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BG紹介:宝石の煌めき

難しいことを簡単に。
近年複雑化の一途を辿るボードゲームルールに"ちょっとまった"の一石を投じたのが「宝石の煌めき」だ。いや、それ以前にもそういったシンプル志向の試みはいくつもあったのだが、商業的にもアワード的にも成功した点で「宝石の煌めき」は一つのマイルストーンになったように思う。
自分は同作者の最新作である「バロニィ」をプレイしたうえで、そのシステムに対する削ぎ落としのうまさ、デフォルメのうまさ、選択肢のバランス構築のうまさに惹かれ、世間から一歩二歩遅れてはしまったが「宝石の煌めき」に触れるに至った。

削ぎ落としの強度が強めなので、人によって好き嫌いはありそうだが、今後チェキラな作者に違いないので紹介しておきたいのでおじゃる。おじゃるまるです。

houseki01.jpg
長方形中箱。スペースカウボーイという振興メーカーの作品である。
コンポーネントは大きめのカードとタイル、それに重厚なチップ。ボリュームとしては非常に少ないので、箱の中は総力を挙げて底上げされている。が、コンポの品質は非常に高く、このゲームに対するメーカーの気合が感じられるため、不満に思うことはない。

おっと!
削ぎ落としたとかデフォルメしたとか、そんな話ばかり先行してしまったが、"なんの!?"の部分を説明していなかったね。
「宝石の煌めき」は拡大再生産タイプのゲームである。
拡大再生産タイプとは、最初は小さな機能と生産力から始まって、徐々に機能を買い足していき、成長率と生産力がどんどん上がっていくタイプのゲームの事を言う。大抵の場合、そこには街の発展だとか家業の成長だとか、いわゆるシムシティみたいなテーマが付くことが多い。(余談ですけど、スマホゲームはこの手の拡大再生産ゲームがめちゃくちゃ多いですね。)

で、「宝石の煌めき」は何をテーマにしているかというと、宝石商である。宝石をゲットしながら、それを資金源にして流通網や加工技師を開拓拡張していく。そんなイメージだろう。

その開拓・拡張すべき機能についてだが…
houseki02.jpg
ご覧のようにテーブルにカードが規定枚数だけ広げられており、プレイヤーは可能であれば最初から高い買い物をしてもいい。(コスト上できないけど。)カードはコストを基準として3つのレベルに分けられており、一番下が最も安く、一番上が最も高い。

コストはカードに記載されており「どの宝石が、それぞれ何個必要か」という具合である。資源となる宝石はストックから3個選んで取ることが出来るが、同じ種類の宝石を選ぶときは2個になってしまう。また、ストックからなくなった宝石は取ることが出来ず、一定の数より少ない宝石は2個取りすることが出来ないなど、宝石の収集にはシンプルながら制限があり、他プレイヤーの動向が大きく関連している。

プレイヤーの手番では、ここまでに紹介した通り
・カードの購入
・宝石の収集
のいずれか一方を行う事ができるのだが、それに加えてもう一つ特別な選択肢がある。
houseki03.jpg
カードの予約だ。
この選択肢を選んだ場合、場にあるカードから好きなもの1枚を選んで手札にし、他の誰も取れないようにすることが出来る。しかもジョーカー宝石をもらえるというおまけつきだ。
ただし、予約は予約なので実際にゲットする時はしっかりコストは支払わなければならない。

houseki04.jpg
そんなこんなでカードはたまっていくものの、じゃあどこが拡大再生産なのか。というところを説明していなかった。
上の写真を見てもらうとわかる通り、カードの右上には1種類の宝石が描かれている。
これは、"以降の買い物でこの宝石分値引いてあげちゃう"を示すもので、つまるところその分だけ対応する宝石が手元にあり続けるのと同じである。これにより、高いコストのカードがだんだんと買えるようになっていく。

ただし「宝石の煌めき」には普通の拡大再生産とちょっと違うところがある。
普通の拡大再生産は、指数関数の勢いで生産力が増えることが多いのだが、「宝石の煌めき」は、どんなに高いコストを出しても生産力の増え方は変わらない。宝石一個分なのだ。

えー!じゃあ安いの買ってればいーじゃーん!ってことなのだが、もちろんそんなわけもなく。コストの高いカードには、勝利点(カード左上)がくっついているのだ。ゲームの勝利条件は、誰かが15勝利点を稼いだラウンドの終了時に、もっとも勝利点が高いプレイヤーであること。生産力は関係ない。
だから、確かに安いカードは手持ちの宝石チップの状況に依存することなく買いやすいのだが、勝利点のついたカードを狙うために舵を切っていくことになるのだ。
拡大再生産タイプのゲームでは、大抵の場合この"舵きり"が存在する。しかし、「宝石の煌めき」は生産力の成長率が平坦のため、"生産力を伸ばすか勝利点をとるか"という二択はほぼ存在しない。おそらく、勝利へのアプローチが必要以上の多様性を持たないように設計されている。

以上の基本要素から外れるボーナス点として、貴族タイルがある。
houseki05.jpg
これは、自分の前に並べたカードの値引き宝石の数に応じて、場から取ることが出来るボーナスタイルである。
ゲーム毎にランダムでタイルが決まるため、都度都度宝石の重要性が変わってくるというわけだ。また、レベル3の高価なカードもゲーム中はほとんど動かないため、貴族+レベル3カード、あたりが戦略上の注目点になるだろう。

考えることは諸々あるとしても、要素としては以上だ。拡大再生産としては異常なほどシンプルで、ルールも簡素。実にわかりやすい。拡大再生産でこのプレイアビリティと敷居の低さを実現するために、作者が相当あたまを捻ったことは容易に想像できる。もちろんそこには、ドラスティックな決断が山ほどあったはずだ。削って削って削り倒しているのである。
それを行ったうえで、拡大再生産のシステム的な楽しさをこれだけ残しているのだから、すごい。

ただ、ここからは好みの話なのだが……、「宝石の煌めき」はシステムをシェイプすることによって、ゴタゴタとした付属情報が寄り付きにくくなっている。アブストラクト的で、テーマが載りにくくなっているところがある。
拡大再生産の楽しみには、自分の街やら何やらの生産力がニョキニョキと伸びていく満足感とか、達成感とか、誇りみたいなものを感じるところにもあると思っていて、実時間にしたら0.5秒とかなんだろうけど、カードを配置した瞬間、僕の心は遠い欧州にある自分の街に飛んで行って、そこに皮鞣し屋が小さな工房を開くことを想像してほっこりしている。
その積み重ねがゲームの面白みになっている部分がある。
宝石の煌きによる複雑な工程や概念の削除は自分的にも大変好みではある。あるのだが、あまりに削られているため古典ゲームなんじゃないかってくらいアイデンティティを見つけにくい部分がある。確かにこのゲームは面白くて、高得点をつけたいとこ
ろなのだが、何が面白いかと言われるとちょっと困る。拡大再生産がシンプルに、ルール的にミニマルで…うむ。なんか相対的な評価になってしまう。どうやら吾輩はまったく修業が足りておらんようだ。

ただ、このゲームに大きな加点をしたい要素として"コンポーネントに重きを置く姿勢"がある。
ゲームの面白さはシステムだけがもたらすわけじゃない。カードの手触り。カチャカチャと鳴るチップの重み。そういうことが、このゲームは分かっている。それは同作者の次作である「バロニィ」にも共通しており、アイムラヴィニットである。

【評価】
   7.jpg

【所感まとめ】
いろいろ書きましたが、そんなこと気にせずシンプルに面白いゲームとして遊びましょう。初心者にもわかりやすい、とまでは言いませんが、短時間で遊べるので拡大再生産の中では群を抜いて遊びやすいと思います。
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