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ラブリーボーン★★★★★

ピーター・ジャクソンとシアーシャ・ローナンの最新作「ラブリーボーン」。
天国描写や奇抜な脚本が不評を呼んだ様だが、なんてことはない。
溢れでる作家性。定番とは程遠い脚本。エモーショナルなアイデア。
歪な形ゆえに人を選びはするが、良い映画というのはそういうものである。
僕はこの映画を忘れることができないだろう。

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変質者に殺害された14歳の少女(シアーシャ・ローナン)が天国とこの世の間で葛藤し、家族との絆を通して自らの精神を開放していく物語である。

死者である少女が自分の生前を語りだすところから始まり、まずは14歳の少女の新鮮な輝きを見事に映し出している。シアーシャが素晴らしいのは前提だが、何気ないシーンにも監督のある種変態的な工夫が施されている。一見してリアリティ重視だった演出が突如少女マンガのように極端な展開を見せたり、ハッピーでおセンチな劇伴の隙間にこの後の運命を匂わせるような歪な影を含ませる。

シアーシャが命を落とすシーンも逸品だ。
歪んだ人物像がかもし出す狂気、追い詰められる少女とともに、観客も絶望に飲まれていく。とても観ていられない。逃げ出したくなるほどの臨場感だ。

霊化するくだりも効果的だった。
アザーズライクなところがあるが、シアーシャが受け入れなければならなくなった衝撃を象徴的に、かつ印象的に映像化できている。
その後の天国描写については賛否両論あろうが、これを悪趣味と捉えるかどうかは監督の個性を拒絶するか否かということにほかならない。当たり前の話だが、監督が確固とした自信を持って描くのであればそれはアートワークであり、劇伴や脚本を含めた上での作家性である。丹波大先生の大霊界しかりだ。少女の感情と巧みにリンクした映像美を、僕は拒絶する理由がない。
象徴的なモノに溢れた“あの世シーン”はこの物語をより複雑にしたが、同時に物語が進むべき道にたくさんの可能性を産み出している。果たして少女の魂は何を求めるのか。故に僕達は話の結末を待たざるを得なくなったのだ。アートワーク自体の面白さもさることながら、見事な演出術である。

次に注目すべきは事件の解決に向かう際のヘンテコな流れ。
映画全体にいえることだが、とにかく観ているものの思うとおりにはならない。
犯人のめぼしつけた父親の決意に同情していると、次の瞬間には話がすげ変わっていたりする。
登場人物の感情に充分浸らせた上で裏切る。そしてこの裏切りが、実のところ物語を本質へ導いているからすごい。
真実が沈んでいく傍らで思いを遂げる少女。なんとすがすがしい!なんとエモーショナル!
あれほど憎かった犯人の末路など、最後には些細な寓話でしかなくなるという飛び切り巧みでセンチなトリックだ。

とにかく感情を揺さぶる映画だった。
“天国から家族を見る少女”という展開に幅のなさそうな物語を、単なるおセンチなドラマに終わらせなかった手腕は見事である。デビュー当時のジャクソンらしい異彩が存分に発揮されていて、トゲトゲした描写はブレイク前のジャンピエール・ジュネを連想させる。偏屈でありながら愛情を失わない。

鋭い。個性をなくしてヒットさせることが“宿命”の大作映画において、これまでに無かった切り口である。

あまりに作家性の強い作品なので、映画に一定のイメージを持って挑みたい人には向かないだろう。
不評が多く苦境のジャクソン監督だが、どうか「ちょっと本気を出したらすぐこれだ」とは考えず、今後も全力疾走してほしい。
最後に、大好きなシアーシャ・ローナンがこの映画に出演してくれたことを大変嬉しく思う。大作監督に起用されて「ちっ!」とか思っていた自分を反省。
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コメント

オビ湾、ピータージャクソンになんか美味いもんでももろたんか?w
2010/02/10(水) 23:55:19 | URL | akio #wr80fq92[ 編集]
ちょと!しーー!
このくらいせんと映画ファンが観ないでしょ!
2010/02/11(木) 01:24:44 | URL | 海長とオビ湾 #-[ 編集]
ほんと、感情揺さぶられっぱなし!すごい映画だった。
2010/02/11(木) 18:42:19 | URL | mia #-[ 編集]
そうなんすよー。どういうわけかアドレナリンも出ちゃって興奮しきりでした。
2010/02/11(木) 23:17:09 | URL | 海長とオビ湾 #-[ 編集]

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