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コクリコ坂から★★★★☆

たぶんネタばれてはいないと思う。

◆コクリコ坂から★★★★☆


君には信じて歌える歌があるか

「ゲド戦記」で大いに苦しんだ二世監督、宮崎吾朗による長編映画第2作。
同名原作を父である宮崎駿が脚本化して望む、親子の合作でもある。

舞台は1963年の横浜。
コクリコ坂で下宿を営む松崎家の長女(海)と、同じ学園に通う行動派の青年(風間)を中心に、若者達の純朴な生き様とそれを支えた大人たちの想いを描いたヒューマンドラマ。

海は朝鮮戦争で亡くした父親のため、毎朝かかさず信号旗を挙げている。
毎日父親の船に乗り込み信号旗を見ていた風間は、自身が所属運営している学園新聞“カルチェラタン”でそれを詩にして掲載した。

詩の掲載を知った海は、部室棟の“洋館カルチェラタン”を守るための活動に参加するうち、風間と親しい仲になっていく。

ある日、下宿人の送別会で松崎家を訪れた風間は、海の亡き父親の写真を見る。
それ以降、風間は海と距離を置き始める……


僕が想像していたものよりも賑やかで、それでいて静かな映画だった。
「ゲド戦記」から心機一転してファンタジー色を一掃したように見えるが、いかにも楽しげなカルチェラタンとその住人達の姿、物語の帰結に至るドラマティックな展開は、とても綺麗にデフォルメされた印象が残る。

2作目を見て、ようやく吾朗監督らしさも見えてきた。
わざとなのか、それがいいのかわるいのかも判断が難しいが、“わかる人にしかわからないもの”の説明を割愛することが多い。
ガリ版の説明はしない。信号旗の説明はしない。“海”が“メル”と呼ばれる理由さえも説明しない。
でもそれが逆に気持ちよかったりするのだ。いちいち「ガリ版ってのはね…」なんて演出をされたら観ているほうは興ざめる。日常に当然のように存在するからこそ、記憶のそれになりうるのだ。
“海”が“メル”なのはフランス語変換“La mer”からだろう。これも単語を知らない限りご年配でないと察しにくい。(シャルル・トレネのLa merは1943年。季刊ラ・メールは93年終刊)
僕はこのさっぱりした切り捨て方が嫌いではない。

静かで、ノスタルジックで、生き生きとして、切ない。大人のための青春映画。
積み重ねた日常を想い、過去を想い、登場人物の心情を察する映画作りは、小津安二郎作品を連想させる。
未来を背負った大人が、まだ少年少女だった時代の、センチで清々しい話。吾朗監督が思う、顧みなければならない過去の記憶。

ピンと背筋を伸ばして合唱する少年たちの姿に、静かに目を覚まされるかのようだ。お前にはこうして、真っ直ぐ前を見て歌える歌があるのかと、そう聞かれている気がする。
苦難に飲まれることなく、前を向いて生きなさいとこの映画は語るのだ。

~諸君よ
 紺いろの地平線が膨らみ高まるときに
 諸君はその中に没することを欲するか
             (中略)
 ああ諸君はいま
 この颯爽たる諸君の未来圏から吹いて来る
 透明な風を感じないのか

           宮沢賢治「生徒諸君に寄せる」より
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コメント

本日、見てまいりました、コクリコ。
1号と2号がポスターを見て、「あ、トトロのひとの映画だー、見たいー」と言うので。

結論。
子どもの映画じゃありません(笑)。
でも、ある年代以上だといろんな部分で感じるものがあると思います。
この映画、ウケる人にはすごーくウケるけど、ダメって人はとことんダメでしょうね。
わたしの場合、主人公と主人公の母、両方に共感できるというとてもめずらしい映画だと思いました。
「大人のための青春映画」まさにそのとおり!

ちなみに。
1号も2号も予告編でみたカーズが見たいそうです…やれやれ。
2011/07/23(土) 00:54:25 | URL | 紺碧@日本 #8IgtKjlw[ 編集]
まったく子供向けではありませんね。それどころか20代でも厳しいと思います。
でも企画としては非常にうまくまとめられているので、吾朗監督には今後も期待します。

カーズはドラマ色を排し、完全にアクション映画化しましたが、勢いと楽しさはあるんで試写会でもちびっこ大喜びでしたよ!
2011/07/23(土) 01:29:09 | URL | オビ湾 #-[ 編集]
>20代でも厳しい
ホントそう思います。
あまりにも理解できないものが多すぎるでしょうね。
ますでお米を計量するとか、携帯なんてないとか、マッチでガスに火をつけるとか、おひつにうつすとか…

…って、もしかしてワタクシを20代と思ってくださった…ワケないよね(爆)。
かといって、あの時代をリアルに生きたわけでもないですよー(笑)。

ちなみに、カーズ…見に行かされそうです…ま、日本なら日本語しゃべるし、いっか(笑)。
2011/07/23(土) 09:14:47 | URL | 紺碧@日本 #8IgtKjlw[ 編集]
同い年くらいのイメージでしたよ(笑

本当は見てればわかるようにできてるんですけどね。神経質になんでも説明する時代ですから、それをあえてしたくないっていう最近のジブリのスタンスは良いなと思います。

ちびっこは車好きですからね。(たぶん)
カーズのおもちゃはピクサーでダントツの売り上げを継続中。買ったげて~~!
2011/07/23(土) 13:44:28 | URL | オビ湾 #-[ 編集]

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