レイチェルの結婚★★★★☆
いつの間にかこっそりと「レイチェルの結婚」がレンタル開始されていたので、やはり記念として記事にしておこうと思う。
東京ではル・シネマ1館のみの上映で終わってしまったが、なんのなんの。
観る気力さえあればかなりしっかりした映画である。
「羊たちの沈黙」のジョナサン・デミ復活の作品であり、アカデミー主演女優賞ノミネートも出した傑作だ。
アン・ハサウェイ演じるキムは、薬物もしくはアルコールの中毒患者。
入退院を繰り返し家族からは腫れ物のように扱われる彼女が、姉であるレイチェルの結婚式に出席する。その前後数日間の物語である。
結婚式という大イベントに向けて準備が晴れやかに進んでいくのに対し、キムを取り囲む家族関係が徐々に劇中へ影を落としていてく。
キムが重荷になり、取り繕っていた家族の輪が崩れていく。その有様が極めてリアルに描かれているのに注目してほしい。
家族の事情が一様ではないように、キムの病気にも過去があり、理由がある。
キムの病気がキムだけのものでないことを、この映画は痛いくらい分からせてくれる。
辛い映画である。一家族の不器用な愛憎劇を観る事が、これほどまでに辛いか・・・。それは僕達にも家族があるからに他ならない。
だからこの映画の先に何を観るかは、人それぞれに違いないのだ。
ここで強く付け加えておきたいのは、監督の徹底したストイックさに加えて、俳優人の名演あっての説得力であるということだ。
姉のローズマリー・デウィットをはじめ友人役に至るまで、この微妙な雰囲気の物語を見事に演じている。
中でも主演のアン・ハサウェイ。まさかの躍進。
この映画において、キムの病気やその症状については彼女の演技からしか読み取ることができない。一見普通に団欒しているように見えて微妙にずれているテンポ。彼女の演技を観ている中で、徐々にキムの病気が理解できるようになっている。
重すぎるトラウマでガラスのようになった可愛い妹。
間違いなく難しい役である。
今年の主演女優賞はケイト・ウィンスレットだが、僕個人の主観で言えば「ベンジャミン・バトン」で見事な老いを演じたケイト・ブランシェットが抜きん出ていたように思う。それがノミネートすらされないのであれば、かなり差はあるが2番手陣の中にアン・ハサウェイはいたと思う。
あと1つ。
この映画の舞台がレイチェルという女性の結婚式であるということは、物語上非常に重要な要素ではある。
しかしたったそれだけのキーワードをピックアップし、ピンク色の場違いな装飾で飾り立てなければならないとは、なんともやりきれないPRだ。
日本の洋画市場はそれだけ苦しい状況にあるということだろう。
東京ではル・シネマ1館のみの上映で終わってしまったが、なんのなんの。
観る気力さえあればかなりしっかりした映画である。
「羊たちの沈黙」のジョナサン・デミ復活の作品であり、アカデミー主演女優賞ノミネートも出した傑作だ。
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アン・ハサウェイ演じるキムは、薬物もしくはアルコールの中毒患者。
入退院を繰り返し家族からは腫れ物のように扱われる彼女が、姉であるレイチェルの結婚式に出席する。その前後数日間の物語である。
結婚式という大イベントに向けて準備が晴れやかに進んでいくのに対し、キムを取り囲む家族関係が徐々に劇中へ影を落としていてく。
キムが重荷になり、取り繕っていた家族の輪が崩れていく。その有様が極めてリアルに描かれているのに注目してほしい。
家族の事情が一様ではないように、キムの病気にも過去があり、理由がある。
キムの病気がキムだけのものでないことを、この映画は痛いくらい分からせてくれる。
辛い映画である。一家族の不器用な愛憎劇を観る事が、これほどまでに辛いか・・・。それは僕達にも家族があるからに他ならない。
だからこの映画の先に何を観るかは、人それぞれに違いないのだ。
ここで強く付け加えておきたいのは、監督の徹底したストイックさに加えて、俳優人の名演あっての説得力であるということだ。
姉のローズマリー・デウィットをはじめ友人役に至るまで、この微妙な雰囲気の物語を見事に演じている。
中でも主演のアン・ハサウェイ。まさかの躍進。
この映画において、キムの病気やその症状については彼女の演技からしか読み取ることができない。一見普通に団欒しているように見えて微妙にずれているテンポ。彼女の演技を観ている中で、徐々にキムの病気が理解できるようになっている。
重すぎるトラウマでガラスのようになった可愛い妹。
間違いなく難しい役である。
今年の主演女優賞はケイト・ウィンスレットだが、僕個人の主観で言えば「ベンジャミン・バトン」で見事な老いを演じたケイト・ブランシェットが抜きん出ていたように思う。それがノミネートすらされないのであれば、かなり差はあるが2番手陣の中にアン・ハサウェイはいたと思う。
あと1つ。
この映画の舞台がレイチェルという女性の結婚式であるということは、物語上非常に重要な要素ではある。
しかしたったそれだけのキーワードをピックアップし、ピンク色の場違いな装飾で飾り立てなければならないとは、なんともやりきれないPRだ。
日本の洋画市場はそれだけ苦しい状況にあるということだろう。
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