パイレーツ・オブ・カリビアン 生命の泉★☆☆☆☆

「パイレーツ・オブ・カリビアン~ワールドエンド」は何の誇張も無く、ここ5年の間に僕が観た洋画のワーストである。彼らは脚本も揃わぬまま無理やり撮影を進め、体裁だけそれらしく整え、結果としてシリーズとしての価値を身売りしたのだ。いかにもディズニー実写部門らしいプロジェクトである。
そんな映画の続編を何故観たのかといわれれば、ひとつに監督が“踊って仕切れる男”ロブ・マーシャルに変更になったからである。また、サー・ニコラスの「魔法使いの弟子」がその企画の安さに対し、思いのほかエンターテイメントとしての出来が良かった故、少しだけディズニー実写部門を信じても良いかと思わせたからである。

◆パイレーツ・オブ・カリビアン~生命の泉★☆☆☆☆
ぽcc
このシリーズを蝕む病は“生命の泉”でも救えない

伝説の大海賊こと黒鬚は、予言された“自らの死”から解放されるため、寿命を引き伸ばすと言われる生命の泉を探していた。かつての恋人アンジェリカに騙され、黒鬚の船に乗せられたジャックスパロウは生命の泉への案内役を強いられる。
時を同じくし、英国王に忠誠を誓ったバルボッサも生命の泉を目指していた。
ただし、永遠の命を手に入れるには生命の泉に行き着くだけでは条件が足りない。200年前に失われた“双子の聖杯”と“人魚の涙”が必要なのである。
果たして2つの秘宝を手に入れることができる海賊は現れるのか、ジャックスパロウとはちゃめちゃなライバル達によるお宝争奪戦ふたたび。


残念というか、思った通りというか、酷い有様である。
一見、第一作のエンターテイメント重視に戻ったように見えるが、比較するにはあまりに見せ方がポンコツだ。この脚本のまずさはワールドエンドの方が近い。
最たる特徴は“話の展開に理由がない”ことである。相変わらず登場人物の言動が行き当たりばったりだ。
“突拍子もない”ならおもしろくなり得る。“難解”だっておもしろくなり得る。でも“理由がない”はおもしろくならない。おもしろくなる“理由”が作られていないのだから。今回も脚本がなかったのではないかと疑いたくなるレベルだ。
それに加え、随所に見られる説明過多と説明不足が作品全体の“つかみの悪さ”に一役かっている。

もう1つ、シリーズに大きな影を落としているのが“キャプテン・ジャックスパロウ”というキャラクター像だ。
ミステリアスでユーモアと色気に富んだジャックスパロウは、10年に1度と言ってよいほどの個性と実力を兼ね備えたキャラクターだった。しかし残念ながら、こういうキャラクターは脚本のど真ん中に長時間いられるようには出来ていないのだ。作品を重ねていくごとにカリスマを失い、ただの主人公と化していく。もはやこの“かつて異彩を放っていたアウトロー”をどう扱って良いのか、答えを見出せる監督は少なかろう。

ぽccc
唯一の救いはジェフリーラッシュのバルボッサ

と言っても、まったく見所がないわけではない。
人魚の登場は美しかったし、十分な恐ろしさもあった。ラストの浜辺シーンもシリーズモノとして素敵な幕引きだった。愛しのペネロペはあいも変わらずエロ可愛いし、その他の演者も責める所がない。ただただ、これまでの脚本の安易さと土台の弱さで作品の足元がぐらついてしまっているのだ。地に足着いたキャラクターはバルボッサくらいのものである。“本当の目的は黒鬚への復讐”という花形を演じたのが、ジャックスパロウではなくバルボッサだったというのも納得である。

呪いの金貨、デイヴィージョーンズ、クラーケン、人魚、生命の泉、黒鬚と、海洋小説の人気エピソードを次々とネタにしてきたパイレーツ・オブ・カリビアンシリーズ。さっさと白鯨を済ませて完結させたらどうだろうか。
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