白いリボン★★★★★
とにかく目が良い(視力の話でなく)ため、自然と構えがニヒルになってしまうマッドな異端監督ミヒャエル・ハネケの2009年最新作にして賞レースを賑わす話題の一本。
異端児監督がその異端っぷりを存分に発揮してパルムドールを受賞したってんだから、もろ手を挙げて喜ぶべきことなんじゃないだろうか。
まぁ相も変わらず、世の闇人の闇を鋭く見抜いて表現しちゃうもんだから、観ている方は凹みっぱなしである。心に余裕が無いと自覚する人は観賞を控えるべきだろう。

第一次大戦前夜のドイツ、プロテスタントの小さな村で起きる大小さまざまな事件。村医者の落馬事故を皮切りに、日常から不気味に浮き上がるようにポツポツと起こる。
身分、妬み、コンプレックス。
ある事件の動機は明らかだが、ある事件の動機は明らかでない。
時が進むほどに村は暗い猜疑心で覆われ、次第に前が見えなくなってくる感覚。
そしてこのどん底の物語は、
手探りで生きることを余儀なくされた村人達を救うように照らしたひかりが、“戦争”だったというセンセーショナルな演出で幕を閉じる。
長年ハネケとコンビを組んでいるクリスティアン・ベルガーのモノクロ描写が冴え過ぎて恐い。白と黒の世界で、闇はとにかく映えるという皮肉。そもそも人間の恐ろしさというのがどういうものか、立ち止まって考えてしまう。
既に口コミで有名だが、この物語は犯人を具体的に指名しない。
テーマ上、指名する必要がない。
ハネケ監督なのだから、考えてみれば当然である。かの監督はミステリー作家ではないのだ。
犯人が誰であるかなど、大した問題ではない。
厳格さや純潔という名の都合のいいモラルに支配された、さも「平和です」と言わんばかりの小さな社会。その小さな社会が辛うじて吐き出すことができた事件の数々を、欺瞞の結果生み出された悪意として痛烈に皮肉っている。
ハネケが誰にでもわかり易いように、どっかりとスクリーンに倒していったこの重い大木は、ひょっとしたら「戦地から遠く離れた平和らしいあなたの街」と無縁ではないのかもしれない。
完全に1本取られた。
異端児監督がその異端っぷりを存分に発揮してパルムドールを受賞したってんだから、もろ手を挙げて喜ぶべきことなんじゃないだろうか。
まぁ相も変わらず、世の闇人の闇を鋭く見抜いて表現しちゃうもんだから、観ている方は凹みっぱなしである。心に余裕が無いと自覚する人は観賞を控えるべきだろう。

第一次大戦前夜のドイツ、プロテスタントの小さな村で起きる大小さまざまな事件。村医者の落馬事故を皮切りに、日常から不気味に浮き上がるようにポツポツと起こる。
身分、妬み、コンプレックス。
ある事件の動機は明らかだが、ある事件の動機は明らかでない。
時が進むほどに村は暗い猜疑心で覆われ、次第に前が見えなくなってくる感覚。
そしてこのどん底の物語は、
手探りで生きることを余儀なくされた村人達を救うように照らしたひかりが、“戦争”だったというセンセーショナルな演出で幕を閉じる。
長年ハネケとコンビを組んでいるクリスティアン・ベルガーのモノクロ描写が冴え過ぎて恐い。白と黒の世界で、闇はとにかく映えるという皮肉。そもそも人間の恐ろしさというのがどういうものか、立ち止まって考えてしまう。
既に口コミで有名だが、この物語は犯人を具体的に指名しない。
テーマ上、指名する必要がない。
ハネケ監督なのだから、考えてみれば当然である。かの監督はミステリー作家ではないのだ。
犯人が誰であるかなど、大した問題ではない。
厳格さや純潔という名の都合のいいモラルに支配された、さも「平和です」と言わんばかりの小さな社会。その小さな社会が辛うじて吐き出すことができた事件の数々を、欺瞞の結果生み出された悪意として痛烈に皮肉っている。
ハネケが誰にでもわかり易いように、どっかりとスクリーンに倒していったこの重い大木は、ひょっとしたら「戦地から遠く離れた平和らしいあなたの街」と無縁ではないのかもしれない。
完全に1本取られた。
コメント
モノクロの痛烈なハネケワールドを堪能する映画なので、おうちで観るなら雨戸を閉めてください!
2011/01/21(金) 12:56:31 | URL | オビ湾 #-[ 編集]
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なかなか近場でやってないので観られないんですが。
これもDVDになっちゃうかなぁ。
予想通りかなり重たそうですが、
モノクロの映像と相まって沈みたい時に良さそうですねw