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トゥルーグリット★★★★☆

僕より歳の行っている映画ファンなら「勇気ある追跡」はご存知だろう。
ヘンリーハサウェイ×ジョンウェインの傑作西部劇だ。
その「勇気ある追跡」の原作を、コーエン兄弟が今一度映画化したのが「トゥルーグリット」である。

「トゥルーグリット」単体のレビューはどこにでもあろうと思うので、ここでは「勇気ある追跡」との印象の違いなどを中心に書こうと思う。

◆トゥルーグリット★★★★☆
TG1.jpg
ど根性娘×飲んだくれ×テキサス

農場で帳簿係をしていた少女マティは、葬儀屋で父親の遺体を確認する。
彼は飲んだくれた小悪党トム・チェイニーに理由なく殺されてしまったのだ。

チェイニーは既に先住民居住区へ逃亡し、中悪党ネッドのファミリーに紛れ込んでいるという。
「父の仇を討つ」
少女は交渉で現金を手に入れ、それで保安官を雇い、チェイニーの追跡に乗り出した。賞金に目が眩んだテキサスレンジャーを道連れに。

すったもんだでチェイニーを見つけたマティだったが、飲んだくれもテキサスも肝心なときにいない。形見のコルトドラグーンで一撃加えてやったものの、ネッド達に気づかれ捕まってしまう。
果たしてマティは復讐を果たすことができるのか。

というお話で、西部劇としてはいたって王道。
コーエン臭もかなり控えめな印象。


しかしなんとも。観直さなければはっきり言えないが「勇気ある追跡」と瓜二つである。
原作が同じなら似ていて当たり前かもしれないが、台詞の応酬ばかりか絵図構図まで似ているのだから、そのいくらかにはコーエン兄弟の意思があったのかもしれない。

ジェフとジョンウェイン、マットとグレンキャンベルはほぼ同化していて途中で「勇気ある追跡」を観ているのかと錯覚するほどだった。
もちろん全てが同じと言うわけではない。
「勇気ある追跡」は遅生まれの西部劇で物語も演出も近代的だった。しかし「トゥルーグリット」はアクション描写にデフォルメが(西部劇にしては)少なく、さらに近代的だ。
いずれも追跡劇の傑作と言って良いと思う。加齢臭のする古い冗談が板につくジョンウェインと、野良ジジイがド嵌りのジェフブリッジスの魅力は特に甲乙つけがたい。

4対1の最終決戦シーンはアングルからして明らかなオマージュが見て取れるが、ここはヘンリーハサウェイ版に大きく軍配が上がった。冗談と酒に埋もれるおっさんが噂どおりの勇者になる演出は見事だった。「やっぱり恐れ知らずね!」みたいな台詞があったと思うが、あれは観客のこころの声そのもので、本当に感動したのでよく覚えている。ライフルと拳銃の2丁スタイルで文字通り“ぶつかっていく”ジョンウェインはかっこよかった。
その点、コーエン兄弟の銃撃戦はやや単調で説明的だったのが残念である。

ただそんなことは些細な違いであり、観る人によって受ける印象の良し悪しも違ってくるだろう。
本当に見逃してはいけないのは主人公の少女マティの描かれ方だ。

マティは農場の帳簿係でそこらの大人より遥かに計算が利く少女である。
その点はどちらの映画も同じ。ただし…

ヘンリー版のマティは正義と公平の元にトムチェイニーには父殺しの制裁が加えられるべきだと信じている。
彼女自身もちろんタフに違いないが、それは彼女の哲学から生まれる自信であり、その後ろ盾は高名なるダゲッド弁護士とその法である。
そんな直線と角で出来ているような脳ちくりん少女が、酒とタバコと下衆の世界に土足で踏み込んで「これじゃあ帳簿が合わないんですけど!」と蹴散らかすのである。
その姿がなんともひょうひょうとしていて子供らしく、面白かったのだ。
最初から最後まで、彼女は彼女らしい少女だった。

コーエン版のマティはどちらかというとプロレスラー的情熱漢である。
「あのクズ野郎は地獄に落とさなきゃ気がすまない」だから制裁を喰らわせてやりたい。いたって真っ当な敵討ち。
周りのどうしょもない大人達を前に、共感したり、落胆したり、憤慨したりしながら別の少女へと成長していく。彼女は経験を持って、人の滑稽さを愛せる女性になっていく。

どちらも絵になるじゃありませんか。

どちらもオスカーに関わるだけの力量がある。
どちらもトゥルーグリット(ド根性)を描いている。

個人的には素晴らしい景色とスピード感で捲くってみせたヘンリーハサウェイ版の爽快さが好みだけど、コーエン版のしっぽり感もそれはそれで捨て難い。
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