紹介:フライデー

ドミニオンが発売されてしばらくたつものの、いまだデッキ構築ムーブメントは収まらず、2011年もSFやら何やらで数え切れぬほどのチルドレンがリリースされた。もはや1年前のデッキ構築ゲームは思い出すのも厳しいくらいのインフレ状態で、似たり寄ったりなものが多いのも特徴だ。
しかし、一線を走るドイツデザイナーの中には“らしさ”を残したアンサーゲームを出してくる屈強な偏屈野郎もいる。
腐リーゼだ。

フリーゼのデッキ構築っぽいゲームと言えば「ビール侯爵」や「ファミリア」が記憶に新しいが、はっきりとしたデッキ構築ゲームというわけではなく、要素として取り込んだ類の物だ。
しかし今回紹介する「フライデー」は間違うことなきデッキ構築ゲームである。しかもソロプレイ専用!攻めますね!Mr.グリーン!

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おそらく「袋の中の猫」と同じサイズ。正確に一緒かは手元に無いのでわからん。
そしてこれは大きなポイントなのだが、イラストが2Fシュピールご用達のマウラ先生じゃないという…。極めて残念だが、このPCで描いたような雑っぽさはゲームの中身と微妙にあっていてまぁ良し。

ちなみに本作は「ロビンソン漂流記」をテーマにしたゲームであり、そのタイトルは半無人島で暮らすロビンソンがカンニバルから救い出した捕虜の名前である。
ゲームの目的は、最初は弱っちいロビンソンに色々なノウハウを積ませ、3段階のステージを無事乗り越えさせたうえで、さらに2隻の海賊船を撃退させることである。

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中身。
特に大きな役割ではないものの、カード置き場として3つのボードも入っている。
このボードでも十分プレイできるが、より親切なボードが良ければ公式ページからダウンロードできる。
また、本ゲームのテーマ的主人公であるロビンソンの体力チップとして、ビール侯爵の麦を緑色にした奴が入っている。
そしてカードだが、これは大きく以下のように分けられる。

①ロビンソンの初期デッキ(弱いカードばかり)
②ロビンソンの老化カード(チョー弱いカードばかり)
③探検・ノウハウカード(カードの上半分が探検・下半分がノウハウ)
④海賊船カード(本作のボスカード)

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ゲームの準備。
中央のボードに置かれているのがロビンソンのデッキである。左側は老化カードの山、右側は探検カードの山だ。
ロビンソンの初期の体力は20であり、回復できたとしても22が最大。体力がマイナスになったら死亡だ。
ゲームは探検カードの山札が切れる度に難易度が上がり、緑⇒黄⇒赤を経たところでボス戦に入る。上にある横置きのカードが現在の難易度を示している。
また、最初の時点で海賊カードの中からランダムで2枚を選んで公開。これが今回のボスになるのだが、それぞれ特殊能力などの個性がある。このゲームの海賊船はボスというだけあってかなりの強さであるから、この最初の段階でどういうデッキを創り上げて臨むかを考えておかなければならない。

以上で準備は完了。

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このゲームは、探検カードを引き、それに対する処理を行うまでが1ターンである。
まずは探検カードの山から2枚をめくり、その内ロビンソンに挑ませる探検を1枚選んで置く。(選ばなかった探検カードは捨て札になり、難易度が上がって以降、再び直面することになる。)

探検カードには緑黄赤それぞれに異なる数字と、白い数字の大きく2つが書かれている。
それぞれの意味は以下の通り。
【緑黄赤の数字】
探検の危険レベル。その時の難易度と同じ色の数字が該当値である。
この該当値と同じだけのパワーが無いとクリアできない。
【白い数字】
この探検に対して、ロビンソンの山札から無料で引けるカードの数。
引いたカードに書かれたパワーの合計値が危険レベルの該当値に達していればよいわけだ。

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とは言え、1枚2枚引いたところでは中々該当値には及ばない。
そこで、体力を1つ支払うことで追加のカードを引くことも出来る。

とにかくこのようにして該当値をクリアできた場合、この探検カードはロビンソンデッキに組み込むことが出来る。探検カードの下半分はロビンソンカードとなっているので、そのまま使えるのだ。
ちなみに危険が大きい探検カードほど、ロビンソンカードの時も効果が大きい。

逆に探検カードをクリアできなかった場合は、足りない数値分だけ体力を支払わなければならない。ただこれも悪いことばかりでなく、支払った体力チップの数に応じてそのターンで使用したカードを破棄することもできる。つまり、デッキを圧縮できるのだ。初期デッキには-1のカードがいっぱい入っているため、探検に失敗しながらデッキの洗浄を行うのがセオリーと思われる。

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こうしてゲームを続けていくと、ロビンソンデッキが切れるタイミングと、探検の山札が切れるタイミングが出てくる。

まずはロビンソンデッキが切れた場合だが、当然捨て札を切りなおして再使用する。
それまでにクリアした探検カードを使えるようになるので基本的にはパワーアップなのだが、デッキが切れる度に
ロビンソン老化カードが1枚強制投入されてしまう。
この老化カードがけっこうやっかいで、マイナスパワーが大きかったり、嫌な効果を持っていたりするばかりか、廃棄するためには普通のカードの2倍の体力チップなのだ。
この老化しすてむがデッキ圧縮戦法に対するプレッシャーになっている。ぬぬ!これは新しい!
また、老化カードのラスト3枚は超強烈な老化カードになっているためそこまで行く前にクリアしたい。

次に探検の山札が切れるタイミング。
これでゲームの難易度が1段上がる。緑から黄、黄から赤。
そして赤のレベルで山札が切れたら、最終決戦の時である。

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海賊は危険値が巨大なものから、規模が小さいけれど条件が厳しいものなど様々。
でかい奴を相手にするときはデッキのほとんどのカードを使用する総力戦となる。なんというド派手な展開。ソロプレイ専用のデッキ構築とは思えないドラマ性である。この演出だけでサンダーストーンソロプレイは超えている。
見事2隻の海賊船を撃退したら、ようやく得点計算。
最初の内はこの得点計算までたどり着けないケースも多いだろうが、ロビンソンデッキの中身を覚えることで計算が経つようになってくる。

難しい探検カードは引ける枚数も多かったりするので、パワーに自信が無くてもコンボができるデッキなら積極的に行くのもアリだ。ただし、失敗した探検カードも捨て札になって次のレベルで出てくるわけで、失敗が多ければ多いほどより難しいラウンドが長くなる。むむむ。良い反動だ。
探検カード2枚択一を繰り返すだけなので単調なのかと思ってしまうが、カードの効果は発動タイミングが自由であり、これを駆使しないと探検カードもクリアしにくい難易度になっているため、オートメーションな印象はそれほど強く感じない。
また、プレイに慣れてきた孤独なツワモノのためにレベルを上げるヴァリアントが用意されている。

【所感】★★★★★★★☆☆☆
デッキ構築のソリティアと聞くとなんとなく単調なゲームが想像されますが、テーマに合わせた老化システムと言い、強力なボスの存在と言い、スパイスがばっちり利いていて手応えがあります。プレイは短ければ5分、長くて20分というところでしょう。1人でやるにはちょうど良い長さです。
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