ディファイアンス★★★★☆

ダニエル・クレイグ主演の「ディファイアンス」。
ベラルーシにおけるユダヤ人迫害?抵抗にいたる史実をテーマにした映画で、抵抗勢力の中心人物であったビエルスキ兄弟にスポットを当てたものである。

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この映画の何よりも特徴的なのは、「ユダヤ人がユダヤ人を救うために戦った物語である」ということだろう。
ユダヤに対する差別や迫害をテーマにした作品は幾らでもあるけど、彼らがヒューマニズムをかけて心底戦ったという話はほとんどない。ってか、僕は観たことがない。

クレイグ演じるトゥヴィアはビエルスキ四兄弟の長男。
最初は森に潜み復讐の機会を伺っていたが、圧倒的なちからに押し返され、次第に彼を頼るユダヤ人を生き残らせることに責任感を見出していく。

「生きることが復讐だ」
ユダヤ人であることを否定されるなかで、ユダヤ人としてヒューマニズムを持ちつつ生き抜くことが、最大の復讐であると気付いたわけだ。
これこそがタイトル“ディファイアンス”たる由縁。

そういった根本的なテーマの面白さは、なんでこれまで映画化なりなんなりされなかったんだろうと思うくらい。

次にこの映画でクローズアップされるのは四兄弟の成長である。
復讐を実行し、人の心の闇とその弱さに気付いてしまったトゥヴィア。
分かり合えず距離を置いたが、絆を失わないズシュ。
最初は泣くばかりだったアザエルが後半で見せた強さと希望。
エンドシーン、粘り強く行きぬいた四兄弟がそろって春の森を歩く姿は確かに心を打つものがあった。

それら表現に説得力を生んだのは、演者の力、そして劇伴だろうか。
クレイグの怒りと葛藤に震える目。強烈な意思を感じさせるまなざし。
戦闘シーンの合間に静を演出する劇伴が、彼の迫力をより強調している。
現時点でクレイグの代表作と言っていいと思う。

史実映画にしては強めの脚色が見て取れるため、実話であるというリアリティが幾分欠けるところがある。物語の結末も兄弟の絆と意思を見せるところで終わっているので、ドキュメンタリー的な説得力があるわけではないのだ。
それでも尚、「シンドラーのリスト」のように観られるべき映画として価値が高い。
この説得力は、差別ネタを得意とするユダヤ人監督ならではと思う。
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