NINE★★★★☆

フェデリコ・フェリーニの「8 1/2」は「道」と並んで、思い出の深い映画。
映画ファンなった切っ掛けの1つでもあり、この2本は常にマイベスト10に入っている。
その「8 1/2」を舞台化したという「NINE」を観る機会には残念ながら恵まれていないものの、“9人の女性が1人ずつ主人公に絡んでいくという”という設定を聞いただけでサブイボがたった。
(ちなみに原作の「8 1/2」では、女性の数とタイトルに関係はない)

自分には舞台ミュージカルとなると敷居が高いが、今回のように映画化されることでその片鱗でも拝める機会を持てたのは大変ありがたい。

ただ前提として、「NINE」はあくまで舞台ミュージカルの映画化であり、「8 1/2」とはまったくの別物。
ダニエル・デイルイスを起用している点に顕著だが、むしろ舞台版のゴージャス感を味うべきということだろう。
故にこれは「8 1/2」とは異なり、フェリーニの自叙伝では“まったく”ない。
と、僕は理解している。

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スランプに陥った有名監督グイドが、妻、愛人、友人と様々な女性と絡み合う様を、ブロードウェイミュージカルの手法でエモーショナルに描く。

新作「イタリア」を発表したはよいものの、グイドの頭には脚本はおろか構想もない。グイドは、彼を愛してくれる女性にすがりつくことでプレッシャーから逃避し、母性に救いを求めている。
結局グイドは全てを失ったのか、手に入れたのか。
彼自身さえも気付かないうちに人生は再生している。

人生って不思議。
大筋で観ると語ることの多い映画ではないのに、心に響く映画だった。


いやまいった。
さすがはチーム・オスカー!
ダニエル・デイルイスの名演はもちろんにしても、さすがはロブ。凄まじいミュージカルシーン!演じる大御所も気合満点。オスカー女優ならこのくらいは当たり前!とでも言わんばかりの大迫力。それぞれが存在感を競い合って甲乙付けがたし!
モーリー・イェストンの曲がまたサイコーで言うことなし。即行サントラ購入レベル。
ケイト・ハドソンかっこよすぎる。

とりあえず男性は観て損することはないでしょう。めちゃんこセクシー。
是非劇場で鑑賞いただきたい。ペネロペでKO。


しかし前述したとおり、この映画はフェリーニの「8 1/2」ではない。
この2つの映画はまったく別の映画である。
でも不思議なことに、僕はあの言葉を思い出して最後には涙が出た。

この映画を楽しむには、僕らもフェリーニから解放されないといけないのかもしれない。9歳の自分を抱くグイドを見て、ふとそう思った。
だから少しだけ、言葉を変えて・・・


映画は祭りだ。一緒に楽しもう。


これにてお開き
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