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クロッシング★★★★☆

クロッシング★★★★☆
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等身大で見る脱北者

2年前のアカデミー外国語映画部門、韓国代表作品。監督はキムテギュン。
2007年の北朝鮮を舞台に、脱北者の実態を物語に起した意欲作。
制作に当たっては相当数の脱北者にインタビューを行い、入念に現実を描き出すことに注力したと聞く。
その点確かに、この映画に嘘っぽいところなど何一つ存在せず、それゆえにこの映画は悲しく、憤りに満ちている。

元サッカー選手の主人公(父)は、今は現場作業員として貧しい生活を送っている。妻は妊娠と同時に結核を患っており、国内でその薬を手に入れることは難しいという。
妻を救うために脱北することを決意した父は、妻と子を残して豆満江を渡る。

無事中国に渡ったものの、公安に怯える毎日。
肉体労働に勤しみ、薬を買うためのお金を稼ぐ。

そこにあらわれる脱北支援組織。
甘い言葉で主人公を誘惑し、ついに亡命を決意させる。
(支援組織も良心だけでやってるわけじゃない)

亡命決行のそのシーンは、誰でもニュースで見たことがあるだろう。
大使館の前に急停車したバンから無数の人間が飛び出し、大使館の柵をよじ登って国を渡る。上手く入れる者もいれば、運悪く捕まる者もいる。

一寸先に見えるただの境界線。その境界線一つ跨ぐだけで人の人生が劇的に変わるのだ。
行われているのはテレビで見るシーンそのものだが、等身大である主人公の目を通したとき、言葉にならぬ憤りを感じるのである。

主人公が必ずしも望まぬ亡命を果たした一方、故郷で夫の帰り待つ妻はその病状も好転することなく、ついに病死してしまう。
残された子に指輪を託した母。
少年は父に合うため、中国にわたることを決意する。

しかし子供ともなると中々上手く脱北できるものでもない。
お金は無くなり、靴も剥ぎ取られた少年は、テレビで報道される「薄汚れた子供の物乞い」そのもの。同じく物乞いと化した幼馴染の少女との出会いが唯一の光だった。
意を決した2人は川を越えようとするが、警備隊に捕まり反乱分子として重労働を課せられてしまう。

その頃、無事に韓国国民となった父が関係者を通して息子の消息を掴む。
無事重労働から解放された少年だが、既にこのとき少女は衰弱のため死亡していた。

支援者に連れられて中国に渡った少年。モンゴルで父親と落ち合う計画が進む。
一足早く電話を通して再会した親子。息子の第一声「お父さん、(お母さんを守れなくて)ごめんなさい」はもはや泣くほかないだろう。

果たして親子は再会できるのか。
後少し、後少しという距離が、その世界では無限のように遠いのである。
それが腹立たしい。本当に腹立たしい。


まったく救いが無い物語。しかしそれが現実なのである。
韓国人の監督が作ったとはいえ、かなり現実に近い内容と思われる。それどころか実際はもっと悲惨なのかもしれない。
歪な社会体制への憤りを冷静に映し出した監督の手腕に目を見張る。

現世ではどうにも救われない家族を、聖書を通し、あの世での解放を示唆するという強烈な構成にした思い切りが素晴らしい。さすがは韓国人監督だ。

こんなに近い国で今もたくさんの人々が不条理な生活を強いられている。
無視できないこの現実を、少しでも多くの人の記憶に刻み込むことができるのなら、この完成度には計り知れない価値がある。
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