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ノルウェイの森★★★★☆

これは先に述べた方が良かろう。
僕はトライ(トラン)・アン・ユンのファンではあるが、ハルキストではない。
アンユンが描き出す超立体の詩的世界のファンであり、「夏至」以来となるリー・ピンビンとのタッグが楽しみでしょうがないといったくちである。さらに、「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」以来となるジョニー・グリーンウッドの劇伴が楽しみでしょうがないといったくちでもある。
これだけスタッフの揃った映画が、凡作で終わるはずがない。と思っているくちなのである。

村上春樹については3,4冊くらいしか読んだ記憶がなく、調べてみるにそれはどうやら「羊をめぐる冒険」「ダンス・ダンス・ダンス」「国境の南、太陽の西」らしい。つまり、「ノルウェイの森」は読んでいない。
今思えばそれは“ノルウェイの森”というタイトルをつけた小説というだけで、当時レコファンだった思春期の僕になんらかの反抗心を抱かせたのだと思う。気恥ずかしい話だが、その点で僕の中の村上春樹は幾分不利なポジションだったように思う。それにあの現実離れした会話の応酬は、ちょっと苦手だった。

ともあれ、観賞である。
NOR.jpg

主人公(松ケン)とその親友キズキ、キズキの幼馴染兼恋人だったナオコ。
キズキの自殺により一度はバラバラになった松ケンとナオコだが、東京で偶然の再会を果たす。合う回数を重ねるごとに2人は親密になっていく。しかしナオコは、キズキの影を重く引き摺っていた。
挙句ナオコは姿を消し、後に山奥の精神病棟に入ったことを松ケンは知ることになる。

同時に松ケンは、緑という魅力的な女の子と出会う。
母親を亡くし、続いて父親を脳腫瘍で亡くした女の子。
詩的でミステリアスな、刺激的な女の子だ。

一方では宿命的にナオコを愛し、
また一方で、運命の女の子を愛そうとしている松ケン。
松ケンとナオコが行き着く結末に、男性性と女性性を痛く感じる重い物語である。



133分。やや長めの尺ではあるが、きっちり見せることができていると思う。
アンユン式の立体的な構造×リーピンビンの見事なカメラワークが期待通りに素晴らしく、映像とシーンの美しさでは今年一番という印象だ。

劇伴も良い。当時の時代背景とリンクさせたロック(ほとんどはカン、1曲だけドアーズ)の選曲の良さと、「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」式(キューブリック風というべきか?)不協和音の存在感、暗喩性は聞き応えたっぷりの重量感だ。
作品の重さに耐えうる劇伴がこの映画では必須だっただろう。

演者の働きもみな見事であったし、何よりも緑役にからくり人形みたいな喋り方をするベトナム美人な女の子を選出したのには唸らされた。あの巻いたような変なしゃべり口で、まんまと不思議ワールドへ連れて行かれてしまったのだ。

前述したとおり、脚本も133分モノとしてはテンポもよく、原作を知らないものとしては特に不満もない。
むしろ、
「レオンラッセルが書き、カレンカーペンターが歌ったあの詩をナオコに言わせるのか?」という単細胞な興味に始まり、音楽の先生と松ケンの行為が“ナオコを失った者の別れの儀式”であったか、“松ケン慈善事業の一環”であったのか、その真実を読み解きたい!
というように、原作への好奇心が沸いてきたくらいである。その点、読んだことがない人がこの映画を観て春樹っちゃんを敬遠するような作品ではないと思うので、そのあたりをご懸念の方も今日はゆっくりと寝てほしいと思う。

ただ、原作ファンにがっくりと来た方が多いのは確かなようで、特にエピソードの削除・要約には相当反発があるようだ。映画なんだからこれ以上盛り込めんでしょってのは別として、それほどまでに愛される原作なのだから、僕も一応読んでおこうかなぁなどと、言うだけ言っておこうと思う。
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コメント

うわー、もうご覧になったのですね。
わたしも観たい…うぅっ(涙)。

ちなみに、わたしは村上春樹そろえちゃったクチです(でも、文庫で・笑)。
どれもかなり好きですが、唯一『ノルウェイの森』だけがダメなんですよ。
読み返したいと思わない作品…他の作品は、何度でも読み返すし、読み返したくなるのに。
そのくせ、映画化されたと聞いたら、観るだけ観とこうかな、と思うのですが(笑)。

ワタナベくん(だったと思います、松ケンくん)の行為は…

…読んでからのお楽しみのほうがいいですか?

2010/12/14(火) 07:21:05 | URL | 紺碧 #8IgtKjlw[ 編集]
さすがオビ湾さん、早いですね。
僕も滅多に観ない邦画の中で、珍しく興味を持った一作です。
逆にブランチとかでやいのやいの宣伝しないで欲しい、みたいな。(何
映像が綺麗そうだったので、ターゲット外さない
広告戦略をして欲しいなーと思いつつ。

さすがに劇場行って、とは思わないんですが、
レンタル始まったら観ようと思ってます。
ちなみに村上春樹は「アンダーグラウンド」しか読んだことありません。
ノンフィクションだし。
でもあれはあれで壮絶な本でした。
2010/12/14(火) 09:31:00 | URL | しゅういち #JOOJeKY6[ 編集]
>紺碧さん
この映画はハルキストからの評価がたいそう悪いんで、お控えになったほうが良いかも知れませんよ。
映画の出来としては申し分ないどころか、非常にレベルの高い作品なのにこの有様なので、相当嫌なんでしょう。

ただ、これが村上春樹の原作とはまったく違っていたとしてもそうでなかったとしても、「映画としては文学に過ぎる」面があることも確かだと思います。

松ケンの行為は、なんとなく察せます^^

>しゅういちさん
春樹作品の映画化という側面から観た方の評価は著しく低いようですが、トライ・アン・ユンの映画という側面から観た方の評価はそこそこに良い。という構図のようです。

難解な映像作品に仕上がっているので(アンユンファン側からすればそうなる前提だったわけですけど)、ゼア・ウィル・ビーとかが好きなら相当お勧めです。



2010/12/14(火) 12:26:20 | URL | オビ湾 #-[ 編集]

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