紹介:成敗~Say Bye to tha Villains

昨年、「ラブレター」に続いて頒布されたカナイ製作所の新作「成敗~Say Bye」。
秋のゲームマーケットでは製品版ではないということだったが、その非製品版でもコンポには文句をつけるところは無かったし、杉浦のぼる氏の絵はますます良いし、ゲームとしても面白いしで十分満足なアイテムだった。
で、その「成敗」の製品版がついに完成したという事でタムラクンに買ってきてもらった。

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おお、箱がかっこよくなっている。そしてタイトルにちょっと変更があって、
「成敗~Say Bye to the Villains」
になった。誰にセイバイするか明確になった。
「舞星(マイスター)」に続く“カナイギャグ”同音異国語シリーズの今後が楽しみである。

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中身。
カードがどっちゃり。けっこうな枚数が入っている。
最近のカナイさんのゲームは「大商人」「ラブレター」と枚数を意識的に絞っているように見えたけど、このゲームは“エンターテイメント色”の強いゲームなので、ちょっと違う角度で作られたんじゃないかと想像する。

で、カナイ製作所のゲームと言えば杉浦のぼる氏の雰囲気のある版画みたいなイラストも見どころの一つだ。
そのイラストが今回はいつもに増して良い。というのも、これまではカードUIの都合もあってかバストショットがほとんどだったのだが、今回はキャラカードが極力全身像にされていたり、ゲーム的にはあまり意味のない仕事人カードが豪華1枚絵になっていたりで、もう、とにかく豪華。

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キャラクターカードと対応する仕事人(正確には、裏の顔)カード。
8人分全部ある。めちゃカッコいいね!※スピンオフで「舞星」の朧がいるよ。

で、プレイヤーはこのキャラクターの内から1人を選んで使う。
キャラにはそれぞれ固有の特殊能力と、スピード、パワー、ライフの3つのパラメーターがある。
このパラメーターはゲームの最後に悪党と戦う時に重要になる。

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こんな感じでゲームは始まる。
プレイヤー人数と同じだけランダムに抽出された悪党が並び、その横に悪党の手札とも言うべき状況カードが伏せられて並ぶ。状況カードの枚数は悪党によって異なり、単体で腕が立つ奴は大抵状況カードが少なく、他力本願な奴(例えば越後谷みたいな)は状況カードが多い。

あ、そうそう。言い忘れたんだけどこのゲームは“協力ゲーム”である。
プレイヤーはそれぞれの勝利を目指すだけでなく“全員で協力して全ての悪党を倒す”ことが目標だ。

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さて、いきなり成敗人が悪党につっこんでいくわけにはいかないので、当然その“支度”をする。支度とは、見時からの腕を磨く(パラメーターを上げる)ことであったり、敵の状況を偵察する(状況カードを覗いたり、除いたりする)ことであったり、仲間と情報を交換する(カードを渡したりする)ことである。

手番のプレイヤーは“支度”として、
・手札をプレイする
・特殊能力(キャラクター個別)を使う
・共通能力(全員共通)を使う
という事が出来る。

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ただし、いずれの行動も“時間”という概念を必要とする。ちなみに各プレイヤーに与えられた“時間”は10しかない。10時の時間を使ったら、後は悪党のところに赴くしかないのだ。
カードをプレイした場合、そのカードに書かれている数値だけ“時間”を消費する。
特殊能力を使用する場合、その能力の横に書かれている数値だけ“時間”を消費する。(この場合、手札を伏せて時間分だけプレイするので、手札も減る。)
共通能力を使用する場合、その内容に応じて“時間”を消費する。(処理は特殊能力と同じ。)
※共通能力はカードを引いたり、誰かにカードを渡したりというもの。

こうして“時間”を消費しながら成敗人たちは悪党退治の準備を整えていく。
で、ここで重要なのが、“誰が誰を倒すのか”ということである。
戦闘の方法は後述するが、支度が進むとある程度その悪党を倒せるかどうかの算段がついてくるので、みんなで対戦カードの摺合せをしておく必要がある。

協力ゲームとは言え、さすがに仲間内でも情報全公開は出来ないが、「●●は俺がヤル!」とか、「●●を倒すにはアレが足りない!」とか、「お前程度の小物に●●は倒せない!」とか、暗に戦況を伝える類の発言は良いらしく、実際このやりとりがかなり楽しい。

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“時間”をめいっぱい使ったら、悪党との対決でフィナーレ。
各自自分の仕事人(絵がカッコいいやつ)を悪党に送り込む。(この行為自体も手番の選択肢のひとつです。)
全員が対戦相手のところに赴いたら、悪党の横にならんでいる状況カードを公開して、必要ならその効力を発動させ、パラメーターなら悪党の数値に追加して、成敗人と対決。

まずは“スピード”が高い方が、“パワー”の値で、敵の“ライフ”を減らす。これでライフが尽きちゃったら決着だけど、ライフが残った場合は反撃が起こる。当然“パワー”の値で“ライフ”を減らす。
この結果、「悪党だけが死ぬ」「悪党と成敗人が死ぬ」「成敗人が死ぬ」「どっちも死なない」のいずれかが起きるのだが、このゲームの目標はあくまで全員の対戦結果が「悪党だけが死ぬ」になることである。

これがけっこう難しい。
というのも、悪党カードの中には「娘が病気」などのように、“逆に殺してはいけない”ことが成功条件になるような特殊なものがあるのだ。だから「俺は越後谷をボコボコにするぜ~。ワイルドだろ~。」なんて安易に余裕かましてると、殺しちゃいけないのに殺しちゃって失敗、ってことになりうる。
しっかり偵察して「こいつはモノホンのクズ野郎だからマジ殺していいよ」という情報集めが大切なのである。
まぁ、それがやりきれないバランスになってるんだけどね。

【評価】
   9C.jpg
【所感】
正直を言うと協力ゲームってどれも「この構成員の1人は別に俺じゃなくてもいいかも」ってのがあってあまり得意じゃないんですが、このゲームは各々プレイヤーが芝居じみた情報発信をするように出来ているのが良いです。
コンスタントに良質ゲームが続くカナイ製作所。今回はエンタメ要素が強い時代劇必殺仕事人モノ×協力ゲームということで、いつもと少しアプローチが違う感触を受けますが、カードの効果を覚えたところからゲームが面白くなる“カナイさんのカラー”みたいなものは健在です。作者買いする甲斐のあるデザイナーさんですね。
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失礼します。必殺ファンの都の商売人と申します。
失礼します。

京都在住の必殺&時代劇ファン、都の商売人と申します。

偶然ツイッターで、この必殺仕事人風カードゲーム「成敗」を知り、詳しく知りたいと思って、いろいろ検索している内に、こちらのブログに辿り着きました。

私は、必殺と時代劇のサイトー「空想の匣」と言うのを開設してるんですが、この「成敗」と言うゲームは、非常に興味をそそられました!ルールがややこしそうなので、実際にプレイするかどうかは別として(…酷いなあ!(笑))、見ているだけでもワクワクして来そうです。

必殺仕事人をモチーフにしたゲームと言うと、「悪代官」とか「天誅」とか言ったカードゲーム、ボードゲーム版、ファミコン&セガサターンの「必殺仕事人」、本家とよく似た(笑)「必殺裏稼業」といろいろありますが、やっぱり製作者にセンスと情熱がないと、「面白いゲーム」にはならないでしょうねえ……。

今回、このゲームをmixiの自分の日記で紹介するのに、こちらのブログのURLを引用させて頂いて、画像写真1枚(最後のもの)をお借りいたしましたので、どうかご了解の程、宜しくお願いいたします。
2013/01/21(月) 04:05:25 | URL | 都の商売人 #-[ 編集]
都の商売人さん
こんにちは。おおお、本格的なサイトですね。
都の商売人さんのようなその筋のファンに目を付けてもらえるゲームって幸せだなぁと思います。僕が作ったわけでもないのに大袈裟なんですが。

あと、成敗ですが、これはメーカー品ではありませんので、一般店舗には置いておらず、手に入りにくいかもしれません。所謂、同人というやつです。(同人と言っても、有名おもちゃメーカーが作るカードなんかより、よっぽどしっかりしています。)

通販ショップなどで再販される可能性はありますので、是非根気強く探してみてください。

2013/01/21(月) 19:57:42 | URL | 海長とオビ湾 #-[ 編集]
早速のお返事を頂き、ありがとうございます!
(mixiの日記へのコメントもありがとうございました!)

私は「ファミコン」の前の世代ですので(笑)、子供の頃からボードゲームやカードゲーム、ゲームブック等に慣れ親しんできましたので、こう言う種類のものに心惹かれますね~~。

また、以前「必殺!南無阿弥陀佛」なる、必殺仕事人風トランプや、テ-ブルトーク版ロールプレイングゲーム雑誌「ウォーロック」の時代劇特集号(「必殺仕事人V」のシナリオサンプル掲載)をヤフオクで落札して、その他のゲームと合わせて、ブログに載せた事もありました。

「必殺風ゲーム・アラカルト」 http://heiann.jugem.jp/?eid=121

ボードゲーム版「必殺仕事人」なんかのアイテムも、ヤフオクに出てないか?-と探してるんですが、こちらで紹介されていた「成敗」も、ぜひともGETしたいと思ってます。

……乱筆・乱文、失礼しました。
2013/01/22(火) 01:51:36 | URL | 都の商売人 #-[ 編集]

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