紹介:51st State(51番目の州)
ついに来ました。「51st State(51番目の州)」。
そのオタクなゲームシステムから屈指のゲーマーぶりをうかがわせるポーランド勢の意欲作。
メーカーはIELLO, Portal。デザイナーはIgnacy Trzewiczekで、ストロングホールドの製作者だ。
これまでこのブログでも散々褒めまくったとおりのお気に入り作品で、なんといっても「ニューロシマ」という文明崩壊後の荒れた世界観がたまらない。2010年は「ザ・ウォーカー(映画)」「ザ・ロード(映画)」「9(映画)」「FALL OUT NEW VEGAS(PS3)」と来て、最後の極め付けがこのアイテムなのである。

ワッペン式のロゴが最高にかっこいい。
外装のイラストワークからカードの雰囲気までサブカル色で徹底されている。
箱の大きさは「サンクトペテルブルグ」程度。ざらざらした手触り。
コンポーネントはカードと各種チット類。
づるづるカードではないがそこそこに厚みのあるカードで、繰り返しプレイには強そうだ。
各プレイヤーはまず最初に、「ニューヨーク」「商人ギルド」「アバランチ同盟」「ミュータント」の4つの勢力の中から1つを割り当てられる。

勢力によって得意な行動が変わってくるため、それぞれに攻略方法が異なってくる。
左に並んでいる3つのカードは赤(略奪)、白(併合)、青(協力)それぞれについて、どの資源をどの程度支払うことで対応した影響力を行使できるのかを表している。これらはコンタクトカードと呼ばれ、書かれている名称はそれを行使する方法だ。勢力ごとに納得のいく方法論になっていておもしろい。
右上のカードは勢力を示すメインカードで、後から他のカードを付け足すことで能力を付加することができる。これは後述。
また、メインカードの左にあるのはリーダーカードと言って、各勢力1枚だけこの場所に置くことができる。初期状態では何も置かれていないが、写真はゲーム中のものなので既に置かれている状態だ。

ラウンドはカードのドラフトから始まる。
1人ずつ、並べられているカードから1枚を取っていく?を2回行い、さらに最後に山札から他プレイヤーに見えないように1枚引く。つまり他のプレイヤーと取り合った2枚と、秘密裏に貰った1枚の計3枚がラウンドの最初に手に入るわけだ。
カードには施設や職業が書かれた通常のカード、リーダーカード、先に説明した赤白青の影響力を直に得られるカードがある。
基本ソロプレイ色の強いゲームではあるが、このフェイズではできるだけ他プレイヤーも牽制していきたい。特に強力なコンボを形成する可能性があるリーダーカードには要注意だ。

通常のカードと影響力のカードは手札になる。
手札になった通常のカード、つまり施設のカードにはいくつかの使い道がある。
一つは上の写真でメインカードの上に刺さっている赤い部分にする使い方。これは“略奪”であり、資源生産フェイズでメインカードから取り除くことで、そこに書かれている資源やカード、勝利点などを受け取ることが出来る。
また、青い部分を向けて重ねた場合は“協力”と言い、資源生産フェイズで何もしなくてもそこに書かれた資源が支給される。その分“略奪”よりも一回の効果は薄い。
そして最後の選択肢は“併合”。

資源を消費し、必要な白のコンタクトポイントを支払うことが出来れば、写真のように併合した施設のカードを自分の前に展開できる。これらのカードには労働力をつぎ込むことで資源を生むものや、条件に応じて勝利点をもたらすものなどがある。
ちなみにカードが何回勝利点を稼ぐことができたとしても、その上に乗せることが出来る得点チットは3枚まで。それ以上は乗せることも、移動することもできない。もしそうなったら施設の改築がお勧めである。改築にはそれ相応の資源が必要だが、改築ボーナスとなる勝利点がもらえるだけでなく、新たなカードを手札からコンタクトポイントを使わずに配置することができる。
元の施設に乗っていた勝利点はメインカードの上に引き継がれるのでモーマンタイだ。

生産フェイズでは自分の領地にある併合した施設が生産を行い、さらに協力によるボーナス資源が支給される。さらに前述したとおり、略奪した施設を廃棄して資源を得るのもこのタイミングだ。
生産した資源はラウンドが終わった瞬間になくなってしまう(持ち越しは不可)ので、できるだけ無駄がないように使いたいところである。
次に出したいカードを支えるために必要なリソースは何か。不必要な資源を産んでいる施設は改築すべきか。勝利点を得るために最も効率的な方法を模索しよう。頭を使わなければ核戦争後の荒野では生きられない。

こうして得た勝利点はチットやカード枚数を見る事で確認可能だが、それを記録するボードも付属している。付属しているというか、箱の裏である。
ラウンドを終えた時点で誰かが30点を越えていたら、そこでゲーム終了。だからトップを走る奴が今何点なのかはとても重要なのだ。
荒廃世界の生存競争というテーマを、赤・白・青の影響力を用いて再現してみせた作者のアイデアが素晴らしい。
リソース管理、拡大再生産と言った最近はやりの要素はしっかりと押さえつつ、これだけ世界観をキープしてみせたのは見事。その場に応じた計画性を求められる点など、やりごたえも十分。
アートワークの良さも含め、この世界観が好きなら頭から尻尾までいたせりつくせりのゲームである。
【所感】
★★★★★★★★★★
どんぴしゃハマリました。文句なしの10点ゲームです。
ゲーマー向けであるのは確かですが、世界観が好きなのであれば(システムは直感的なので)必ずしも敷居が高いわけではありません。ポーランド勢はどのゲームも凝ったつくりで唸らされますが、どれもテーマを大切にしているところが素晴らしいですね。
<※51番目の州とは>
ご存知の通りアメリカは50州です。“51番目の州”とは、カナダなどの親米国に対して皮肉的に使われることの多い言葉です。(そのままの意味のときもあります。)このゲームには、核戦争後の荒廃したアメリカの大地で新たな州(つまり“51番目の州”)を創造できるのは誰かという意味で使用されていると思われます。
そのオタクなゲームシステムから屈指のゲーマーぶりをうかがわせるポーランド勢の意欲作。
メーカーはIELLO, Portal。デザイナーはIgnacy Trzewiczekで、ストロングホールドの製作者だ。
これまでこのブログでも散々褒めまくったとおりのお気に入り作品で、なんといっても「ニューロシマ」という文明崩壊後の荒れた世界観がたまらない。2010年は「ザ・ウォーカー(映画)」「ザ・ロード(映画)」「9(映画)」「FALL OUT NEW VEGAS(PS3)」と来て、最後の極め付けがこのアイテムなのである。

ワッペン式のロゴが最高にかっこいい。
外装のイラストワークからカードの雰囲気までサブカル色で徹底されている。
箱の大きさは「サンクトペテルブルグ」程度。ざらざらした手触り。
コンポーネントはカードと各種チット類。
づるづるカードではないがそこそこに厚みのあるカードで、繰り返しプレイには強そうだ。
各プレイヤーはまず最初に、「ニューヨーク」「商人ギルド」「アバランチ同盟」「ミュータント」の4つの勢力の中から1つを割り当てられる。

勢力によって得意な行動が変わってくるため、それぞれに攻略方法が異なってくる。
左に並んでいる3つのカードは赤(略奪)、白(併合)、青(協力)それぞれについて、どの資源をどの程度支払うことで対応した影響力を行使できるのかを表している。これらはコンタクトカードと呼ばれ、書かれている名称はそれを行使する方法だ。勢力ごとに納得のいく方法論になっていておもしろい。
右上のカードは勢力を示すメインカードで、後から他のカードを付け足すことで能力を付加することができる。これは後述。
また、メインカードの左にあるのはリーダーカードと言って、各勢力1枚だけこの場所に置くことができる。初期状態では何も置かれていないが、写真はゲーム中のものなので既に置かれている状態だ。

ラウンドはカードのドラフトから始まる。
1人ずつ、並べられているカードから1枚を取っていく?を2回行い、さらに最後に山札から他プレイヤーに見えないように1枚引く。つまり他のプレイヤーと取り合った2枚と、秘密裏に貰った1枚の計3枚がラウンドの最初に手に入るわけだ。
カードには施設や職業が書かれた通常のカード、リーダーカード、先に説明した赤白青の影響力を直に得られるカードがある。
基本ソロプレイ色の強いゲームではあるが、このフェイズではできるだけ他プレイヤーも牽制していきたい。特に強力なコンボを形成する可能性があるリーダーカードには要注意だ。

通常のカードと影響力のカードは手札になる。
手札になった通常のカード、つまり施設のカードにはいくつかの使い道がある。
一つは上の写真でメインカードの上に刺さっている赤い部分にする使い方。これは“略奪”であり、資源生産フェイズでメインカードから取り除くことで、そこに書かれている資源やカード、勝利点などを受け取ることが出来る。
また、青い部分を向けて重ねた場合は“協力”と言い、資源生産フェイズで何もしなくてもそこに書かれた資源が支給される。その分“略奪”よりも一回の効果は薄い。
そして最後の選択肢は“併合”。

資源を消費し、必要な白のコンタクトポイントを支払うことが出来れば、写真のように併合した施設のカードを自分の前に展開できる。これらのカードには労働力をつぎ込むことで資源を生むものや、条件に応じて勝利点をもたらすものなどがある。
ちなみにカードが何回勝利点を稼ぐことができたとしても、その上に乗せることが出来る得点チットは3枚まで。それ以上は乗せることも、移動することもできない。もしそうなったら施設の改築がお勧めである。改築にはそれ相応の資源が必要だが、改築ボーナスとなる勝利点がもらえるだけでなく、新たなカードを手札からコンタクトポイントを使わずに配置することができる。
元の施設に乗っていた勝利点はメインカードの上に引き継がれるのでモーマンタイだ。

生産フェイズでは自分の領地にある併合した施設が生産を行い、さらに協力によるボーナス資源が支給される。さらに前述したとおり、略奪した施設を廃棄して資源を得るのもこのタイミングだ。
生産した資源はラウンドが終わった瞬間になくなってしまう(持ち越しは不可)ので、できるだけ無駄がないように使いたいところである。
次に出したいカードを支えるために必要なリソースは何か。不必要な資源を産んでいる施設は改築すべきか。勝利点を得るために最も効率的な方法を模索しよう。頭を使わなければ核戦争後の荒野では生きられない。

こうして得た勝利点はチットやカード枚数を見る事で確認可能だが、それを記録するボードも付属している。付属しているというか、箱の裏である。
ラウンドを終えた時点で誰かが30点を越えていたら、そこでゲーム終了。だからトップを走る奴が今何点なのかはとても重要なのだ。
荒廃世界の生存競争というテーマを、赤・白・青の影響力を用いて再現してみせた作者のアイデアが素晴らしい。
リソース管理、拡大再生産と言った最近はやりの要素はしっかりと押さえつつ、これだけ世界観をキープしてみせたのは見事。その場に応じた計画性を求められる点など、やりごたえも十分。
アートワークの良さも含め、この世界観が好きなら頭から尻尾までいたせりつくせりのゲームである。
【所感】

どんぴしゃハマリました。文句なしの10点ゲームです。
ゲーマー向けであるのは確かですが、世界観が好きなのであれば(システムは直感的なので)必ずしも敷居が高いわけではありません。ポーランド勢はどのゲームも凝ったつくりで唸らされますが、どれもテーマを大切にしているところが素晴らしいですね。
<※51番目の州とは>
ご存知の通りアメリカは50州です。“51番目の州”とは、カナダなどの親米国に対して皮肉的に使われることの多い言葉です。(そのままの意味のときもあります。)このゲームには、核戦争後の荒廃したアメリカの大地で新たな州(つまり“51番目の州”)を創造できるのは誰かという意味で使用されていると思われます。
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