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サンザシの樹の下で★★★★☆、スーパー!★★★☆☆

◆サンザシの樹の下で ★★★★☆
サンザシ
張芸謀、純愛ドラマのド真ん中を行く

2008年、陳凱歌(チェン・カイコー)は「花の生涯~梅蘭芳」で再び京劇をテーマにした映画を作った。
「キリングミーソフトリー」以降、長らく作家性のない映画を撮ってきた陳凱歌の帰還に大喜びしたものだが、これを観たとき、兄弟肌の張芸謀(チャン・イーモウ)もきっと山村映画に戻ってくると僕は期待した。
その張芸謀はと言うと、「王妃の紋章」の後、オリンピックのために2年の休暇をとり、ようやく復帰したと思ったらコーエン兄弟のリメイク映画を作った。
なんじゃ、やっぱり戻ってこんのかと思ったところで発表されたのが「サンザシの樹の下で」である。「初恋のきた道」以来、実に10年ぶりの山村映画だ。

文化大革命による毛沢東指導の真っただ中、上山下郷運動(特に説明が無いですが、農業学習のため都会の若者が農村部にホームステイするもの)によりド田舎にやってきた少女ジンチュウ。
村の山の中腹には“英雄の樹”と呼ばれる立派なサンザシがあり、かつて日本軍が押し寄せた時にたくさんの中国人がこの樹の下に倒れたのだという。

そしてジンチュウは英雄の樹を題材として文革論文を書き始める。慣れない山村生活であったが、地元の地質調査隊に所属していた青年スンが色々と気を使ってくれた。やがて2人は恋に落ちる。

ジンチュウが街に戻っても2人の関係は続いたが、文革の時代に置いて“父親が地主である”というジンチュウの身の上は、所謂反革分子の素質ありということで被差別階級にあたった。そのため、ジンチュウの母親は2人の交際を許さなかったし、とにかく革命のための活動に娘が従事することを望んだ。
武田鉄矢も真っツァオの純愛野郎である青年スンは、陰ながらジンチュウの作業を手伝うなど、2人の関係を育んでいたが、その現場を母親におさえられ、しばらく会わないことを約束する。

成人して再会することを楽しみにするジンチュウだったが、しばらくの後、スンの妹から彼が病を患っていることを聞く……。
詳しくは本編にて。

舞台の大半はジンチュウが暮らす街であり、スンの出身として登場する山村も実際の尺としてはあまり長く出てこない。文革山村モノと言っても、差別の中にある家族が主役格ということもあり、過去の山村映画に比較すれば都会的と言うべき物語である。
前述した通り見ているこちらが恥ずかしくなるほどの純愛映画であるが、完全新人であるジンチュウ役とスン役のフレッシュな演技が懐疑芯を突き抜ける爽やかさで何とも気持ちが良い。船の上からジンチュウを見つけたスンが、一呼吸も置かずに河に飛び込んで駆けつけるシーンは微笑まずにいられなかった。

通信手段が変わり、男女のみならず人との関わりが大きく変化した現代に、張芸謀が放り込んだアナログ純愛手榴弾。シーンの一部を黒幕に字幕オンリーで素っ飛ばす演出は、サイレント映画を連想させてノスタルジックだ。

過酷で理不尽な人生を強いられた世代をテーマにしながら、決して時代を批判せず、生きる人々の想いの強さを凛として描く。
ウェルカムバック張芸謀。

(ちなみにスンの働く現場は給料が高く白血病患者が多く出ているというから、おそらくウラン鉱だ。意図的に入れて、意図的に無視するいつもの芸風。)

◆スーパー!★★★☆☆
スーパー
恐過ぎるって…

一聴するとキックアスを思わせる輪郭の映画だが、その内容はまったく異なり、震えが来るほど冷めた映画である。

キックアスは常人ヒーローモノ。演出はその名の通り“ヒーローモノ”であって、現実的要素はその勢いで吹っ飛ばしている。所謂真っ当なヒーロー映画である。
それに対して本作は、常人がヒーローになったという設定までは同じ。しかしその後は180度旋回してネガティブ方向に演出のベクトルを振り、地平線を突き破ってシュルレアリスムだかなんだかわからない珍妙な領域に不時着している。
そもそもこういう狂人暴力モノはシュールなB級映画の十八番だ。

主人公は冴えない中年。ちょっと変な人。幻覚だか本当だかわからない神の啓示を受け、悪党を倒すヒーロー(クリムゾンボルト)になることを決意する。が、実際は妻を寝取られた男が逆上して自己正当化を強烈にエスカレートさせただけという話であって、その辺は映画館で横入りしただけのおっさんをスパナで殴打するシーンなどに顕著である。
極め付けがエレンペイジ扮するエリート狂人“ボルティ”で、こいつは完全に躁病。さすがのクリムゾンボルトも冷静さを取り戻す程の狂いっぷりで、しかも狂ったまま最後を迎えるパーフェクトなキャラクターだ。

そんな話であるから、その結末も大変冷ややかで身も凍る恐ろしさである。

自己正当化の化身だったクリムゾンボルトは私怨の相手を全員ぶっ殺すことで当然のように消滅。あたかもクリムゾンボルトがもたらした未来で自分の中の平和を取り戻したみたいなことを言う。なんて奴だ。

表面上は「起承転結終わりました」みたいな体裁でありながら、実際は狂人が狂人であり続ける狂気の一作。
作り手の冷酷さが肌を刺す極寒のタイトルである。作りは極めて巧妙。
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コメント

とても魅力的な記事でした。
また遊びに来ます!!
2014/07/29(火) 08:37:40 | URL | 添え状 #-[ 編集]

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