾!強打!そしてカウンター!OECノックアウト!
ということでオビ湾が経験値差を見せつけて圧勝した。

【三戦目】:ドゥームナイトOEC VS スタッガータメラ
一戦目でオビ湾に圧勝したタメラが今回も主導権を握り、強打とコンビネーションをOECに見舞っていく。
対するOECも強打とコンビネーションを狙っていくが、狡猾なタメラは相手のコンビネーションを防御で外しつつ、強打の前段階であるヘイメイカーを丁寧にいなしていく。1ラウンド目、やはりタメラが取る。

2ラウンド目、OECも強打とコンビネーション、それにカウンターを決め始め、体力的に優勢につく。しかしコンビネーションのポイントは大きく、ポイント差で2ラウンド目もタメラが取る。

3ラウンド目、お互いにコンビネーションを加えていくが、狡猾なタメラの動きはその一歩上を行き、OECの攻撃の要所をいなしてポイント差で勝利。
なんと二戦連続して一度もラウンドを落とすことなく、今大会の勝者となった。
恐るべしチャンピオン、スタッガータメラ。

◆YOMI
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ほしくてほしくてしょうがなかったアナログ格闘ゲーム「YOMI」。
幸いにしてみんなが持ってるのでさびしくありません。

一戦目はヴァンパイアシリーズのサスカッチとビクトルを合体させたような投げキャラを選んだ。
対するOECは必殺技から投げをつなげる派手なキャラクター。

序盤は体力を削られてやばいかとも思ったが、超必殺技を決め、投げを決め、投げを決め、勝利。
スーパーアーマーの再現もいいが、徐々に超必殺技を出せる状況が出来上がっていくところがすごい。ナイスゲーム。

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二戦目はどう見てもストリートファイターのいぶき。カードのイラストもトレースしてんじゃないかってくらいポーズが同じ。しかし格闘スタイルの再現もすごい。ちびちびとコンボを重ねて手数で押し切る。

いやぁ、やっぱYOMIはすごいな。完全に2D格闘だ。こんなすごいゲーム作ったら、俺なら恥ずかしくて実家に帰れねーよ。
まいった。

非常に充実した格闘大会スペシャルは、熱冷めやらぬまま終了の時間を迎えるのであった。
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紹介:金庫破りのジギ

昨日に続いてHABAの小箱リストを追加。
今年の新作カードゲーム「金庫破りのジギ」。
数字の大小を予測するシンプルなギャンブルゲームだ。

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作者はキッズゲーム王ハインツ・マイスター。
イラストはティース・シュヴァルツで、最近のHABAゲームでよく警察と泥棒を扱っているイラストレーターだ。

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中身。
カードとサイコロ。そしてあまり必要のない木製の泥棒袋コマ。
カードはエンボス加工されていないが、木製の駒をちょいちょいつけてくれるので(昨日も言ったが)悪い気はしない。

カードは金庫カードと盗品カードがあり、盗品カードには1から52の数字とそれぞれ異なるお宝イラストが描かれている。
それぞれイラストが異なるといっても、どうもお宝のイラストは過去のHABA作品(ポリスアラーム)から持ってきているように見える。まぁ、そうして然るべきだろう。

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まずは金庫と盗品が並べられる。
4色の金庫の中に入っているものが下の盗品カードというわけ。

手番になったらまずはサイコロを振り、出た色の金庫にチャレンジしなければならない。“チャレンジ”とは、次に山札からめくる1枚の数字が、その金庫の盗品の数字より高いか低いかを宣言することである。

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宣言した内容があっていたら、その金庫の盗品カードを受け取って自分の前にいったん確保することができる。なぜ“いったん”なのかというと、もしこのチャレンジで宣言を間違えたら、それまでに集めていた盗品カードは山札に戻ってしまうのだ。このときめくった盗品カードは金庫の盗品カードに重ねられ、その金庫にはより多くの盗品が入っていることになる。

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さすがに何枚貯めても間違った瞬間にゼロになってばかりではゲームが進まない。
ではどうするか。手番を一回飛ばすことで盗品を家に持ち帰ることができるのだ。
持ち帰った盗品カードすべてを自分の前で裏向きにして、その上に泥棒袋を乗せてキープにする。こうした盗品カードは今後山札に戻されることはない。

もちろんたくさんの盗品を貯めてから家に帰るのが効率的なのだが、手持ちの枚数が多ければ多いほどリスクは大きい。要はチキンレースである。


【所感】★★★★★★☆☆☆☆
カウンティングしたところで、意外な数字が飛び出てドッカンというのもしばしば。どこまで粘るかが悩ましいパーティーよりのカードゲームです。
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