ドラゴンタトゥーの女(米版)★★★★☆

一昨年に日本でも静かなブームになっていたスウェーデンのサスペンス映画「ミレニアム:ドラゴンタトゥーの女」3部作。いろいろと虐められちゃうヒロイン(?)の独特なキャラクターと、雰囲気のあるストーリーがその魅力だ。
そのミレニアムがデヴィッド・フィンチャーの手によって早くもアメリカ映画としてリボーン。「ドラゴンタトゥーの女」として昨日公開より公開が始まっている。

◆ドラゴンタトゥーの女 ★★★★☆
DRAGON2.jpg
リ、リスベットが可愛くなった!

現代スウェーデンを舞台にしたサスペンス。
ミレニアム誌に勤める主人公のミカエルは、自らの記事による名誉棄損で有罪判決を受け、社会的金銭的な窮地にあった。そんな時、スウェーデンを代表する巨大ファミリーの前会長ヘンリック・ヴァンゲルから奇妙な依頼を受ける。その内容は1960年代に起きた殺人事件の犯人を見つけてほしいというものだった。

殺されたのはヘンリックの曾孫にあたる少女ハリエット。当時16歳だった彼女はヴァンゲル家が所有する島の中で暮らしていたが、島と下界を結ぶ唯一の橋が通行止めになった一夜に突如失踪した。結局どこからも遺体は見つかることが無かったが、それ以来ヴァンゲル家ではタブーの殺人事件として一族に重い影を落としていた。

ヴァンゲル家の島内に調査拠点を置いたミカエルは一族の主要人物を中心に50年前の事件を洗い始めるが、動機のわからない犯行に苦戦。息詰まるミカエルに相棒として紹介されたのが“ドラゴンタトゥーの女”リスベットである。リスベットは23歳の調査員。過去に精神障害の診断を受けた経緯で被後見人という立場に置かれ、またコミュニケーションが極端に苦手なため調査員としても孤立した存在となっていたが、その腕は調査会社の中でも髄いつだった。

強力な相棒を得たミカエルは、1枚の写真をきっかけに事件の真相に急接近。
ヴァンゲル家に巣食っていた黒い秘密が、半世紀を経てついに暴かれる。
・・・・

ヨーロッパヒット映画のハリウッドリメイクと言うと「モールス」が記憶に新しい。「モールス」も出来が良かったがこの「ドラゴンタトゥーの女」も負けていない。さすがデヴィッド・フィンチャー、と言ってしまえばそれまでだが、得意のSE&劇伴によるアップテンポのリズム形成で映像版ミレニアムを再構築してみせている。スウェーデン版を観たのが2年前ということも手伝って、純粋に新作として楽しむことが出来た。

本作はレッドツェッペリンのImmigrant songの強烈な掴みで始まる。Immigrant songは北欧の放浪者が新世界を制す歌であり、歌っているのは「かいじゅうたちのいるところ」が映画分野では記憶に新しいカレン・Oだ。


基本となるストーリーはもちろん一緒なのだが、スウェーデン版に比べて演出が洗練されており、スタイリッシュな印象を受ける。北欧特有の空気感は若干失われ(これは「モールス」もそうだった)、言語が英語ということもあり、日本人から見た“スウェーデン”という舞台的な魅力はあまり感じない。

最も印象が違うのはヒロインのリスベック。
スウェーデン版では見た目も中身も劇画ちっく。マジでお知り合いにはなりたくない人物像だったが、米版ではツンデレ(?)キャラクターとして魅力的に生まれ変わっている。短く切り揃えたヘアスタイルに印象的なシャドウメイクは、上手く転べば木村カエラにもなりうる感じで見慣れてくると普通に可愛い。

舞台設定やキャラクターという意味では妙なアクが無くなり、見易くなったミレニアム第一作。失われた要素には若干の寂しさを感じるものの、それを補って余りある新生ドラゴンタトゥーの魅力は続編が見たいと思わせるに足る力がある。きっと次回作が公開される頃には、2と3のストーリーも適度に忘れている頃だろう。
| trackback:0 | commnet:4 | BACK TO TOP |

コメント

待ってました。オビ湾観ないかな~と。
これは期待できそう。
前売り購入済み!
2012/02/14(火) 12:22:26 | URL | mia #-[ 編集]
ちょっとリスベットが可愛くて乙女すぎる感じもしますが、良いでっせ!
2012/02/14(火) 22:25:24 | URL | 海長とオビ湾 #-[ 編集]
やっと観た。
もう~ルーニーマーラがカワイくてカワイくてv-238
え、見所違う?

概ね面白かったし、かっこよかったけど内容詰め込みすぎで
前半何がなんだか。ちょっと辛かった。
独特の名前も覚えられないし
謎が解けた!という爽快感もあまりなく…

これ第二部もこのペアの話になるの?
2012/03/13(火) 14:22:56 | URL | mia #-[ 編集]
一連のドラゴンタトゥーは幸薄なリスベットがいじめられたりスネたりするのを愛でるためのものなので、なにも間違っていません。

フィンチャーはサスペンス素材をデフォルメしたのでテンポを楽しむ映画になってる感じがしますね。
押し花が届けられてるところから結末を読んで、じゃあなぜそうしたかという追い方を勘のいい鑑賞者(読者)にさせるのが本来のプロットだと思います。

第二部以降ももちろんこの二人ですし、リスベットの豊胸手術事件などなど、ますます涎が出る内容となってまいります。
2012/03/13(火) 17:19:38 | URL | 海長とオビ湾 #-[ 編集]

コメントする


秘密にする
 

このエントリーのトラックバックURL

これがこのエントリーのトラックバックURLです。
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

このエントリーへのトラックバック

プロフィール

海長とオビ湾

Author:海長とオビ湾
motto:物より心
webmaster:ALOHA! Maura Kalusky FANLOG

最近の記事

最近のコメント

カテゴリー

月別アーカイブ

ブログ内検索

比類なきリンク先

このブログをリンクに追加する