スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
| BACK TO TOP |

必死剣鳥刺し★★★★☆

藤沢周平原作、平山秀幸監督の「必死剣 鳥刺し」。
恥ずかしながら時代小説というものを読んでこなかったため、藤沢周平を知ったのは山田洋次監督の「たそがれ清兵衛」から。そこで感化されて少しずつ読むようになった。(親父が読み始めたというのもあるが。)
山田洋次監督はその後に隠し剣シリーズの「鬼の爪」と「盲目剣谺返し(武士の一分)」を映画化し、“藤沢周平原作”を現代時代劇のヒットキーワードに育て上げた。その後の山洋監督は藤沢映画を撮っていないが「蝉しぐれ」「山桜」「花のあと」というように藤沢式時代劇は他の監督により受け継がれている。

今回「必死剣鳥刺し」を映画化したのは「愛を乞うひと」の平山秀幸監督。
時代劇では「やじきた道中 てれすこ」を作ったことがあるが、エモーショナルな藤沢時代劇をどう料理するのか、見所である。

torisashi.jpg
舞台は恒例の海坂藩。
中級藩士の三左ェ門は、能楽が催された直後、藩主の側室である連子の前に立ちはだかり、彼女を刺殺した。
三左ェ門は妻を失って跡継ぎもない身だったこともあり、藩内の毒となっていた連子を、身を挺して取り除こうと考えてのことだった。

斬首が当然と思われていた三左ェ門だが、上司の津田が藩主を説き伏せたことにより、自宅幽閉という異例の処置で済まされることになる。

幽閉が解かれ、再び藩士のお役目につくことができた三左ェ門だが、あまりの待遇の良さに違和感を感じずにはいられない。
上司の津田にはたびたび降格の願いを訴えるのだが、津田は頑として三左ェ門の任を解かなかった。

時を同じくして、藩主とご別家の関係が怪しくなってくる。
連子が現れた頃から民を省みなくなった藩主に対し、ご別家が反旗を翻すという噂が立ち始めたのだ。

そしてある日、三左ェ門は津田から“ご別家を迎え撃つように”との密命を下される。津田は三左ェ門が剣の名手であることを聞き知っていたのだ。
ご別家も名だたる剣の使い手。乗り込まれたときに確実に対応できる駒が必要だったというわけである。

かくして、三左ェ門とご別家の壮絶な切り合いが始まる。
本来であれば志を同じくするものを相手に、三左ェ門は藩主への忠義から立ち向かわなければならない。しかも、城内に持込を許されているのは脇差のみ。
対等に向かっても苦戦間違いなしの相手。
にも関わらず、なんら怯むことなく脇差を構える三左ェ門の姿に、侍という生き物の残酷な宿命が感じられる。

緊張張り詰める闘いが終わると、津田に騙された三左ェ門は城内の藩士全員を相手に大立ち回りを演じることになる。絶望的な状況の中、武士の魂にかけて一矢報いてやろうという見事な感情の爆発は、小林正樹の「切腹」を髣髴とさせるものがあった。
しかも彼にはまだ、必死必殺の剣“鳥刺し”が残されているのである。
そしてこの映画は、1人の武士の壮絶な生き様を見届けて終わる。


非常にストイックで芸術性の高い、映画らしい映画。
田園風景や屋外でのシーンに絶景というほどのものはないが、日本建築という極めて直線的な枠の中で見る武士の有様に、日本独特の精神的な美意識が描き出されている。
ご別家到来の旨を藩主に報告し、スッと襖を閉めた姿のただならぬ緊張感。(わざと尺が長めだったか?)これには鳥肌が立った。

構成も素晴らしい。映画冒頭の衝撃的な事件にはじまり、ラスト15分は壮絶な殺陣と感情的な頂点を同時に魅せる。これぞエンターテイメントというものだろう。

さすがに時代劇なれした池脇千鶴も上々ではあったが、ストイック極まるこの映画にあっては少々トーンがずれているように感じた。その他にも一部違和感のある台詞など、若干気になる点がチラホラする。極めつけはエンディング2曲目のポップソングだろう。
この辺り徹底の行き渡らない箇所を除けば、十分★5つに値する映画である。

日本の映画芸術は時代劇が支えている。久々にそう思わせてくれる映画だ。
| trackback:0 | commnet:0 | BACK TO TOP |

コメント

コメントする


秘密にする
 

このエントリーのトラックバックURL

これがこのエントリーのトラックバックURLです。
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

このエントリーへのトラックバック

プロフィール

海長とオビ湾

Author:海長とオビ湾
motto:物より心
webmaster:ALOHA! Maura Kalusky FANLOG

最近の記事

最近のコメント

カテゴリー

月別アーカイブ

ブログ内検索

比類なきリンク先

このブログをリンクに追加する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。