花の生涯?梅蘭芳★★★★☆
「さらば、わが愛/覇王別姫」のチェン・カイコーが再び京劇を舞台にメガホンを取った。
「花の生涯?梅蘭芳」は実在した女形の京劇スター、梅蘭芳の生涯を映画化したもの。
ここのところ作家性のないドラマばかり撮っていたチェン・カイコーだが、再び中国の歴史・文化に回帰したのである。
物語は既に梅蘭芳がスターの卵になっているところから始まる。
後に義兄となる邱の影響から京劇に改革を唱えるが、そこに立ちはだかったのは伝統的京劇文化を守らんとする実の師。18歳にして師匠にならぶ度量を備えていた彼は、自らの新しい芸でこの戦いに勝利するが・・・・。
「恐れることが恥である」
師匠の見事な負け戦が感動的。
対して迷いを捨てきれない梅蘭芳は苦悩を抱えたまま京劇スターの道を登っていく。
誇りっぽい空気を通して観る舞台の再現が素晴らしい。
音楽・演出共に前半の京劇シーンは圧巻。
見下されることのない京劇を目指した梅蘭芳。波乱の人生に相応しい、華やかなシーンである。
時が経ち、彼はある男形の女性京劇訳者と出会う。これがチャン・ツィイー。
スターであるが故に常にたくさんの人に囲まれている梅蘭芳。妻も居るが、京劇に全てを捧げている身を他の人間と共有することは難しい。孤独を内に秘めるようになった彼にとってついにめぐり合えた心の友がチャン・ツィイーである。次第に不倫関係になっていく2人だが、アメリカ講演を控えた梅蘭芳を案じた邱の策略により別れることになる。
チャン・ツィイーの京劇シーンがすごい。
レオン・ライとの絡みも抜群で、さすがポストコンリーである。
徹底的に勉強したことがよく分かる演技で、なんとも頭が下がる。
その後アメリカ公演で大成功を収める梅蘭芳だが、静かに蓄積されてきた不信感から義兄の邱と離別することになる。
日本占領下では日本軍に振り回されることになるが、京劇役者として堂々と立ち向かう。
見下されることのない京劇。それを証明する舞台がここになって訪れるというドラマなのだ。
フィクションである「さらば、わが愛」と比べると史実ということもあってやや物語りに抑揚がない。
感情的な派手さはないが、その分京劇に全てを捧げた梅蘭芳の生涯に説得力がある。
華やかな京劇シーンと陰のある日常シーンのコントラストが美しく、非常に芸術性の高い仕上がりである。
演技も最高級と言って良い。特にレオン・ライ演じる梅蘭芳は素晴らしい。控えめで優しい笑顔が時を経ていくにつれ悲しげな影を纏っていくのが印象的だ。
何よりもここに来てチェン・カイコーが文化映画に回帰したことが嬉しい。
是非師匠に続いてチャン・イーモウも原点回帰、農村映画を撮ってくれないものか。
「花の生涯?梅蘭芳」は実在した女形の京劇スター、梅蘭芳の生涯を映画化したもの。
ここのところ作家性のないドラマばかり撮っていたチェン・カイコーだが、再び中国の歴史・文化に回帰したのである。
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物語は既に梅蘭芳がスターの卵になっているところから始まる。
後に義兄となる邱の影響から京劇に改革を唱えるが、そこに立ちはだかったのは伝統的京劇文化を守らんとする実の師。18歳にして師匠にならぶ度量を備えていた彼は、自らの新しい芸でこの戦いに勝利するが・・・・。
「恐れることが恥である」
師匠の見事な負け戦が感動的。
対して迷いを捨てきれない梅蘭芳は苦悩を抱えたまま京劇スターの道を登っていく。
誇りっぽい空気を通して観る舞台の再現が素晴らしい。
音楽・演出共に前半の京劇シーンは圧巻。
見下されることのない京劇を目指した梅蘭芳。波乱の人生に相応しい、華やかなシーンである。
時が経ち、彼はある男形の女性京劇訳者と出会う。これがチャン・ツィイー。
スターであるが故に常にたくさんの人に囲まれている梅蘭芳。妻も居るが、京劇に全てを捧げている身を他の人間と共有することは難しい。孤独を内に秘めるようになった彼にとってついにめぐり合えた心の友がチャン・ツィイーである。次第に不倫関係になっていく2人だが、アメリカ講演を控えた梅蘭芳を案じた邱の策略により別れることになる。
チャン・ツィイーの京劇シーンがすごい。
レオン・ライとの絡みも抜群で、さすがポストコンリーである。
徹底的に勉強したことがよく分かる演技で、なんとも頭が下がる。
その後アメリカ公演で大成功を収める梅蘭芳だが、静かに蓄積されてきた不信感から義兄の邱と離別することになる。
日本占領下では日本軍に振り回されることになるが、京劇役者として堂々と立ち向かう。
見下されることのない京劇。それを証明する舞台がここになって訪れるというドラマなのだ。
フィクションである「さらば、わが愛」と比べると史実ということもあってやや物語りに抑揚がない。
感情的な派手さはないが、その分京劇に全てを捧げた梅蘭芳の生涯に説得力がある。
華やかな京劇シーンと陰のある日常シーンのコントラストが美しく、非常に芸術性の高い仕上がりである。
演技も最高級と言って良い。特にレオン・ライ演じる梅蘭芳は素晴らしい。控えめで優しい笑顔が時を経ていくにつれ悲しげな影を纏っていくのが印象的だ。
何よりもここに来てチェン・カイコーが文化映画に回帰したことが嬉しい。
是非師匠に続いてチャン・イーモウも原点回帰、農村映画を撮ってくれないものか。
コメント
2010/01/19(火) 07:41:22 | URL | Area51 #RFOB2wWc[ 編集]
おおお!Area51さんの仰るとおり。
初恋のきた道のチャン・ツィイーと、思う存分それ(いもっぽさともいう)を引き出した監督の手腕には本当に恐れ入ります。
最初にエンディングを迎えたとき僕は号泣しました。なんて美しい映画だろうと思ったんですよ。
対世界を考えると代表作は「活きる」になるんでしょうけど、僕は「きた道」が集大成だと思います。
初恋のきた道のチャン・ツィイーと、思う存分それ(いもっぽさともいう)を引き出した監督の手腕には本当に恐れ入ります。
最初にエンディングを迎えたとき僕は号泣しました。なんて美しい映画だろうと思ったんですよ。
対世界を考えると代表作は「活きる」になるんでしょうけど、僕は「きた道」が集大成だと思います。
2010/01/19(火) 08:58:43 | URL | 海長とオビ湾 #-[ 編集]
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チャン・イーモウ監督に関しては同意見です。
なんぼ派手な映画撮っても菊豆や初恋のきた道のイーモウ監督が好きです。
特に初恋のきた道はまさしくチャン・ツィイーに出会った忘れられない作品ぢゃねえ。